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難民事例 その1 追記(コンゴ民主共和国 男性:30代前半)

完結編を書いて、入管(品川にある、東京出入国在留管理局)に申請をして、あとは許可を待つだけとクローズしたつもりの事例でしたが、思いがけず、入管のほうから追完といい、審査に対する疎明資料が足りないという通知をうけました。提出日が決まっていて、追加で揃える必要があります。

求められた以上に60ページにもわたって、書類提出をしていたので、行政書士ビギナーの私は、なぜ?という感じだったのですが、それ以上に追完を求められた理由がショックでした。彼のコンゴ民主共和国で卒業した学校はあきらかに、大学レベルだったのですが、universityのワードが学校名に入っていない、大学レベルだという証拠が、学士学位(bachelor)というワードがない卒業証書からは、読み取れないという理由でした。文科省の基準に合う事が、わかる資料が必要と書かれていました。彼のビザ(正確には、在留資格)は大学または、同等の学校卒業が許可の必須条件です。ググって、大学のフェイスブックや、Wikipediaを参照すると、すぐ大学と認識できる情報が出てくるのですが、Wikipediaのような、誰でも編集できるソースは証拠とならない、というのが入管の見解です。ちなみにフランス語のWikipediaには、公立大学と表記されています。

アフリカの国々は、植民地の歴史からフランスの学校制度にならっています。さらに、お国柄、学校の情報が検索で得られる事が少ないです。翻訳も翻訳者の名前が必要といわれ、(アプリで対応可能と聞いていた)途方にくれつつ、まず、卒業証書を英訳でなく、日本語訳にしようと、日仏の翻訳者を探しました。幸いにも、Aさんの友人がボランティアを申し出てくださり、この方は登録をされている、プロの方でした。事情を説明したところ、その方が、「彼が卒業した学校は、大学とは異なり、グランゼコールと呼ばれる高等教育機関です。大学は、高校の卒業資格があれば、誰でも入学できますが、エリート育成機関であるグランゼコールでは、入学試験があります。当然、大学に比べると質が高く、卒業するのは、難しいです。」と一筆書いてくださいました。これを読んで、私は泣いてしまいました。検索しても、英語で得られるオンライン上の全ての情報は、信用性がないという理由で却下されそうだと感じていたなかで、(大学のHPはフランス語)おとしどころが見えて、本当に救われました。何より書いて下さった、お気持ちが嬉しく、この方のおかげで、追完を終えることができました。ビザの申請で簡単なものは、そもそも私たちのところに頼まれないですが、入管の審査も審査官の裁量にかなり任されているので、最後まで油断ならないことが多いです。結果的に、70ページを超える書類提出となった案件でした。



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