#333 衝撃

朝目覚めるとまだ薄暗く、かなり寒かった。
少し布団から出るのに躊躇ったが、5歳児が部屋に入ってきた。
朝からテンション高く、元気に走り回る5歳児。
朝食にはまだ早い時間みたいだったので、少し彼と戯れた。
間もなくするとホストファミリーのお母さんが部屋に来て、朝食の準備ができている旨を告げてくれた。
あと、何か洗濯物があれば一緒に行うので出してと言ってくれた。
まさか洗濯をしてくれるとは思っていなかったので驚いた。
お礼を述べ、まだラグビープログラムが始まっていないので洗濯物はないと伝えた。
食卓に行くと、ホストファミリーのお父さんとステイ中の日本人が席についていた。
朝の挨拶を済ませ、着席した。
朝色はトースト、サラダ、目玉焼き、タロイモ
そして大きなカップに熱々のミルクティーだった。
ミルクティーは甘くてとても美味しかった。
トーストにつけるものに、バター、ピーナッツバター、チョコスプレッドの様なものがあった。
僕はチョコスプレッドの様なものがとても魅力的に映ったのでトーストにたくさん塗って食べてみた。
チョコスプレッドとはかけ離れた味がした。
独特の香りと塩辛味に面食らった。
さすがに美味しく無さそうにするのは失礼だと思い、表情を変えない様になんとか食べた。
このペーストが何か聞くことも出来ず、もう2度とつけない様にしようと思った。
(約30年後、大学生時代ニュージーランドに短期留学した事のあると言う友人にこのことを話すと、何か判明。ベジマイトと言い、世界一で一番まずいジャムと言う異名を持つ。
様々な野菜をイースト菌で発酵させたもので、その独特の塩辛い味とビール酵母の様な香りが特徴の発酵食品。今思えばその時に誰かに聞いてみれば良かったと思った)
ホストファミリーのお母さんはいろいろ気さくに話かけてくれた。
お父さんは寡黙な方で穏やか表情でにっこり笑って座っていた。
その謎のペースト以外はとても美味しくて満たされた。
続く…

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