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私の中に生き続ける言葉

こんにちは!
一般社団法人クロスオーバーで農福連携コーディネーターをしている沖村さやかです。

農業者と障がい者事業所のマッチングが主ですが、実際はそこに至るまで水面下で、バタバタしております。
農福連携コーディネーターをする以前、中小企業と大企業OBのマッチングのコーディネートをしておりました。

まず、支援申請が中小企業からコーディネーターに届き、こちらからアポを取り、社長にお会いし、直接お話を聞きます。私は、中小企業診断士でもない、普通のおばさんなので、意外と社長達も油断(?)してなのか、かなり何でもお話してくれました。

そのお話を聞いて、私が支援要請に合致した専門家を探し、日程調整して、マッチングに持ち込みます。

しばしば感じたのは、ほ~んと、社長は孤独なんだなぁということ、経営課題は大抵、複数個あるんだなぁということです。孤独という部分については、周囲とのしがらみみたいなものもあって、本音が言いづらく、相談する企業や機関も社員数も少なく、悩み事を相談しにくいのだと想像できます。

経営課題について、ある社長に尋ねると、
「う~ん、今までやっていた業種から、○○からの誘いもあって食品加工に最近変えたんだ。
○○の下請けだからとりあえず販路はあるんだけど、それとは別に販路を持たないと不安だ。
生産ラインは、入る場所に取り敢えず入れたんだけど、使いにくいかなぁ、どうだろう。
設備投資したから、なるべく早く返済したいし…。
今まで頼んでいた会計事務所も高いから変えたいの、固定費を節約するためにも…。」
次から次へと問題点が…。

そんな時は、
「では課題を整理してみましょう。社長、まず何を1番に取り組むべきか、優先順位を考えて頂けます?」
とお願いします。

既に社長の頭の中では、ぼわっと浮かんでいる問題点だったと思いますが、日々の業務に追われ整理できない状態だったのかも知れません。それを、社長自身で答えを導き出すという形で、責任を持って取り組んでもらおうと思っていました。

まあもっとも、私の場合は、普通のおばさんなので、アドバイスしようがないのですが!

社長自ら導き出した最優先経営課題に対して、専門家派遣で答えを出しておくことは、次の課題に取り組む上でも重要です。

このようにマッチングの現場に居ると、様々な場面を目に、言葉を耳にすることができ、この経験は、今の私の仕事に大変影響を与えています。


本質を見抜く

中小企業の相談には、事業継承、販路拡大、製造現場の改善等々さまざまなものがあります。

ある大企業OBが、
「事象が起こった時、それがどうして起こったのか、何に原因があるのか、余計な事はしなくていいから、本質を見抜こう。
とある社長にアドバイスをしていました。

簡単な事例だと、赤字を解消したいという案件で、どんな専門家を派遣するかと考える時、赤字の原因が判らなければ、専門家は派遣できません。

原因は、ラインの歩留まりを良くすることなのか、固定費を節約することなのか、販路拡大することなのか…。
企業体は、単純に人を動かせない複雑な人間関係もあるかもしれないし、目には見えない感情もあるかも知れないなど、常に違う角度で事象を眺めることも肝心なのかもしれません。

農福連携のコーディネーターになり、農業者からの依頼があった時に、単純に人手が足りないのか、障がい者に理解があり委託してきているのか、はたまた経営が苦しいから安く使おうと思っているのか、高齢になりハードな仕事ができないのか、耕作放棄地を広く引き受けたため、時間がなくて手が回らないのか…

単純に人手不足と言えばその通りなのですが、それにはさまざまな人と地域の要因が絡んでいます。

また、障がい者事業所に関しても同じことが言えます。

母体は何か、利用者、職員はそれぞれ何名なのか、何故こんなに工賃が安い(高い)のか、平均年齢はどのくらいか、得意とする作業は何か、さまざまな角度から見てみます。

ただ農業者、障がい者事業所両方に言えるのは、コーディネーターという立場上、本質にかなり近づけたとしても、直接的なアプローチはできません。

しかし、一番大切なことは、本質を見ようとあらゆる角度で、常に物事を立体的に見る努力を続けることだと感じています。

安易に仕事は断らない

これも、ある企業のOBの方が仰っていたのですが、できないと思った仕事でも、
「簡単に仕事を断らない。」
という言葉です。

障がい者事業所に、農業者の依頼書を持って、仕事をお願いに行くと、室内作業で手一杯なのか、はたまた真夏の作業が嫌なのか…。
「実は、この事業所の近くに〇〇を栽培している農業者さんがいて…。」
と私が話しを始めた時点で、断る気満々な様子な職員もいたりします。

断る前に、本当にその仕事は全く受けることができないのか、もしかしたら毎日は無理でも週2日、午前中だけなら受けることができそうとか、事業所で考えてみて欲しいのです。

スケジュール的にタイトな場合でも、検討し、ここまでならできますが、その先は無理です、のようにキャッチボールすることは、お互いの理解を深める上で、大切だと思います。

今回ダメだったけど真剣に考えてくれれば、可能な仕事の程度も理解できますので、次回は合いそうな仕事を持って行けます。

こういうキャッチボールは、障がい者事業所が、地域社会の中で孤立せずに溶け込んでいける方法の1つだと考えます。

自分の意見を押し付けない

これは、私のコーディネーターとしての姿勢です。

私の仕事はコーディネーターあって、コンサルタントや専門家ではないので、案件に対しなるべく相応しい方を紹介することはできますが、アドバイスはできません。

マッチングの前に、依頼のあった農業者に会い要請内容と圃場を見せてもらいます。
そして、圃場に近そうな事業所を回り、マッチング可能な事業所を探し出します。

マッチング時、1人からのアドバイスを受けるより、農業者、事業所、コーディネーターとで、本音で話し合うと、到底導き出せない答えが出ることがあります。
農業者の支援して欲しい作業と事業所のできることを直接すり合わせて行く過程で、「こんな事できるの凄い!」という発見もあります。

そんな素晴らしい答えを導き出せる時は、お互い、自分の頭で考えた結果での“妥協”ができており、発言しているので、話が綺麗にまとまるのかもしれません。

このようにマッチング後も良好な関係を築いている案件の裏側には、信頼、協力、感謝、寛容等さまざまな目に見えない大切なものがあります。

現在、SDG‘s、ダイバシティ等、多様性社会の実現が話題になっています。
相手の立場になって推し進めている農福連携にはそれがあります。
農業と福祉だけでなく、あらゆる産業、社会全体に“妥協”を拡げることができれば、実現可能だと信じています。

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