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ぶっくめも 2023年4-6月

この3ヶ月もひたすらに本を読んでいたわけなのだが、

最近は特に、小説から人生の指針となる言葉や
考えさせられるようなテーマをもらい、
それらが思考の余地を埋めるように
ぼーっと考えるきっかけとなったので
ただ物語を楽しむ以外の楽しみ方を学んだ、
そんな3ヶ月だった。

この期間でただ物語を楽しむ以外の楽しみ方のきっかけをくれた、素敵な本たちとの出会いを、
感想と共に書き残しておこうと思う。
(★は個人的なお気に入りの目安ですので、お気になさらず)


陽気なギャングの日常と襲撃:伊坂幸太郎

★★★☆☆
陽気なギャングシリーズ第二弾。
第一弾は4人みんなで行動していたが、第二弾ではそれぞれが事件に巻き込まれて、一つの事件に繋がっていく構図だったので、1人ずつに焦点当てて読めて、各人物の個性を前より知れた気がする。


嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え

★★★★☆
2年前に読んだのを読み直した。
昔は「こういう考え方があるのか」と
頭の上から雷が落ちたような衝撃を覚えたが、
今回は「何となく共感できるな、自分もこの考え方を大切にしているな」と、自分の感じていることや2年間で学んだことが、より具体的に言葉になったものを読み直している感覚になった。
また2年後、自分の人生や幸せ、世の中に向ける見方が変わるかもしれないその時に、読み直してみたい。


アヒルと鴨のコインロッカー:伊坂幸太郎

★★★★☆
もともと伊坂幸太郎作品への勝手な偏見として、
「どこかで勧善懲悪がテーマになってるから、
悪者が倒されてスカッとして終わるんだろうな」
という思いがあったが、
この作品はどうにも違ったらしい。
ドルジが友人2人への思いを胸に起こした事件の
一連の様子を知って、とても切なかった。


スター:朝井リョウ

★★★★☆
YouTubeやnoteのような、参入障壁が少なく
様々な人が何かを生み出すことができるようになり、
色んなスタイルのクリエイターがいる今だからこそ、
「何を大切にしてコンテンツ作りをするのか?」
という信念との向き合い方で
葛藤する若者を描いた作品。
今の時代は情報の移り変わりも激しく
よりスピード・効率が重視される気がしているが、
自分が大切にしたいと思っている信念や、
生み出すものへの想い、
情熱は絶やさずに生きていこうと思えた。


論理的思考のコアスキル

★★★★☆
そもそも論理とは何か、論理的思考とはなにか、
論理的思考をするためには何が必要なのか、という
当たり前でも自分が理解できていないことを
とても丁寧に解説してくれた一冊。再読必須


白熱日本酒教室

★★★☆☆
日本酒の全体像がクリアになった一冊。
今までは「甘口」「辛口」しか違いが分からなかったが、この本を読んでラベルから好みの日本酒と出会えるようになる予感がする。


明るい夜に出かけて:佐藤多佳子

★★☆☆☆
トミーの荒んだ、怯えた心にラジオとカザワ、サイコ、永川の凹凸3人組の思いが染み込み、
なんともほっこりする作品だった。
サイコの劇が発するメッセージと、
サイコの劇後に作られたカザワの曲、
ラジオのどんでん返しから来る将来の夢という
一筋の希望が見えた瞬間が好きだった。
物語の語り口調がトミーの心を言葉を選ばず
吐露しているようだったので、
どちらかというと淡々と物語を進めていく
口調が好きな自分の好みには合わなかったよう。


サブマリン:伊坂幸太郎

★★★★★
"自分の意思ではどうにもできない、やむにやまれぬ衝動を暴力ではない形で発揮すること、そうやって社会に参画すること。
そのような個性と社会性の間で揺れ動く表現こそが
不幸な状況に置かれてしまい罪を犯したものにおける
幸福の第一歩かもしれない。
社会から逸脱してしまった者たちの救済を目指す物語。"

矢野利裕さんの後書きにこの本の全てが詰まっている感じがした。
陣内の型にハマらず、周りに迷惑をかけるが少年たちの救済に本音で向き合う姿に心動かされる。
その姿は「砂漠」の西村のような振る舞いで、とても好きだった。


