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その故郷は必ずしも「故郷」とは限らない

皆さんの故郷はどこですか。それとも故郷と呼べる場所はどこですか。

いきなりだが、私の中で「故郷」という概念は二つある。

一つは、物理的に生まれ育った場所である「故郷」。もう一つは、精神的に居場所を感じる場所である「故郷」だ。

ちなみに、私の生まれ育った場所は日本の愛知県であり、人生のほとんどをこの地で過ごした。よって、愛知県は私のいわゆる故郷であり、地元であり、ふるさとだ。しかし、人生のほとんどを愛知県で過ごしていながらも、私はこの地を「居場所」とは思わないし、なんなら「故郷」と呼べるのか...っていう感情を抱く。

確かに、他人からしたら愛知県にしか住んだことないなら愛知県に居心地の良さを感じないのはおかしいと思われるかもしれない。いや、もちろん愛知県にいると落ち着くし、慣れている道、口に馴染んだ料理、話慣れた方言、、、愛知県民でいることは私のアイデンティティーの一部だ。しかし、故郷とは呼べない。なんというか、心の故郷ではないのである。

そこで、私のもう一つの母国であるアメリカが故郷か、と聞かれても全くそうではない。私はアメリカには幼少期から何度も行き来しているし、親戚も半数がアメリカに住んでいるし、長期で住んだこともある。ただ、故郷とは言えないのである。

そこで「じゃあどこがSayakaの故郷なの?」と聞かれると思う。私は間違いなく「タイのバンコク」と答える(笑)私と仲の良い人はきっと百発百中で、「そうだと思った」と口を揃えていうと思う。

私は大学三年生の時にタイのバンコクへ1年間の交換留学をした。この経験を経て、私は自分が住んでいて本当に心から居心地が良いと思える場所に出会えたし、自分が故郷と呼べる場所って必ずしも自分が生まれ育った場所じゃなくてもいいんだなと思った。

たぶんタイのバンコクにここまで惹かれたのは、今までずっと日本に住んでいたからだと思う。日本と全く違う環境だから魅力的に感じるんだと思う。日本という国に20年以上生きて、そっから文化も社会も‥生活環境もなにもかも違うタイという国にいきなりひとりで一年間暮らすという、突然すぎる変化が私を人間としてすごく強くしてくれたし、成長もできた。そして、成長をすごいした地だからこそ、たくさん思い出もあって、訪れるたびに刺激を受ける。だから、私はタイを故郷と呼びたいし、故郷だと思っている。もし私の親が転勤族で、何回も幼い時から様々な国に住んでいたら、そう思っていなかったのかもしれないけど…。

そして私は留学中でタイにいるときは「ここがすきだ!」という思いはあった。しかし日本に帰国したときに「タイが私の居場所だ」という想いがさらに強まったのである。寝る前も起きる時も頭の中はずっと「タイに戻りたい」という想いしかなかった。完全に魂をタイに置いてきたのだ。そして私は魂を取り戻しに、帰国後から半年たって、またタイへ旅行として訪れた。

タイの空港についた瞬間に感じるあの独特の匂い、飛び交うタイ語、街へ出ると相変わらず変わらない車の渋滞、、、何もかもが私の体の染み込んで、「やっぱ好きだ、この国が好きだ」と、ずっと笑顔になっていた。魂がいきなりフッと私の体に戻ってきた感覚は今でも忘れない。

でも今回は留学ではなく「旅行」としてタイへ行ったため、日数も短く限られていたし、住み慣れたアパートではなくホテルに泊まった。それもあって、どうしても自分は「私は観光客なんだな」という感覚でいた。いや、もちろん観光客なんだけど…ちょっと前まではタイの大学に通って、近くの食堂でおばちゃんのごはんを毎日食べて、、、「ほぼ住民」だったのになって、少し悲しくなった。(そうなんです、私はタイ愛が異常なんですよ)でも、この「観光客感が否めない感覚」を味わったおかげで、観光客としてではなくて、タイにやっぱり住民として住みたいと再度認識できた。むなしくも、いい経験だった。

そして楽しい旅行も終わり、私はまた日本に帰国するとやっぱり心にポッカリ穴があいた。魂はやっぱりタイに置いてきたまま。親や友人からは「旅行や留学だから楽しいんだよ」とか、「タイで仕事するってなったらそんな好きじゃなくなるよ」とか言われて、確かにそうかもしれないけど、、、と思いつつも、でもそうじゃないなんだ、タイっていう国が本当にすきなんだって反発したい自分もいた。

そして留学から3年経った今。私のいわゆる「タイに住みたい欲」が消えたか?といわれたら、むしろ強まるばかり。いつか大好きな地で暮らし、仕事をし、人生を送りたいなっていう夢は消えない。もうここまできたら、住むしかないと思っている。なので、今住む計画をたてているのだ。

そこでよく聞かれるのが「じゃあタイの何が好きなの?」という質問だ。
この質問は答えるのがすごく難しくて…タイに旅行へ行くことが好きな人は「物価が安いから」「ご飯が美味しいから」「人が優しいから」と答えると思う。けど私は別にそれじゃない。

行くとなんか自分に活気が湧いてきて、自然と「本当の自分」になれるのだ。エネルギーで溢れた自分に。そのエネルギーで溢れた自分が、私は本当にすき。だからタイにいる自分が好きなのだ。なぜかわからないけど、希望で溢れて怖いもの知らずになれる。そして不可能なんてないんだっていう、そういう思考方法になれるのだ。ちょっと言い過ぎじゃない?って思われるかもしれないけど、本当にそうなのだ。だからタイは私の居場所だし、故郷だと思っている。

故郷とは自分がハッピーでいられる、自分の好きな場所であると私は思う。大多数の人が考える故郷とはまた概念が違うかもしれないけど、、、住んでいて居心地がよくて、精神的な居場所を感じる点においては、一緒なのではないかと思う。

生まれた国や国籍関係なしに、自分が好きな場所に人は住めばいいと思う。日本人だから日本が好きでなければいけない、って思わなくてもいい。私も日本は嫌いじゃないし、母国なので居場所ではある。でも、自分がハッピーになれるのは日本じゃなくて、タイだなぁと思う。その国に合わなければ移動すればいい、そういうスタンスで生きようと思う。人生短いもん…!型にはまらず、好きという感情にしたがって生きるのも、自分を強くしてくれるチャンスなんですよ!



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