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[re:view] ドラマ -알고있지만 / わかっていても 9話-

ただ観て受け止めて自分の中だけで解釈して楽しんでいたドラマが、時として文章に書き留めて置きたくなることがあって、それが今。どうしても残しておきたいので、昨日配信された「わかっていても」の9話をレビューしてみようと思う。

まず巷では、パクジェオン派か?ヤンドヒョク派か?などつぶやかれているけど、私のスタンスとしては『彼らにとって幸せならどっちでもいい』といった感じですね。もうその世界のあの美大コミュニティに自分がいるように観てしまっているので、ちょっと感覚ずれてきているところです。

中立的で客観的な画面構成と演出

冒頭のシーンで、バーカウンターに肩を並べてセリフをぎこちなく交わすシーンがあるけど、全て後ろからの構成で撮られていて、彼らのアップも無し。背景の音楽も生きている。この撮り方に感動したのですよ。

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後ろからってことはお店にいるお客さんや周りからはこんな風に二人が見えているはず。どちらにも寄せない、非常に微妙な心情の様子を客観的な視点で描くことによって視聴者が目を離せなくなる。次の瞬間に何が起きるのか、僅かな二人の仕草・言葉から察知しようと、目が離せずドキドキして観ていた人も多いはず。(私もそう)まさに釘付けだったわ。

ドヒョクからのメッセージとジェオンの心の声で空気が変わったあと、段々大きくなる音楽で、二人の世界が周りと同じように動き始める流れがたまらなかった。確かにそこに二人の世界はあったんだと感じた。


愛され方と愛し方を知らない不器用な二人

忘れがちだけど、ナビは前の恋愛にトラウマがあり、ジェオンは幼い頃に親と離れて暮らしている背景がある。ナビは愛され方はわかっているかもだけど、ジェオンは誰かを愛して大切にすることを知らない。でも、人は寄ってくるせいで慣れていて、僅かな表情の変化で相手の心情を読み取れてしまう。

ジェオンが『ナビはもう俺から離れていたのか』と言ってたけど、ナビの気持ちを確かめるために、愛し方を知らない不器用なジェオンなりに頑張っていたんだと思う。でもそれをナビは受け止めてあげる必要があるんだけど、ナビも”それ”をわかってないから上手くいかない。何という設定なの。

ソラの『本気の恋は冷静でいられない』セリフのあとに、ジェオンとナビが言い合ってたから、このドラマの中での理論でいくと”本気の恋=ナビジェオン”になるはず。なのに二人の経験が浅すぎるせいで成立していかない。ドヒョクに愛し方を教わり、ジェオンを受け止めてあげるのかしらね(最終回予想)

でもこれってかなりあるあるな社会問題な気がしていて、「自分を愛せないから相手も愛せないし、愛し方を知らない」ってひと一定数いると思う。


”所有”していた蝶が放たれ、自由に

最終話の次回予告で最も衝撃的だったシーン。たった一秒もないくらい短いシーンだったけど、なんとも言えない胸が苦しく泣いてしまった。

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ジェオンが飼っていた蝶を外へ放っているシーン。蝶・ナビをようやく、自由に羽ばたかせたんですよ。つまり、ナビからは身を引いて彼女が1番幸せになる選択をしたということだと解釈しました。

こんな比喩ありなの、、このドラマの中でナビと蝶を重ねて表現することはあったし、どんな気持ちなのか現状を把握するコミュニケーションとしてすごく分かりやすくて観ている側は助かってたけど、この例えほど苦しかったものはない。この予告のこのシーンだけで、思い出して何度も泣いてしまう。儚くて美しくてつらすぎる選択。

と、何を言っても来週には最終回を迎え、この物語が幕を閉じるわけだけど、個人的にはソンガンが幸せになる様子を観たいからジェオンに収束してほしい思いもあったりする。

周りの人達が幸せになっていく一方で、愛し方・愛され方を知らないままの二人はずっと止まったままなのは苦しいけど、どうか全員が幸せになれる最後を描いてほしいです、、(平和主義)

他にも同性同士のカップルに対する考え方や、人が成長して変化していく様子を美しく提示してくださるので観ていて本当に学びになり、経験になることが多い。韓国ドラマが深くてやめられなくなる理由の一つ。こんな素晴らしい教材をエンタメで配信してくれてありがとうと思うところで、来週を楽しみに待とうと思う。

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