見出し画像

[re:view] ENHYPEN -FEVER-

天気や気温、体調、気分によって聴きたい曲は常に変化するけど、季節があっていない時期にリリースされた楽曲もあって。今日は夏が終わって涼しくなりそうな今だからこそ聴くべき楽曲をレビューしたい。

2021年4-5月に発表されたENHYPENのアルバム収録曲である『FEVER』。なんとなく、ENHYPENには季節や天気は存在していないイメージ。だからこそ、「この曲はこの時期に聴くべきだよね!?」とカスタマイズできる万能さはあると思ってる。


”此処”ではないパラレルで進む彼らだけの世界観描写

様々なアイドルが独自の世界観を作り出してカムバやMVでメッセージを伝える中、彼らは上記でも述べたように、季節や天気などが存在しない”此処(人間界?地球?)とは異なる世界”に存在しているイメージ。

私の世界で1番納得したこんな言葉がある。(どこの誰の言葉までかは探せていない)

ビートルズの時代から、私たち女の子はアイドルグループに夢中になってきた。あるときは王子さまのように、あるときは同級生のように、あるときはやんちゃな弟のように。いろんな顔を見せてくれる彼らに一喜一憂してきた。中でも、私たちがいちばん胸をときめかせるのは、私たちにキッスを投げてくれる瞬間で はなく、彼らが仲間同士で仲睦まじくじゃれ合う瞬間。男の子同士の揺るぎない友情に、女の子たちが決して割って入ることのできない強い絆に憧れを抱くのだ。

特に、上記にあるような"こちら側"の世界とは完全に切り離された彼らだけの世界を持っているのがENHYPENだと思っています。楽曲やMVの考察記事がすごく多くて、かなり強いイシューをしているところもなかなか珍しい。

この『FEVER』も「アイドルをターゲットにしているゴシップから逃げつつも覚悟を決めて舞台に立つことを選択した彼ら」を模していたり、こちら側の世界と交わりそうで交わらない絶妙な境界を保っているコンセプト、イシュー。

ENHYPENは、デビュー1年目の新人アイドルとは思えない世界観とコンセプトを持っていて、人々はそこにミステリアスな魅力を感じるのです。ストーリーテリングが本当にすごい。


テクスチャー重めのサイケデリックなRnBのメロディ

このメロディを聴いたときに脳が陶酔したようなサイケデリックな感覚を得た。この曲のことばかりを考えてしまうような、中毒になってしまいそうな、頭が熱くなる感覚。「あ〜このRnBの曲調おしゃれだわ〜」っていう感想だけでは勿体ない。

10代のクリアなボイスなのに、テクスチャー重めに後に引くように歌うものだから、一見ミスマッチと思えるのにそのアンバランスさが更に世界観を掻き立てる。一瞬で楽曲の情景をセットアップしてくる。

このテイストの楽曲を聴くと、バンタン先輩の「Stigma」や「House Of Cards」らへんを思い出すんだけど、彼らは爽やかで透明な歌声だから”綺麗”になる。でももっとビターで深い綺麗だけではない世界を作れるのはENHYPENなんだろうなという感じで、それぞれのファンの需要に対する福利厚生が改めて素晴らしい。

そしてダンス。セクシーだの色気がすごいだの言われていたけど決してそれだけではない。『媚びないで、淡白で、造られないダンスほどたちが悪い』(褒めてます)他のアイドルやアーティストがこの手の曲を踊るとき、「こういう表情すきでしょう?」みたいな感じで表情をつくって来るんだけど、彼らはそれがない。

決してこっちに媚びてこないし、すごくシンプルで淡白。しかもメンバー全員でその統率が取れている。本当にたちが悪い、、、悪い男の手口ですよ。素晴らしい。パフォーマンス動画も観てほしい。


そこまで言わせるのか、と耳を疑うリリック

멈춰 제발, 멈추지 마_どうかやめて、やめないで
너 때문에 온몸이 타올라_きみのせいで全身が燃え上がる
너 때문에 심장이 목말라_きみのせいで心臓が切迫している

リリックだけみてしまうとちょっとしんどい。ただライトに受け取ると「こんな言葉を推しが言ってくれるのなんて嬉しいの!」といった感じになるけど、深く読むと「その境地に立たされている彼らに思いを馳せるとしんどい苦しい」になる。こっちのセリフだよと思わずつぶやいてしまいそう。

널 안고 싶어_きみを抱きたくて
널 앓고 싶어_きみのために病みたくて

そしてこのどストレートなフレーズ。ここまで言わせるの?!と耳を疑ったが分かりやすくて、心情の変化や細かい感覚まで言及してくれるのはとてもいい。

メロディとリリックが相まってかなりサイケデリックでディープなのに、それを媚びない淡白なパフォーマンスで仕上げてくる彼らは誰がみても1年目のアイドルだとは思わないだろう。


肌寒い日に、温かいビターチョコレートやホットラムを飲みながら、この曲を聴いて世界に浸りたい。と思ったのが『FEVER』をレビューしたいと思ったきっかけ。こんな感じでシチュエーションから連想される楽曲を聴いて、季節や天気を楽しんでいきたいと、今年の秋冬の目標を残しておく。

ENHYPENの『FEVER』、この季節こそ聴いてみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?