#320 再び東伏見グランドへ

野球の早慶戦観戦イベントが終わり、数日後同級生Aから僕の家に電話があった。新入生同士のラグビー早明戦が今度行われるので一緒に観に行こうという誘いだった。毎年、春に早慶明の新入生同士が総当たりで対戦するのが恒例だった。新人早慶明と言われていた。
その第1戦目の新人早明戦が早大ラグビー部の東伏見グランドで行われるとの事だった。
その試合は平日の夕方前に行われることになっていたので、僕らはお互いにその日の講義が終わってから東伏見グランドに集合することにした。
あの過酷な新人練習を乗り切り、入部した新入生達が明治相手にどのような試合をするのか観てみたかった。
新人早明戦の日が来て、その日の講義を受け終え僕は新人練習以来の東伏見グランドへと向かった。こんなにも早いタイミングで東伏見グランドに行くことになるとは思っていなかった。
東伏見駅の改札を出たところで同級生Aと待ち合わせた。
ほぼ同時にお互いが駅に到着し、改札を通過し早速グランドへ向かった。
グランドが近づくとお互い少し緊張しつづ、口数も減っていった。
もし入部が叶った場合、出場するかもしれなかった試合をこれから観ることを考えると少し複雑な気分になった。
今日試合に出る早大新人に対しての悔しさや羨ましさなどが心の奥底から滲み出てきた感じがした。
ラグビーグランドに着くと、既に両チームがウォーミングアップを行っていた。僕は新人練習をフェードアウトした身だったので、どこか気まずい気持ちがあった。新人練習を乗り越え、入部が叶ったメンバーの顔はほとんど覚えていた。その彼らにのこのこと試合を観に来た姿を見られるの嫌だった。
間もなく、試合が始まった。試合開始から明大新人チームの圧力は凄く、早大新人チームは押されていた。強烈な突破をしてくる明大新人を必死にタックルで止める早大新人。
この試合はラグビーの特別選抜で入学してきた新入生も出場していた。
この年の花園で優勝したメンバーの一人や高校生の日本代表に選ばれた者など、鳴り物入りで入学してきた新入生だった。

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