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英語科教員日記#1 非常勤講師時代

Sayaです。大学卒業後、1年間は某スイミングスクールの選手コースを担当していた社員でしたが、英語力の劇的な低下に耐えきれず、英語科教員への道を目指したのが、社会人2年目のこと。

今もあるけど、教員にも派遣会社がある。どうすればいいか分からなかった私は、とりあえずそこに登録して、当時住んでいた県の、車で1時間くらいかかる場所にある中高一貫校の高等部を指導することになった。

……ここからが、私の激闘が始まった気がする。

私立高校の中高一貫校、という響きから想像するイメージどおり、上位層の生徒はかなり勉強ができて、おまけに論理的。しばらく受験英語から遠ざかっていて、Harry Potterを原書で読めていた程度の英語力の私よりも全然「受験英語」はできた。

悔しかった。うん。高校生に英語で負ける、しかも自分の専門分野……ってわけでもないけど、文法で負けるのは悔しかった。

だから、非常勤講師1年目は、とにかく教材研究に時間をかけまくった。今なら、説明できない文法事項はほとんどないんだけど、当時は私の知識も穴だらけ。たとえば、to不定詞の後置修飾で、ほかの選択肢が不正解である理由を、参考書の答えに書いてない、それ以上の理由を説明することができなかったことの、なんと多かったことか。

その度に、ノートに不定詞の項目のまとめをつくり、上の例なら、同じ名詞の後置修飾としてのto不定詞であっても、SVの関係になっている場合、OVの関係になっている場合、同格関係になっている場合、などなど、色々まとめていった。参考にしたのは、大学の英文学科時代から、今現在に至るまでお世話になっている、江川泰一郎先生著『英文法解説』。辞書も読み込んだし、当然、受験用の副教材の文法書(高校入学時に買う、分厚いやつ)の説明も読み込んだり。動詞、自動詞/他動詞、時制、完了形と非完了形の違い、関係代名詞と同格のthatの違い、関係代名詞と関係副詞の違い、主語としての動名詞と文頭から始まる分詞構文の違い、et cetera, et cetera.

授業をしていて、生徒から質問があって、答えられない度に、「ちょっと調べてから次回説明するね」といい、猛勉強していたなぁ。問題集を一周して初めて、「あーーー、そういえば仮定法の次って話法の転換だったな」とか思い出したり、平叙文が続く場合と疑問文が続く場合だと間接疑問文で使う動詞が違ったりしていたのを思い出したり。

あとは、根本的なことについては、理解するのは遅かったな。特に述語(predicate)に関して。生成文法と絡んでくるんだけど、働きながら大学院に通って、そこで学んだ英語学の知識は今の私を形成している。

教科書の本文を教えるのは、英語科教員にとっては、実は割とたやすいと考えてる。いや、大切な科目だから軽視してるわけじゃないんだけどね。ただ、教え方の流れ、っていうのがあって、まぁそれに則っていく形だからね。

でも、文法を教えるのは、その人の知識の深さが露出すると考えてる。これは今もそう。

当時は……1年目だったし、すっごく下手な授業だったし、腑に落ちない説明の仕方ばかりで。

そう思って、社会人2年目、非常勤講師1年目の冬に、高校生向けの塾でバイトすることにしたのだった。

つづく…たぶん。

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