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アラフォーと子宮筋腫手術⑦退院後の生活(術後1ヶ月間)


はじめに

子宮筋腫の詳細

 手術の後、わたしが病室で痛みに苦しんでいるなか、家族はわたしの手術内容について主治医から説明を受けていた。

 わたしの子宮筋腫は筋層内筋腫で、子宮の上(※上半身ではなくおへそ方向に向かって)に乗っかった状態で大きくなっていたという。ゆえにぽっこりお腹につながっていた。
 筋層内筋腫とは子宮の筋肉の中にでき、筋腫により子宮の中が変形した場合に過多月経につながるという。漿膜下筋腫と同様に筋腫が大きくなり周辺の臓器や神経が圧迫されると、頻尿や便秘、腰痛などの症状が出ることもあるとのことで、わたしの場合は膀胱と子宮を圧迫しているのがMRIの画像からわかった。

頻尿の自覚はなかったけれど、どうやらあれは頻尿だったようです。便秘もひどかった

 わたしの筋腫と子宮の接合面は2~3cmほどで、そこから渦を巻いて伸びていたという。実物を見た弟は「アラレちゃんに出てくる巻きグソみたいだった」と言っていた。
 後日写真を見せてもらうと、つるっと丸くなった部分もあれば、ぐちゃぐちゃと柔らかい部分もあるなど、一定の伸び方をしていなかった。5ヶ月飲み続けたレルミナの影響もあるかもしれない。核出された段階では長辺11cmほど、重量は400gあったという。

手術内容

 サイズの結果、腹腔鏡手術よりも開腹手術のほうがリスクが低いとのことで、開腹手術で筋腫のみを取り除き、子宮を温存するという「パス開腹腫瘍切除術」というプランで行われた。
 子宮との接合面が少なかったのもあり、子宮の壁もそこまで大きく切らずに済んだ。それゆえに出血も少なく、輸血は貯血した自己血のみで賄えた。2時間と言われていた手術は予定より少し長引いたけれど、2時間半ほどだったと思う。抜糸の必要がない糸で縫合してもらった。

退院後の生活

術後7~15日目

 デスクワークをするとお腹が熱くなってしまって、3時間休憩するという燃費の悪さ。エネルギーが傷の回復にすべて回ってしまうようで、全然頭がはたらかない。特にメールなど、他人に向けて言葉を投げかける行為がヘビーだった。おまけに酷暑が強烈で、軽い熱中症になってしまったときはつらかった。
 術後9日目で性器出血が止まった。身体が不自由なうちは両手が空くほうが望ましいと判断し、外出用の黒いリュックを探しに行った。日常生活は極力行うようにと言われていたのと、とにかく頭を使うのがしんどいので、傷の治りも早くなるという理由でただただ身体を動かすことにした。買い物やウォーキングなど積極的に出掛けた。

ウォーキングシューズと杖。ダサくても歩きやすさ重視

 寝るときは三つ折りマットレスを斜めにして、布団に角度をつけて寝返りをしないようにしている。そうするとなかなか熟睡できないみたいで、夜中に起きることが多かった。
 傷を洗うのも治りの早さにつながるので、毎日シャワーに入る。シャワーに入るのはとにかく一大イベントで、傷を洗うのも怖いし、ずっと痛いしで、できることなら入りたくない。でも入らなくてはならないし腹帯で蒸れて痒いから入りたいという、非常に複雑な気持ちだった。

 12日目におへその下のあたりがピリピリと痛んだ。排便がない日だったのもあるかもしれない。13日目で痛み止めを1日朝1回にするようにした。痛みが強いときは朝と夜に飲むようにした。だがまだまだ仕事は休みながらでないと進められない。酷暑がひどくて、普通でもバテそうなのにおまけにお腹はちぎれてるしで、お昼の時間帯が特につらかった。
 14日目くらいから、生理前のような眠気が止まらない。もしかしたら生理が近いのかなと思うなどする。

術後16日目(退院後初の外来)

