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【1989年100日旅】76日目。東ベルリン

1989年6月20日は旅の76日目。ベルリンタワーへ。展望台があり、西ベルリンも含めてベルリン全体が見渡せた。「西ベルリンはあんなに近いのに、ベルリンの壁があるから東ベルリンの人はいけない。かわいそうだ」と日記。その後、13世紀創設のベルリン最古の教会といわれるマリエン教会へ。

マリエン教会は、森鴎外の『舞姫』の主人公の豊太郎がエリスと出会った舞台とも言われている。当時は知らずに出かけたが、博物館島にあるベルリン大聖堂などが黒く煤けて銃痕があり少し怖い印象だったのに対し、オレンジの屋根にレンガの壁が明るく、安心した記憶がある。

19世紀末に念願のベルリン留学を果たした鴎外は、活気に溢れたこの都市を「たちまちこのヨオロツパの新大都の中央に立てり。なんらの光彩ぞ、我が目を射むとするは」と描写した。滞在当時は第二次大戦と共産主義色に目を奪われたが、ベルリンはそれだけではなかった。

…と2015年の時点でツイートで書いたんだけれど、実はこの日、我が家はけっこう大変だった。父と私たちは出先で落ち合う約束をしていたのだけれど、母はどうしてもベルリンの壁を見たくなって時間を気にせずに私たちを連れて行ってしまい、約束時間に大幅に遅れてしまったのだ。携帯等がない時代で、海外での待ち合わせ場所に現地語はおろか英語もそんなに話せない妻子が来ないので、父は不安に。私たちが到着したら大喧嘩に発展した。あの日、ベルリンで大騒ぎしていたアジア人一家は我らです。喧嘩の多い家で育った。

そんな感じの76日目。旅は残り24日。

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