桜雪

創作小説と読書などの日常を書いているアカウントです。

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最近の記事

コミティア145に参加します。

明日はコミティア145に参加をします。 私は既刊だけの持ち込みになりますが、合体SPのきんぎょさんの豆本のお話を書かせて頂きました。 明日、お会い出来る方はよろしくお願いします。私も久々のイベント、楽しみにしています。 #コミティア145 #コミティア #ファンタジー

    • テレーゼのために 第三話

      「入りますよ、アンネさま」  部屋の扉を開くと、アンネは口許を綻ばせつつ、グラスに菫色をしたワインを注いでいる。「遅かったのね。エミリオ。貴方の可愛い天使はもう帰ってしまったわよ」 「あなたの呼び出しさえなければ、テレーゼとは同じ馬車で帰れてましたよ」 「悪かったわ」 「……悪いとも思われてもないのに、謝られるのはいかがかなものかと思うのですが」 「エミリオくらいよね。私に騙されてくれないのって」 「どんなに性格や底意地が悪くても、あなたのように麗しい顔さえしていれば、おめで

      • テレーゼのために 一話

        <あらすじ>  エリザベスとテレーゼ、ふたりは何百回目か分からないお茶会を繰りかえす。この世界はエリザベスの言葉を信じるのなら彼女の前世で流行っていた『金糸雀<カナリア>は君のために唄う』という乙女ゲームによく似た世界らしい。ヒロインがエンディングに向かう前に殺されてしまうことで、世界が終わりを迎えられないじゃないかと、エリザベスは推測する。  今まで、茶色の蔓薔薇が巻かれた扉が出てきたが、今度は青い薔薇が咲いている扉が地面から出る。  その扉をみて、エリザベスはテレーゼに

        • テレーゼのために 第二話

          「おい、テレーゼ!」  テレーゼが周囲を見渡すと、並べ置かれている騎士たちの鎧の後ろに隠れていたアベルが手招いてくる。アンネとの楽しいお茶会のあとで、珍しく、アベルに呼びかけられたことで、口一杯の砂を突っこまれたような気分にテレーゼはなってしまう。 「あら、アベルさま。もうお加減は宜しいのかしら? あなたの乳兄弟のドニが顔一面に冷や汗を掻きながら、アベルさまは具合が悪くて一緒にお茶が出来ない、と聞いたのだけれど。お渡ししたハンカチは返さなくて結構よ?」 「お前はいちいち、嫌味

        コミティア145に参加します。

          僵尸使いのお妃さま 第五話(最終話)

          「……小龍兄様」  小龍は麗花にすまなそうに頭を下げる。 「明林?」  彼女の唇の動きを読めば、麗花の部屋に無断で入ってきたことで不審人物かと思ったが、明林によって伸された相手が小龍だと知り、黎家に迷惑をかけた仕置きも兼ねて、物置部屋に閉じこめていたらしいのだが、そのことを忘れてしまっていたらしい。  自分の頭をいけない子だったと言うようにこつんと叩く明林の姿をみて、わざと麗花に言うことを忘れて、彼が肉塊へ変わってしまうなら構わないと思っていたのだろうが、小龍が情報を持ってい

          僵尸使いのお妃さま 第五話(最終話)

          僵尸使いのお妃さま 第四話

           余暉からの許可を貰い、平服を着ると、明林を連れて麗花は夜になると墓荒らしの現場へと赴く。自分の腰に力強く抱きついている相手が気になって、つい麗花は後ろを見てしまう。 「あなたまでついてこなくて良かったのよ?」  兄や姉の僵尸たちから散々、恐い目に遭わされてきた余暉は、墓場や怖いものが大の苦手だ。それでも、自分が行かないと外出の許可が出来ないと彼までついてきた。 「ど、どうするんだ」 「この人達に話を聞こうと思って」  墓荒らしにあった現場近くの墓を明林に掘らせると、麗花は懐

          僵尸使いのお妃さま 第四話

          僵尸使いのお妃さま 第三話

           占術は得意ではなかったが『会った方が良い』と示された結果に麗花は書かれた文字を見つつも唸る。 「ごめんなさい、明林。やっぱり、じじさまとは会わなくてはいけないみたい。私の代わりになって貰っていいかしら」  明林は仕方がなさそうに頷く。僵尸同士でも色々とあるのか、明林はじじさまが好きではないようだ。  自分の服を彼女に代わりに来て貰い、麗花は万一の場合に備えて宮女の格好をすると自身に隠形法をかけた。 「どう? 周囲からみて、私の姿は見えない?」  大丈夫だと明林から太鼓判を押

          僵尸使いのお妃さま 第三話

          僵尸使いのお妃さま 第ニ話

          「それで、また、じじさまからなにか言われたんじゃないの?」  いつまでも、くっつき虫のように離れない余暉に麗花は声を掛ける。彼が大概、こうして弱っているのは彼のじじ様のこと以外はない。  少しは子孫の頑張りを認めようとしたのか。また、余暉を可愛く思うが為か、最近の星彩は余暉を試すような無理難題を課す。そのことに疲弊した彼が愚痴を、幼馴染の気安さもあって、弱味を吐き出しに来ることが日常化している。  幼い頃は可愛く『姉さま』と慕い、妹と自分をとり合っていた余暉だったが、さすがに

          僵尸使いのお妃さま 第ニ話

          僵尸使いのお妃さま 第一話

          〈あらすじ〉  後宮の妃のひとり。四夫人の貴妃の麗花の元に皇帝である余暉が訪れる。彼の悩みは長く続くこの国の皇帝が、自分の他にもうひとり存在することだった。長く国を治めている僵尸の星彩は、子孫に政務を任せない。  ただ、星彩から出された、謎を解けば、政務を任せて貰えると、張り切った余暉と共に墓荒らしの謎と相談を受けた賢妃の為、麗花は行動をしていたが、ふたつの事件が繋がっていたことを知る。無事に事件の解決したふたりだが、星彩が望む条件には、まだ、まだ遠いだろう。  今日もまた

          僵尸使いのお妃さま 第一話