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ずっと行きたかったあの場所へ

「ついたー!」
飛行機を降りて一番はじめに思ったことは無事に到着できた安心感と、乗り継ぎを経てようやく目的の国に到着した達成感だった。

日本の真下、地球のへそ、エアーズロックという名前で知られているオーストラリアの中心地「ウルル=カタ・ジュタ国立公園」に向かうために、オーストラリアのシドニーに降り立ったのは1年前、2019年10月8日だった。
史上最大規模の台風が日本に向かっている最中、無事に予定の日にち通りに帰国できるのか?と若干の不安を抱えながら私はオーストラリアへ向かった。

「ウルルへ行ってみたい!」
そう私が思ったのはおそらく小学生の頃だ。当時夢中になっていたものはゲームでも公園で遊ぶことでもなく、「国旗」「歴史」そして「世界遺産」。
-なんとも変わった小学生だった。おそらく世界遺産の写真集か何かでも見ていたのだろう。見渡す限りの大自然、周りに何もない広大なオーストラリアの大地にたたずむウルルを初めて見たとき「行ってみたい!」と思ったのだ。

シドニーからウルルに向かう朝、日本と真反対の季節であるオーストラリアの朝は冬が終わる頃だったがとても寒く、海辺にあるシドニーの空港は冷たい風が吹き付けていた。
いよいよ離陸し、都会で近代的な建物がひしめくオーストラリアの大地にしばらく見入って、気付いたら眠っていた。

目が覚めて景色を見ると、あんなに建物があったオーストラリアの大地はどこにもなく、見渡す限り茶色やオレンジの世界。剥き出しの大地が眼下に見えた。

しばらくすると左側の窓側に座っていた乗客たちが次々と歓声を上げた。私が座っていた右側は見えなかったが、左側窓辺の眼下にはウルル が見えていたのだ。ああ!上空から見てみたい!席移動したい!という衝動をグッと堪えて、私は念願の大地への着陸を今か今かと待っていた。

到着してまず感じたことはシドニーとは比べものにならない暑さだった。さすがオーストラリアの砂漠地帯…とにっかく暑いのだ。着いてすぐ防寒ジャケットを脱いだ。

ウルルの滞在期間は2泊3日。その間に参加したアクティビティは、「カタ・ジュタ散策」「ウルルサンセットツアー」「ウルルサンライズツアーと麓めぐり(登山希望者は登山)」だった。

カタ・ジュタは右を見ても左を見てもそびえる岩、その間から見える青空がとても綺麗だった。ハエが鬱陶しかったが、そんなの気にしない。私の心は完全に舞い上がり、終始ハイテンションだった。

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三脚を置き、延々と1人で大ジャンプをしていた。

サンセットは軽食を食べつつシャンパンを飲みながら、逆さまのウルルを撮影したり、贅沢な時間を過ごした。シャンパンを飲みながらサンセットを見るなんてきっとこの先なかなかない体験だと思う。

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次の日はサンライズツアーで朝がとっても早かった。
眠い目を擦り、太陽が沈んでいる間は寒い砂漠地帯特有の気候にも耐え、配られたココアを飲みながら夜明けを待っていた。数分待っていると、地平線の彼方から太陽の頭が見え、ウルルを照らし出した。太陽の光で煌々と照らされた世界最大級の一枚岩はそれはそれは綺麗だった。

その後は、麓の散策。ガイドさん案内のもと、アボリジニの神話や生活様式、ウルルができた歴史を知ることができた。

そして私がもう一つ望んでいたものーそれはウルルへの登山だった。私が滞在した日から15日後、ウルルへの登山ができなくなった。つまりこの時が最初で最後のラストチャンスだったのである。

散策ツアー終了後、気温の高さ・風の強さ、様々な条件をクリアし、登山道が開放されていた。ツアーの都合上、一度宿に帰り荷物を置いて、すぐにまたウルルの麓へ向かった。

念願のウルル登山、登ってる途中の感想を正直に言うと…
『とにかくしんどい』『脹脛が破裂しそう』『息切れがひどい』とツラツラ書いたが、
もう一言で言うと『しんどい、下手したら死ぬ』という緊張感でしかなかった。しかし、時々平坦な道を通っているときに合間に見えるオーストラリアの大地は、本当に綺麗だった。日本と違い山が見えないのだ。見渡す限りの地平線、うっすらと見えるカタ・ジュタの形、オレンジと茶色の大地-何度も足が止まった。

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念願のウルル山頂からの眺めは登ってくる途中のしんどさを忘れるくらい、とても綺麗だった。私はカメラとGoProを使い、ここでも一人大ジャンプの写真を延々と撮っていた。ちなみに次の日しっかりと筋肉痛になった。

去年のあの日、私は確かに初めて海外で一人旅をしていた。来年はどこに行こうかな?何しようかな?タイのコムローイにも行きたいな!などなどいろんなことを考えながら-
1年後の世界がまさかこんなことになっているなんで思いもしなかった。

『そこでやりたかったことを最低1つ残して帰る』。
これが私の旅スタイルである。まだウルルでやり残していることがある。回収できていない私の願い…
キングスキャニオンの散策とセグウェイでウルルの麓を散策すること、この2つ。そしてシドニー乗り継ぎだったたので、今度はグレート・バリア・リーフを見るためにケアンズ乗り継ぎをしたい。

一体いつになったらまた普通に、世界へ旅に出ることができるのだろう?地球で思いっきり遊ぶことができるのだろう?そんなことを考えながら、今日も私は1年前の今頃への思い出に浸っていた。


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