オー!ファーザー:伊坂幸太郎

★★★★☆
悟は知的さが、
葵はスマートで自分の特徴を踏まえた頭の良さが、
鷹はグレーゾーンに踏み込む勇気が、
勲は力で相手をねじ伏せられる力技が、
というように四者四様のかっこよさがあった。
ひとりの女性に4人とも惹かれて共同生活をしている奇妙さがありながら、母と由紀夫を心から愛しており、お互いを信用して協力する姿が心温まる。由紀夫もガソリン生活の弟のような落ち着いた感じが印象的。
また、5人が行ってたファミレスはおそらく「ガソリン生活」で度々登場した所だとあとがきから判明したので、作品の繋がりが見えて面白かった。


女のいない男たち:村上春樹

★★★☆☆
この本の感想ではなくなるけど、村上春樹の作品は情景が色鮮やかで、読んでいながらアート作品を見ている気分になる。
この本ではイエスタデイという話が好きだった。


マリアビートル:伊坂幸太郎

★★★★☆
「グラスホッパー」の何年か後を描いた作品で、
「グラスホッパー」に出てきた主人公の鈴木、
スズメバチ、令嬢、あさがお(繁)など、
「グラスホッパー」の中心人物たちが密かに大集合していて、作品同士を繋げてくるあたりに伊坂幸太郎みを感じで嬉しかった。
あさがお(繁)の正体に1番驚いた。
この作品にもサイコパスと呼ばれる人種(=王子)が登場するが、善良な心を少しでも持っていると自覚している人はサイコパスと対峙した時にどう振る舞えば自分に害がなく、幸せに生きられるのだろうと、考えさせられる。


死神の浮力:伊坂幸太郎

★★★★★
死神の千葉、山野辺のお父さんがいい味出してた。
特に、一見自由に家族のことを省みず自分のことだけを考えて生きているように見えた山野辺のお父さんだが、確固たる信念や葛藤を抱えて生きているところに
同情できて憎めない存在だった。
死に対してどう向き合えばいいのか、を
作中のバライティ豊かな登場人物と共に
ふわっと投げかけてくれる作品だった。
「怖くないことはわかっているんだ。お前が怖がる必要はどこにもない。だから、先に行って、怖くないことを確かめてくるよ。」
「親ってのは、子供の人生が無事でありますように、と思わずにはいられないんだよ。」
山野辺のお父さんの発した言葉たち、とても好き。


死にがいを求めて生きているの:朝井リョウ

★★★★★
「ナンバーワンではなくオンリーワン」を掲げた平成という時代は競争が排除され、個性が尊重される時代だった一方、SNSが登場し、色んな人の日常にアクセスできるようになり、比較対象が格段に増し、
強すぎるくらいの個性がないと個性丸ごと、
かき消されてしまうような時代でもあったのだと思う。
とくに、自分が大学の5年間で個性探し、
自分探しで葛藤していたように。
だから、雄介の「誰かに自分はすごい何者かであることを証明したい、証明できなくても偽りたい。」という気持ちがよくわかった。
話の冒頭から雄介の印象は180度変わったが、
それでも
「だったら、今日が何か変わる前日なのかもしれないって、思おうよ。」
という一言は結構すき。


ホワイトラビット:伊坂幸太郎

★★★☆☆
「物事の全体像を捉えてみて、初めて真実がわかるんだよ」ということを再度強く強く認識させられた一冊。
伊坂幸太郎はよく「家族だと思ってたこの3人は実は家族ではなく、雇われの演者だった」みたいなネタバラシを好むように思うが、まさにそんな”伊坂幸太郎み”を感じられるお話だった。


フーガはユーガ:伊坂幸太郎

★★★★☆
優しさとは人に親切にすることではなく、
人の憂い(つらい気持ち、悲しみ、嘆き)を分かってあげることらしい。
この作品も、ただ勧善懲悪を表した作品ではなく、
現実に辛い状況で憂える人を置き去りにしないという
”優しさ”が込められていたように思う。


* * *

最近は伊坂幸太郎の作品以外にも読みたい本が多いので、忘れないように以下にメモする形で色々と読んでいきたいと思う。

・香君 上 西から来た少女(上橋 菜穂子)
・香君 下 遥かな道(上橋 菜穂子)
・宙ごはん(町田 そのこ)
・原田マハさんの本
・教育系の本
・哲学系の本

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