 16日目、退院後初の外来に行く。病理検査の結果、無事子宮筋腫として認定され、傷の治りも良好とのことだった。両脇腹に触れられて痛いか訊かれ「痛くない」と答えると、お腹の上はどうかと訊かれる。そこまで痛くないけど、これを痛くないと言っていいのか……? と思い「うーん……。んー……?」と悩んでいると、主治医は「そうだよね、まだ痛いよね」と笑った。痛み止めも1日1回なら継続して飲んでいても問題ないとのことで、「頭痛のときにも使えるから」と1日3回14日分出してもらった。

「日常生活に支障が出ているか」と問われ「靴下が履けない」と言ったら笑われてしまった

 念願の子宮筋腫の写真を見た。自分の意識外で自分の身体が作った自分の一部を見る経験は初めてだったため、見たい見たいと懇願していたわりにはまずは衝撃が強かった。こんなやつが腹に潜んでいたのかと思うとクソキモいし、腹立たしいけどなんだか奇妙で笑えた。
 こいつのせいで11年間苦しめられたんだよなと思うと同時に、こいつがお行儀よくしてたおかげで症状が過多月経のみで済んでたんだよな、接合面が少ないおかげで手術中の出血もさほどなく済んだんだよなとも思ったりして、ムカつくけど憎み切れない複雑な感情だった。
 「生理も7月末には始まると思いますよ」と言ってもらった。そして「湯舟OK」「痛いと思うぎりぎりのところまで頑張ってやってみること」「年内の妊娠は避けること」とアドバイスを受けた。

術後19日目(現場復帰&生理再開)

 現場復帰の日の朝、生理が来た。先生からは「7月末くらいに来るだろう」と言われていたので、予定よりも10日以上早くて動揺した。でも疑似閉経の薬であるレルミナを最後に飲んだのが6月19日だったので、24日経ったタイミングでもある。27日周期のわたしのちょっと早い生理といったところだろうか。
 都内への移動にはこれまで同様、ダイソーで買った杖を持っていった。ヘルプマークも検討したがいろいろと難しい局面が多いアイテムでもあるため、使いこなせる自信がなかった。杖は荷物になるというデメリットもあるが、身体に不自由を抱えていることがわかりやすい、物理的に歩きやすい。杖ストラップがあると格段に使いやすくなる。

わたしには使いこなせないから、たぶん一生手にすることはないと思う

 バスに乗って駅に向かうと、バスの振動がお腹の傷に響いてちょっと気持ち悪くなる。バスってこんなに揺れるんだ、と焦る。
 小田急ロマンスカーはそこまでスピードを出さないのでなんとかなったが、新宿に着いてから現場に行くまで杖をつきながら傘をささなくてはいけないのが結構大変だった。畳むのも開くのもひと苦労。人の群れのなかをゆっくりゆっくり歩くという緊張感もなかなかだった。

術後20日目(大量の出血)

 前日はうっすらだった血の量が、この日の夜に急に多くなった。子宮筋腫があった過多月経よりは若干少ないとはいえ、分厚い夜用がどんどんだめになるくらいには多い。さらにはさらさらとしているのでとめどなく溢れ出てくる。
 「過多月経に耐えられなくて手術をしたのに、手術してもこんなに多いの?」とナーバスになる。どんどん貧血気味になり寝込み、寝込んでは出血し、そのたびにお手洗いに行き、結局はずっとお手洗いにこもりきりでお腹の傷が痛くなる……という悪循環に、どんどん気が滅入っていった。

現場稼働がない日でほんとによかった。プチついてないけどギリギリラッキー

 本当は病院に問い合わせようかとも思ったが、経験談ブログや婦人科のサイトを調べてみたところ、術後初の生理は多くて長いことが多いそうだ。実際に今まで当たり前のように出てきた血のかたまりはほとんど出ず、出たとしても1~2mm程度のものだった。
 次回の生理で同じような量が出てきた場合は病院に相談してみようと思う。でも先生、術後すぐの生理は多いとかちゃんと言うといて!

