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地獄で読書。

だまされる才覚がひとにないと、この世はかさっかさの世界になってしまう。

どんな経緯でそんなことになってるのかわからないけどTwitterで「作家は経験したことしか書けない」というタグが賑わってる。

平安時代には小説は嘘ばかり並べたてたもので、嘘をつく人間は地獄に堕ちるので作家も地獄に堕ちると言われていたらしい。
そのため源氏物語を書いた紫式部を救い、その物語に耽溺した読者も救うために法会が開かれたとか。

「作家は経験したことしか書けない」というタグを見た時にその源氏供養の話と、いしいしんじさんの「だまされる才覚がないと、この世界はかっさかさの世界になってしまう」という言葉を思い出した。

ありもしない嘘八百の物語に耽溺しないと今世で生きていけないのにな。今世がかっさかさの世界無味無臭無彩色の世界になってしまうのに。
自分が経験してない嘘ばかりの物語で読者の今世を彩り豊かなものにしてくれてる作家さんたちは天国に行ってしかるべきなのに。

小説を読んで嘘に耽溺したことで地獄に堕ちても、そこにまた本があればいいのに。そこで本を読んで、そしたらまた地獄に堕ちるかもしれないけど、そこにも本があれば結局また読んでしまうだろう。

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