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なんてこと…

彼の住む建物はモダンで、私の住む古典的な造りとは全く違う外観だった


どんなインテリアなのか、

拘りはあるのか、

その人の性格や嗜好が部屋に現れるので、


お部屋訪問は楽しい。



部屋に入ると彼がスリッパを出してくれた。

何処かのホテルに置いてある白いスリッパ。

「こんな簡易的なもので申し訳ないけど…」


出張の際に持ち帰ったのだと彼は言った。

私はそれを履き、手を洗いたいと伝える。


広々としたバスルームへ彼が誘導してくれた。


透明なガラスで仕切られたバスタブと

清潔感のある大きめの洗面台。


小物がきちんと整えられ

グレードの高いホテルにあるような雰囲気だった




小さなタオルをさっと私に手渡して

そこから出て行く彼。

私に触れようとはしてこない



何が飲みたいか聞かれて

ビールを指定した。



そして、

数日前に届いた例の商品を見せてもらった。


私がずっと欲しかったものを

彼は簡単に手に入れる事が出来る。  


格差を感じた瞬間だった



テイクアウトしたものをお皿に載せて

サラダをボウルに盛り付け、

向かい合ってテーブルに座る。


最初の公園デートではずっと隣を歩き、

ベンチに横並びに座っていたから

向かい合わせは新鮮な感じがする。


この人、こういう顔だったんだ、

と新たな発見があった。


タイプがどうか
と言われると、タイプでは無い。


でも嫌じゃ無い。




2回目デートで家に行く。

それも、よく知らない外国人の家に行くって、

危険なことだと思うのだけど、


この人に関しては何も起きないだろう

そんな直感があった。


むしろ、

この人がどんな流れでS*Xに持って行くのか、

逆に興味が湧いた


でも、ないだろうなと

根拠の無い自信だけが私にあった。



一緒にご飯を食べながら、

色々な話をした。


旅のこと、仕事のこと、

この国に住むという覚悟について

など、話が尽きない



お互いの過去のパートナーについてや、

恋愛観、アプリで何人会ったとか、

プライベートに突っ込んだ話は全く出てこない


セクハラ混じりの話も一切無し




初回の公園デートと同じ感じで、

あっという間に時間が過ぎていった。


この日、私はお礼を兼ねて

ケーキを持参していた。


「コーヒー飲む?用意するよ」


彼が席を立った後、

     私は自分の携帯を見た


その瞬間、


私は自分でもびっくりするような


大声を上げた





門限の時間まで10分しかなかった。

絶対に間に合わない。


私の家まで電車で30分はかかってしまう。


こうなることを彼は予想していたの?





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