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教わることが羨ましくて怖い。

最近読んだ本。

とにかく、書いて書いて書きまくること、それも書くことそのものに夢中になって書きまくるしかない。でもそんなに書くことがない、という人は、気の毒だけれどはじめからプロ作家にはなれないと思った方がよい。
『小説道場』中島梓

『小説道場』は小説家としては栗本薫名義で膨大な著作を持つ中島梓が、読者が書いたBL小説を辛口添削していく連載を書籍化したもの。
すごい厳しいんだけど、そこには小説やそれを書く人への愛情が溢れてて、私は小説は書かないけど読み手として「小説っていいですよねぇ」とじんわり嬉しくなる。

自分の書いた文章ってどうしても独りよがりになってしまうし、どこが欠点なのかどこが長所なのかわからないから、こんなふうにビシバシしごいてもらえるのが羨ましい。
でも同時に言われたことを鵜呑みにしてしまうだろうし、教わるということはその人の色に染まるということだから、ちょっと怖くもある。
自分を見失うというか、ほんとにこの人に師事して大丈夫なのかと不安になることだってありそうだ。

中島梓もこの本の中でプロの小説家に必要なものは、素直さと我の強さと書いていた。
でもそのバランスって難しいですよねぇ。
素直にならなきゃいけないとこで我の強さがでちゃったり、その逆だったり。
人のアドバイスを素直に受け入れるべき時と、何を言われても「うるせぇ!これが私だ!」と撥ねつけるべき時の見分け方って、やはり経験から学ぶんでしょうか。

私は文章を書くのが好きだし、自分の文章が好きだし、人から文章を褒められるのが好きだ。
好き度もこの順番だから、自分の文章が好きになれなくても誰にも褒められなくてもずっとなにかしら書いていくんだろうと思う。

でもこの『小説道場』を読むと、誰かに自分の書いた文章を厳しく添削して欲しくなる。
私以外の人には私の文章はどんな風にみえているのだろう。

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