術後21日目(出血の減少)

 手術から3週間経った。ついこの前退院したような気がする。それだけあの7日間はわたしにとって鮮烈だったのだろうと思う。
 前日に大量の出血があったため、出掛けるのがとても怖かった。過多月経の強い味方であるハイパースーパー夜用激厚ナプキンにシンクロフィットを使い、寝具でお馴染みの西川がリリースしている「まもら騎士」の生理用オーバーパンツを履いて出掛けた。

 午前中はほとんどお手洗いにこもりきりだったので、この出血量なら往復新幹線かな……とも思ったが、午後になると前日ほどの出血はなくなっていた。復路のみ新幹線を使うことにした。
 スマートEXで品川-小田原間は、指定席は割引なしの3630円。前日までに予約した自由席なら2620円(※EX早得1)。1010円も差があるけれど、「確実に着席できる」「ホームのエスカレーター/エレベーターに近い」という理由で11号車の指定席を取った。自由席は大行列で、指定席はガラガラだった。
 JR在来線は車両によって揺れ方に差があり、新幹線の振動はときたまお腹に響いた。相変わらずずっと鈍い痛みがある。でもだいぶお腹を曲げられるようにもなって、洗面所で顔を洗うくらいならぎりぎりできるようになった。

術後22~28日目(ホルモンバランスがたがた)

 22日目の朝、傷が痒いと感じる。これまで腹帯に触れているお腹のトップの部分が痒いと感じることはあっても、傷が痒いと思ったのは初めてだった。血もほとんど出なかったから落ち着いたかと思いきや、23日目の朝に再びかなりの出血があった。子宮が不安定すぎてついていけない。ヒステリーの語源が「ヒステリア(子宮)」なのにも納得である。
 ホルモンバランスが崩れているのか、ふとしたことでぼろぼろ涙を流してしまう。それは憂鬱な気分だけでなく、些細なことで感動して泣いてしまうなど、感情の振れ幅が大きい。ずっとお腹のなかにあったホルモンが原因でできた巨大なものがなくなって、身体も驚いているのかもしれない。

ふとしたことで感動してボロボロ泣いてしまう

 ググってヒットした経験談ブログに、先生から「術後2ヶ月はホルモンバランスが乱れる」と言われたという記載を見掛けた。このブログ主は腹腔鏡手術だったそうだが、わたしよりも術後の出血などが重いようだった。
 術後24日目あたりからは、洗面所くらいならばお腹を曲げてもなんとか顔が洗えるくらいにはなった。それまでは膝を曲げて洗っていたので、だいぶ洗いづらかった。
 術後の生活について看護師さんに聞いても「ほんと人それぞれだから一概には言えない」としか言われなかったけれど、本当に術後の状況は人それぞれらしい。術後27日目はとにかく傷が痒くて、気が狂いそうだったから仮眠を取った。

術後28日~1ヶ月目(終わらない出血)

 なかなか終わらない生理に手を焼いている。出血7日目以降は終わったかと思いきや出てきて、終わったかと思いきや出てきての繰り返し。いつになったら安定するのかと考えると気が重い。
 術後1ヶ月を記念して(?)車を運転した。車道に出るときに前を除きこんだり、バックのときに後ろを振り返ったりするのがなかなかしんどいから、まだまだひとりでの運転は危ないかなと思ったりなどする。

術後3ヶ月間は慎重かつ大胆に

 日常生活は積極的に送るよう言われているけれど、やっぱり回復に体力が持っていかれるので疲れやすいのは間違いないです。いつものペースでいつものクオリティのパフォーマンスが出せる状態ではないので、しばらくはお仕事もご迷惑をかけながら進めることになるかなと思います。
 先生からは痛いなと思うぎりぎりまで動いてと言われているので、うまいこと付き合いながら気長に頑張りたいと思います。腹帯がかゆいよ~。

最後までお読みいただきありがとうございます。