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劇評

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主に石川県金沢市での、演劇・ダンスの観劇記録です。
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2016年12月の記事一覧

(劇評)『劇処』その動きの必死

この文章は、2016年11月19日(土)19:00開演の金沢舞踏館『ふいご少年と煙玉少女』についての劇評です。

 金沢舞踏館の『ふいご少年と煙玉少女』は、土方巽の没後30年を記念して作られた。土方の著書『病める舞姫』が原典となっている。演出は白榊ケイ、振付は山本萌と白榊ケイが担った。

 舞踏とは、制限された中での動きだと思っていた。欧米人の、クラシックバレエに代表されるような、長い手足を使い上

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(劇評)『劇処』演劇の力を使うならば

この文章は、2016年11月12日(土)18:00開演の劇団週末クラブ『祭りよ、今宵だけは哀しげに』についての劇評です。

 劇の始まり、暗転した場内に、ごうごうと音が流れた。まさか、これは津波の音ではないのか? 不安な気持ちが募る。
 明かりが点いた舞台には、黒い箱がベンチのように長く並べられている。その隅っこ、上手側に少年が座っている。下手側の舞台前方にも少年がいて、彼は天に向けて望遠鏡を覗い

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(劇評)『劇処』風の流れを追って

この文章は、2016年11月5日(土)19:00開演の演芸列車『東西本線』『CSG48~48番目の赤穂浪士~』についての劇評です。

 さあっと風が吹き抜けたように思える芝居だった。しかし、温風、冷風、順風、逆風……何とも形容し難い。この捉え難さの理由はどこにあったのか。

 浅野内匠頭の仇を討つため、吉良上野介邸に討ち入りを果たした赤穂浪士たちの物語が『忠臣蔵』である。討ち入りに参加したのは47

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(劇評)『劇処』笑えない現実

この文章は、2016年10月29日(土)19:00開演の北陸の劇評プロデュース『赤紙』についての劇評です。

 『北陸の劇評』は、北陸三県の演劇公演情報や劇評を掲載しているFacebookページである。その運営を行っている原力雄が、『北陸の劇評プロデュース』として、金沢市民芸術村20周年記念演劇祭 かなざわリージョナルシアター「劇処」にて『赤紙』を上演した。脚本は原、演出は『劇団110SHOW』の

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