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ぶっくめも 2023年1-3月

「最近のやりたいことは、部屋に篭って思う存分本を読むことです。」

そう公言するくらい読書欲が高まっていた、
2023年の初めからこの3ヶ月間。

狂ったように本に没頭していた。

この期間でとても満たされた気持ちにさせてくれた
素敵な本たちとの出会いを、感想と共に書き残しておこうと思う。
(★は個人的なお気に入りの目安ですので、お気になさらず)


★★★★☆
荻島の住人の不可解と言える動きの謎が判明していく過程が面白かった。
「未来は神様のレシピによって決まる」という、後に伊坂幸太郎の小説で幾度となく登場する言葉の意味が前面に現れている本。


★★★☆☆
4人の強盗が意外とお互い信頼している雰囲気が好きだった。
4人とも悪さをしているはずなのに、人間的に強く飄々としていてかっこよさすら感じる。4人の視点がどこかしら繋がっていたので、不意をつくような伏線回収はなかった。


★★★★★
伊坂幸太郎の作品の中で不動の一位になるかも、と感じるくらいに兄弟の愛、家族の愛にものすごく感動した。春の葛藤が兄目線で語られていて、胸が締め付けられた。「本当に深刻なものは、陽気に語られるべきなんだよ」という言葉は覚えておきたい。


★★☆☆☆
伊坂幸太郎の本で面白いのは、「結局この人ってどういう背景持ってるの?」という疑問が意外と解消されないところにありそう。今回の3人の殺し屋たちも互いの背景は知らず、ただある瞬間に互いのある一点が混じった感じ。オーデュボンの祈りの「未来は神様のレシピによって決まる」が作品中に再登場し、その言葉を理解するには1番状況として打ってつけな小説だったかと思う。


★★★☆☆
物語が終わるからと言って、登場人物たちの人生はさほど前進していないのに、なぜか話が終わる頃には皆前向きさを持つ様子を見て、自分達の日々を俯瞰しているようだった。今回の作品にも「神様のレシピ」は登場し、他の作品(オーデュボンの祈り,重力ピエロ,陽気なギャングが地球を回す)とのリンクもあって面白かった。複数の作品を読んだ後に読むのがおすすめな1冊。


★★★★★
重力ピエロ越え確定、再読必須の小説。
伊坂幸太郎ではほぼ初めて?の青春小説だったが、”砂漠”という社会に出る前のオアシス期間に、「その気になれば砂漠に雪を降らせることもできる」という経験を得ることが、砂漠という社会に出る際に大事だと教えてくれた本だった。とてもよかった。一歩踏み出す勇気を得られる本。


★★☆☆☆
「壮大なシステムが張り巡らされた現代では、大きな目的に向かって行動することが難しいので、小さな目的に向かって行動することしかできないのではないか」というお話。勧善懲悪なストーリーを好む(と勝手に思っている)伊坂幸太郎にしては、とても対峙する敵がふわってしていたという印象を受けた。話が難しかった。


★★★☆☆
"対峙して勝ち目がなければ、潔く逃げろ!"
"人間の最大の武器は、習慣と信頼だ"
という意味合いが詰まった話で、青柳と周りの人が相互に信頼することで話が完結する点が温かさを感じられた。実はあとがきがとても好きだったのでもう一度読もう。


★☆☆☆☆
なぜ少年が引きこもったかは分からなかったけど、株を買い戻すことを仄めかしてた最後は「辛いものは物語にするとのりこえられる」というメッセージを強く伝えられるものだったと思う。


★★★★★
星を10個にしたいくらい、よかった。改めて「すごくない人生を歩もう」と決意できる本だった。自分の存在は、宇宙から見ればちっぽけで、たまたま自分が存在している4000週間は歴史の中で最も重要なクライマックスではないというメッセージと宇宙的無意味療法がとっても印象的。再読必須。


★★★☆☆
子供を心から信じられないとき、親は子供に依存し、年になると依存先を率先して探すようになるらしい。目の前の人を無条件に信じることこそが、大切にする人への向き合い方なのだとこの本から感じた。


★★☆☆☆
ゲーム小説と呼ばれるジャンルの本らしい。ファンタジー味が強く、最後の伏線回収が圧巻だった。


★☆☆☆☆
この本にはハマらなかった。ハードカバー版、マガジン版、文庫本版の中で文庫本版が1番伊坂幸太郎っぽくて面白いと思った。


★★☆☆☆
クーパーという存在、鉄国の兵士の存在、冠人と酸人の似て非なる関係など、最初から謎だらけの物語がとても綺麗に整理されて終わっていくのが快感の一冊。猫とネズミ、鉄国と自国の対比関係も先が読めて面白かった。複眼隊長かっこいい。


★★☆☆☆
結局「あのバス」はなんだったのか。
そこを知りたくて最後まで読んだが、明かされぬまま終わった。持参の辞書の言葉たちを黒く塗りつぶす繭美もとても異質な存在で、今回は彼女が何を象徴した存在なのか分からなかった。不明点が多く、消化不良だったので再度読んでみたい。


* * *


この1年間で伊坂幸太郎の長編小説を読破しようという、
1年間の目標通りに伊坂幸太郎漬けの3ヶ月を送ったようだ。

ビジネス系の本、教育についての本、哲学系の本は何冊か読みたいと思うものがあるので、次の3ヶ月は小説以外も読んでいきたい。


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