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【1989年100日旅】2日目。モスクワ

1989年4月7日。2日目。4月初旬のモスクワの朝はまだ寒く、汚れた雪と曇り空で窓の外は灰色一色だった。そんなわけはないのだけれど、記憶の中の太陽は薄黄色をしている。

モスクワでは父以外の家族4人でホテルに住むことになっていた。朝起きて暇だったので、きょうだい3人でホテル周りを探検していたら、敷地内で氷に閉じ込められた大きな硬貨を見つけた。暇だったから妹弟と掘り出した。掘り出したのは2カペイカ。当時1ルーブル(100カペイカ)が200円(今は1.5円弱!)だったので、4円の価値。五百円玉より大きい硬貨だったから興奮して苦労して掘り出したのに、価値を聞いてがっかり。しかし、2カペイカもわりと使いでのあるお金だと後にわかった。為替、物価というものをこの旅で知った。

硬貨発掘の後は、地下鉄に乗って父の友人宅へ。料金は一律5カペイカ(当時。10円)。ホームまで下りていくエレベーターは非常に長く、恐ろしいほどの急勾配で、スピードが早かった。長縄で回る縄に飛び込むのも苦手な私は乗るときにちょっと緊張した。あんなに深さがあるのは、地下鉄がシェルターを兼ねていたかららしい。

ホームは石造りでおしゃれ。列車自体もスピードが速く、ドアは急に開き、急にしまった。乗っている人の服装はみんなグレーっぽく、ピンクや赤のジャンパーを着た私たちは目立っていた。アナウンスはテープらしく、いつでも同じことを言った。ロシア語だけれど何度も乗ったので覚えてしまった。耳で覚えたから、カタカナで。アスタロージナ、ドヴェリ ザクリバーイェッツァ(ご注意ください、扉が閉まります)。旅はあと98日。

おまけ。この記事にあるモスクワの地下鉄の写真がきれいだった。
https://jp.rbth.com/arts/2017/06/19/785427


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