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外でパソコンを開けない人間
帰りのバスで寝る。短編の夢をいくつか見る。彼女(誰?)が囁く。
「この世には外でパソコンを開ける人間と開けない人間がいるんですよ。あなたは後者です」
私はどちらかといえば後者だ。明確にパソコンを開いても問題ないとされている場所、例えばコワーキングスペースなどでならえいやと開いてしまえばいける。しかし、カフェは無理だ。特に混雑時は、飲食を終えたらすぐ出なくてはならないとプレッシャーがかかる。そういう時は本当に飲食以外何もできない。本も読めない。
基本的に混雑した場所が苦手なので長居できないという事情はある。では空いているカフェならどうかというと、これも無理なのだ。ここで無理な理由は、私が自意識過剰だからである。
私はキーボードをかたかたすることそのものに快楽を感じている節があり、キーを打つ音がうるさいと思われる。エンターキーを「つったーん!」とまではいかないが、「たーん」よし。「たーん」よし。といったふうに、音が出ていることでなんだか作業がはかどっている感を認めていたりする。
あと、気付くと左手を口の辺りに添えて、何らか考えてる感を醸し出していることがある。きっと何か考えているのだとは思うが、わざわざそのポーズを取らなくても考え事はできる。それは癖でしかない。
そんなような行動を、他人に見られるのが恥ずかしい。そう、他人はこちらなど見てもいないし、気にしてもいないだろう。それぞれ自分の用事に忙しいはずだ。なのに私は他人が気になって、落ち着かない。
それが外でパソコンを開けない主な理由だが、それとは別に気になることがある。皆さん、機密保持ちゃんとできてますかと。外で開いても大丈夫だから開いているのだろうとは思うが、画面が見えそうな感じの人など、こちらが勝手に心配になってしまう。あと、パソコンを置いたまま席を離れるとは何事だ!と思うこともある。危なっかしくて見ていられない。
そういう心配性な人が他にもいる可能性を考慮して、私は外でパソコンを開かなくていいのかもしれない。
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