Letters　４通目

「おはようございまぁす！」
「おはよう...」

金曜日。恒例の書類チェックやスケジュール確認の日。そして、前倒しで出来る仕事に手をつけること…今日の仕事内容を思い浮かべながら、会社に早く行くと、金子さんが既にオフィスにいた。壁掛け時計を見ても、改めてスマホを見ても、まだ朝の８時前だった。この時間に金子さんがいることに驚いた。

「今日は早いね。どうしたの？」
「昨日お泊りだったんですぅ！彼、やることがあるからってもう仕事に行っちゃってぇ、仕方がないので、早く来ちゃいましたぁ！」
「そっか…」

どこかで聞いたことあるような話だな、と思いながら、デスクに鞄を置いてパソコンの電源を入れた。金子さんも自分のデスクに座ってはいるが、机の上にうつ伏せで寝るような状態になって、スマホを見ていた。確かまだ２０歳だったっけ…私もあんな風だったかな、昔は。職場に来てもやる気が起きず、上司の目を盗んではサボっていたような気がする。
金子さんを見ると、まだ甘えただった自分を思い出す。だけど、つい先日大きなトラブルを起こしたばかりなのに、引き続き休むことなく出勤してくるのは凄いな、と思う。自分にも多少の責任があることを理解していないのかは分からないけど、彼女の強いメンタルがあれば、どんな会社でもやって行けるだろう。

「河合さんってぇ…石井くんと付き合ってるんですかぁ？」
「…どうしたの、急に」