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【1989年100日旅】7日目。モスクワ

1989年4月12日。この日はビザ申請をしに東ドイツ大使館に行った。東ドイツ大使館は、相手が日本語ではなくロシア語を話すという点が違うだけで、日本のソ連大使館とあまり違わないと感じた。つまり無愛想。あまりに長い時間待たされ、退屈して妹弟と騒ぎすぎて、大使館の人から激しく怒られた。ビザをもらえないのでは、と親が心配するほどだったらしい。

その日、初めて自動販売機でジュースを買ってもらって飲んだ。ソ連にはクワスというライ麦を発酵させた炭酸飲料があって、自販機で売られていたのだ。瓶や缶入りではなく、自販機に置かれているグラスで飲むスタイル。自販機の規定の位置にグラスを置いてぎゅっと押し付けると、水が出てきて洗えた。が、そのままではこすり洗いができない。母は器用に指でグラス洗い器を作動させてグラスを洗い、クワスを注いでくれた。グラスの中でコーラのように泡が立つのを見て、久しぶりの炭酸飲料に喜びながら飲んだのだけれど、クワスはすごく、、まずかった。しかもぬるかったし。

ソ連のアイスクリームは安くておいしくて、キオスクでよく買ってもらった。チョコレートコーティングのものが多かった。両端の空いた筒状の包装で渡されることがよくあり、気をつけないと袋からするりと落ちてしまった。あまりにも頻繁に落とすものだから、母はそんなときにガシッとアイスを拾い、クワスの自販機のグラス洗いコーナーで外側を洗ってくれるようになった。たくましかった。

こんな感じの7日目。旅はあと93日。

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