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隔たりと
「ひとりに楽しみを見出すなよ」
SNSから突如撃たれた言葉に、自分を否定されたような気がした。思春期ならまだしも、いい大人になってもこれか。顔も名前も知らない人の言葉なら気にしないんだろうけど。
今年は梅が遅咲きだ。斜陽に照らされた枝に膨らむ赤いつぼみ。静かに疼くそれ越しに見上げた青空は、朱に抗うように自らの存在を誇示していた。
人ごみで俯くようになってから、ひとりで空を見上げることが増えた。老人が煙草を喫みながら訳知り顔で囁く。
「空は天国とつながっているらしい」
花があれば、宙へと飛んでいけるだろうか。花が咲いたら、未知を望めるだろうか。花が散ったら、声は届くだろうか。
背中から、役目を終えた長い列車が線路を軋ませながらゆっくりと車庫に入ってゆく音がした。太陽は夕刻を纏い始めていた。
隔たりの向こう側に、目指す場所がある。あとどれだけ歩けばいいのだろうか。たおやかに下ろされた夜の帳に問うが、返答はない。
(※ウォーキングの時に見えた風景をロマンチックにしてみたごっこ)
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