返事と相槌が嫌い


私は返事をするのが苦手だ。

たとえば「お風呂入ってくるねー」に「はーい」と返事するのも苦手だ。というかしたくない。
「お風呂入ってくるねー」と言われて「はい(了解)」以外でなにかあるだろうか。

もっというと私は相槌を打つのが嫌いだ。
たとえば「(テレビの人に対して)この人老けたね」に「うん」など。
心底どうでもいいし、興味が無い。

そう、興味が無い。幼い頃からだけど何に対しても興味が薄かった。
だから他人の興味のない何かに自分の喉や口や首を使って応えるのが億劫で仕方がなかった。


私がこんなに日常的なコミュニケーションの一つを嫌いになってしまったのにはもちろん理由がある。

父だ。

父はよく私にあらゆることを聞いた。
もちろん親子だし一緒に住んでたので日常的だ。

父は「○○だよな?」と1度聞き、私が「はい」と答える。
すると父は「な?」ともう一度聞き、私は「はい」と答える。
すると父はまた「な?」と聞き、私は疲れながらも「はい」と答える。

これがうちの日常だった。
想像してみればわかるがこれを日常的にやられたらストレスだ。もちろんストレスでたまらなかった。

たまにはこのやり取りが高速で行われることがある。

父が間髪入れずに「な?」「な?」と攻撃するのだ。
ターン制のはずが父の機嫌が悪かったりすると連続攻撃のクリティカル率が上がるのだ。

私はそれに乗ってうっかり「はい、はい」と答えてしまった。
一応「はい ○ はい」と間があった。

しかし父はそれを許さない。そんな器はない。
父は揚げ足を取るように嬉々として「ほら!はいはいって!遂にそういうテキトーな返事をするようになったな!」とヒートアップした。
私は疲れ果てていたし、否定を素直に受け入れる相手じゃないので黙って俯いた。

そんなこともあった。

私は父と会話した20年のうちで一生分の「相槌」を使い切ったように思う。

だからこんなに疲れて現在もこれからも壊れたコミュニケーションに苦しめられているのだ。


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