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こどもはみんな100点満点。大人もみんな100点満点。

妊娠中から産後(特に授乳期)にかけては、多分「産前産後のホルモンの影響」というやつで、多幸感に包まれているような、ハイになった感覚が私にはありました。

人によってはそれが「マタニティブルー」「産後うつ」という形で表面化するんだと思いますが、私の場合は、躁うつの「躁」がずっと続いているみたいな感じで、幸せなんだけど落ち着かない!愛情が溢れ出して涙が出てくる…!みたいな変なテンションがずっと続いていました。(時々それが「イライラ」に変換されて夫に当たったりもしてたかも。笑)

今、娘は2歳10ヶ月なのですが、その娘が産まれてすぐの事、そんな産後ハイな時に起きた、些細だけれども私にとっては大切なできごとを綴ります。


産後1週間は、出産した産院に入院していて、毎日何度も授乳室で慣れない授乳をしていました。授乳や沐浴の仕方などをその1週間で助産師さんからみっちり学ぶ、育児合宿のような期間でした。

授乳は右乳→左乳と交互に1回ずつ飲み終わった状態を「1クール(1C)」と呼び、1クールごとに「飲む前 & 飲んだ後」の赤ちゃんの体重をそれぞれ測って、 “(飲んだ後の体重)g − (飲む前の体重)g =(1クールで飲んだお乳の量)g ” を算出して記録するよう言われていました。飲ませる前にも忘れずに赤ちゃんを体重計に乗せて、その体重や計算式をメモるための紙や電卓が体重計のそばに用意されていました。

けっこうめんどくさかったけど、娘もだんだん飲むのが上手くなってきて、一回の授乳で「3クール」くらい飲めるようになった、生後5日目のこと。3クール飲み終わった後でそれぞれの合計を計算していた時にちょっとしたミラクルがおこりました。

3クールぶんの飲んだお乳の量が、ちょうど「100g」になったのです。

↑当時の「計算式メモ」は残っていないので、授乳記録ノートの数字から再現しました(^^;)

この100を見たとたん、なぜか、涙がブワーッと溢れ出てきました。

もう、嗚咽を押し殺して号泣するほどでした(笑)。他の授乳中のおかあさん達に気付かれないように、ひっそりと。ジブリかなんかのオルゴール音楽が流れている、平和を絵に描いたような産後の授乳室の中で。娘は3クールのお乳を飲み干して、満足げな顔で透明な赤ちゃん用ベッドですやすや寝ていました。

その時の私には、それが「娘からのメッセージ」だと感じました。

「自分自身に100点を出したんだね。」なぜかそんな風に思いました。

相対的ではなく、自分が自分に出す100点。加点法でも減点法でもない、「いま、満たされているよ」という意味の100。

娘はとにかく新生児の時点で、体力と生命力がものすごかった(そもそも生後5日目で一気に100gも飲めるって結構すごい 笑)。娘が自分で、「私の人生はだいじょうぶだよ!」と言っているようにも感じました。なんて頼もしい命。私はこの子を育てるんじゃなくて、この子の生きる力についていくだけ。私はこの子の人生の「ヘルパー」で、主役はこの子自身だ、とはっきり思いました。

↑その日の授乳ノートに残っていた歓喜の声^^

「私も、自分に100点をあげよう。」同時にそんな風にも思いました。完璧じゃないのと、100点じゃないのは別。たぶん、一般的には母としてできないことが多いダメな私だけど、「それでもいいじゃん、それがいまの私の100点だよ」って、気持ちが楽になるきっかけでもありました。



娘はその後も、生後10日で驚異の6時間連続睡眠達成、1ヶ月半には乳児湿疹がほぼ完治、5ヶ月でお座りをし、1歳2ヶ月でイヤイヤ期突入、1歳4ヶ月で2語文を喋り、1歳10ヶ月で「犬のおまわりさん」をフルで歌うという、心身ともに超健康優良児として見事な成長を遂げてきました(笑)。

もちろんうまくいかないこともたくさんありますが、根本的には「この子は絶対大丈夫だ」という謎の自信があるのは、この日の「100」というメッセージに今も支えられているからです。子育てにおいては「子供を信頼して見守るのが大事」などとよく言われますが、私が疑いもなく自然にそれができるのは、この子自身が生後5日目に発してくれたメッセージのおかげです。

身体で栄養を共有するだけじゃなく心もつながっていて、赤ちゃんの感情が「伝わってくる」ような超人的な感覚。あの産前産後の不思議な感じは、今はもうありません。今は完全に別の人間という感じ。たぶん、あの時期だけのスペシャルボーナスだったのだと思います。人間の体って本当に不思議ですね。