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難民事例 その4 (エチオピア 男性:30代前半)完結編

(前回の続き)
この逮捕により、私は政治犯に対する残虐な扱いで悪名高いマエケラウィ拘置所に収監されました。暗くて寒く横になることもできない小さい部屋に押し込められました。毛布はなく、食事は1日1食、トイレも1日に1度のみでした。そして看守は継続的に「政治活動をやめないなら、殺すぞ」と脅かしてきました。私は殺されてしまうかもしれないと大きな恐怖を感じながら、経過日数もわからずに収監され続けましたが、約2週間後に釈放されました。釈放時には、精神的にも身体的にも衰弱し、歩くこともできなくなっていました。足に血栓ができていて、手術をしなければ足が麻痺するとの診断が出たため、血の塊を除去する手術を受けました。傷跡はまだ残っています。
 釈放後、勤めていた会社は退職扱いとなっていたため改めて就職活動をし銀行に就職しました。終業後に大学院に通っていましたが、その帰宅途上で週に1回程度、待ち伏せをされて「政治活動をやめないとすぐにでも、おまえを殺すぞ」と脅迫をうけるようになりました。このことにより再度収監され次こそは殺されてしまうのではと、身の安全を強く危惧するようになりました。祖国を離れる覚悟を決めた時に、清潔で安全で人権を尊重するという印象をテレビを通じてもった日本が頭に浮かび、とりあえず入国するためのビザを取得しました。
 日本入国後はすぐにNPO法人難民支援協会(JAR)を頼り、難民事業本部(RHQ)の支援を受けながら日本語学校に通い、工場等で働くようになりました。その頃に難民の就職支援をしているNPO法人WELgeeと出会い、WELgeeの支援プログラムを通じて、ビジネススクール大学院に入学し、同大学院において経営学修士を取得しました。その後WELgeeの就職先紹介を受け、現所属機関に就職し、現在は技術・人文知識・国際業務の在留資格を得ています。

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