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ただ唱え続け

お墓参りに行ってきた。念仏をただ繰り返している時間には、それ以外のことは頭にない。今だけに集中できることは、過去に囚われ、未来を憂う者にとって、救いとなるだろう。だが、そこが宗教の恐ろしいところでもあると感じる。

何かに深く集中する瞬間と、何事にも適度に対応する緩い時間との、バランスを取らなければならないのだと思う。念仏や祈りの言葉をひたすら唱えることで、一瞬、仏や神の地が見えるかもしれない。しかし、私たちは、私たちが生きている俗世間に、戻ってこなければならない。

多分、何かしらあるのだ。この地に生まれてきた理由が。理由などないのかもしれないが、それに気付くことすらも理由であると言えないか。

などとひねくれたことを言いながら、私はまだこの俗世間に生きていたいと思う。

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