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[雑記]憧れの山コーヒー
「山登りと人生について」という記事のこぼれ話的なものを。
前々から、山コーヒーに憧れがあった。
コーヒーだけじゃない。
山で食べるカップラーメンとか、スキレットで焼いた目玉焼きとか、頂上で炊いた(うまく炊けないらしい)ごはんとか、そういった「アウトドアならではの食体験」に憧れがある。
ただ、キャンプや登山ってどうしても専門的な道具が色々と必要な気がしてなかなか重い腰が上がらず、これまではそういった機会を設けることなく生きてきてしまった。(ゴルフとかもその類よね、)
でも、今回はせっかくのスペイン1周年記念登山。
いつもはおむすびを持って行ったり、前日のたこ焼きパーティーの残りを持って山の頂上でたこ焼きに食らいついたりしていたのだけど(それはそれで良かった)、今回は「おいしい山コーヒーを飲む」を目標に掲げることにした。
お湯を沸かす道具を買う時間がなかったので、保温瓶でアツアツのお湯を用意。(これがのちの頂上での災難で自分を救ってくれることになるとは夢にも思わなかった)
割れない素材のマグなんかも持っていなかったから、家の近所の雑貨屋さんで当日の朝に買った。
肝心のコーヒーは、その前週にたまたま用事があって訪れたロンドンにて、これまた偶然出会えた"Fugulen coffe"の豆。
それらを携えて、いざ出陣!
待ってろ 最高のコーヒー時間!!!
という具合に勇足で出発して、頂上にて突然の暴風と初雪に見舞われたことは、すでに前回の記事に書きました。つらかったよ。
実は渦中にあって私を助けてくれたのは、奇しくもこの山コーヒーのために用意した保温瓶だったわけです。
...
頂上だったがゆえにほとんど身を隠す場所もなく、半身雪にあてられている最中はさすがに手足も痺れてくるほどに寒かった。体温を下げぬよう必死で縮こまっていたけれど、心細さも相まって、どんどん身体が冷えていく感じがする。
そんな中、震える手でなんとかリュックをこじ開けて、保温瓶のお湯をグッと流し込んだ。
「....あ"っっっっっづぅ...!!!!!」
激アツ。声出た。
保温力をナメていた。
家出てから4時間は経ってたからさすがに温度も下がってきてるかなあとか思ってたけど、多分普通に80℃以上はあった。
でもなんだかその一瞬で心も身体もホッとして、そうしてあっという間に晴れ間が出て虹が見れた。
...
それが前回記事までの裏話なわけだけど、ここから実は続きがあって、その晴れ間のあとにもうひとつ大きめの雨雲が近づいていることを、私はすでに予知していた。( サヤ は 危機管理能力 が 1あがった! )
そこからはもう滑り落ちるように、いや半ばガッツリ滑り落ちながら岩斜面をくだっていく。
登りで2時間ほどかけた距離感を、40分くらいで駆け降りた。
途中なんどか小雨にあてられたけど、ヤバイヤバイヤバイ!とか1人でボソボソ言いながら走り抜けてるうちに、いつのまにか少し開けた場所に辿り着いていた。その頃には強まっていた風も止んで、雨雲も遠くの方へ行っていた。
助かった.......
と、同時に、
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きのこパラダイス に、遭遇。
いつもこの斜面から降りる時は一旦この平地に辿り着くんだけど、今回はすこし様子が違った。
あたり一面に、きのこ達が居る。
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この光景もまた、1年記念の贈り物かしら
などとメルヘンなことを考えながら、ここでようやく腰を据えてコーヒーを淹れることにした。
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丁度、ひと休みに良い風合いの木と、テーブル代わりの岩を発見。だんだん陽も差してきて、気温も少し上がった気がする。ほっと一息ついて、いそいそとコーヒーの準備開始。待ちに待った瞬間にニヤニヤが止まらない。
その頃にはさっきまで吹き荒れていた風も止んでいて、お湯を注ぐ音と、ときどき鳥の鳴く声しか聞こえなかった。
自分以外だれも居なくなってしまったみたいな空間の中で、静かにコーヒーを淹れる時間。
嗚呼、素晴らしき人生。
豆の香りに包まれた途端、なんだかもう幸せすぎて ハァア...! みたいな声が出た。誰かいたら一躍危ない人だった。
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コーヒーのお供には、自家製のカンパーニュと生ハムと美味しいオリーブオイル。これまでの山登りにはおむすびを携えていたけれど、こういうのも良いな。1年経って、スペイン感が出てきたのかもしれない。
そんなこんな、雨に打たれた後の山コーヒー。
思ってた以上に素晴らしい一杯になりましたとさ。
さて、実はこの地点から完全に村に降りるにはまだ2時間弱ほど歩かなければいけなくて。結局この日は、11時くらいに登り初めて、18時くらいに村に帰ってきた。随分と長旅だったな。
家までの帰りのバスの中では、またもや急な雨が降ってきた。ギリギリ逃れたけど、なにかと不安定な天気の日だったみたい。
疲れた体をそのまま休めても良かったけれど、こんな日はどうしても暖かな場所に足を運びたくなるもので。
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湯気を求めて、来てしまった。
お気に入りのバル「Mesoi Barria」。
ここの Albondigas(ミートボール)が大好きなもので、心の安らぎを求めているときは何かとこれを食べに来てしまう自分がいる。
なにより、暖かくて賑やかな店に入ってホカホカと湯気が立つ料理を前にすると、疲労感を伴って冷えた身体がじんわり溶かされていくような心地がする。
帰るまでが遠足とはよく言うけれど、暖かなバルへ足を運ぶまでが山登りなのかもしれない。
大変に充実した1日でした。
おしまい
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