忘れられないアルバイトでのとある事件

アイドルになる前にしていたアルバイト先での思い出話。



そこは、働いている人が

女子9割(30人以上は居たかな)
男子1割(2人)
店長(男性)(1人)

といった職場でした。女の子ばっかり。
可愛いカフェです。



新オープンするお店ということで誰もがはじめましての状況、そしてほぼ同世代ばかりだったのでみんな仲良く、今思い返してもすごく楽しい場所でした

ポップを手作りしたり、メニューの試作をしたり、何から何まで準備し、制服も可愛いのでそれに合うように髪型を凝ってみたり、みんなで頑張って一からお店を作り上げていく様子が女子校のような雰囲気でした



そうしてそんなお店がもうすぐ一周年を迎えるぞ、というタイミングで「お店の一周年記念Tシャツを作ろう!当日はそれを着よう!」という話がどこからともなく現れました


自分はその記念Tシャツに関してノータッチだったのですが、絵の上手い子やそういうのが好きな子達がおそらく率先してデザインを考えてくれていました

「お店の名前を入れて、みんなのイニシャルを散りばめよう、生地はピンクにしよう」と、さすがは女の子、といった感じの可愛いデザインで進んでいきました


ラフ画のようなものが出来上がった時には皆でそれを見て「わ〜っ!」と盛り上がり、
「可愛い!」「いいね!」「ありがとう!」「完成楽しみ〜!」などなど皆でキャッキャしていた記憶があります

Tシャツに対しての意欲がそこまでなかった私も、ここまでくるとちょっとワクワクしてきました



そうして、表面(着た時に前になる部分)のデザインは完成しました


裏はどうする?となった時に、たった2人しか居ない男子のうちの1人が現れました。

自分からデザインを考えたい、と申し出たのか、女子達が「せっかくやから男子の案も入れよう」となったのか、そこは分かりません。
仮にその男子がA君とします。
(ちなみにA君はみんなより10近く歳上)


「Tシャツの裏面はA君がやってくれるって〜!」



そうなんや、と特に気にかけることもなく、私はまた、記念Tシャツへの意識が薄れていきました












そして数日後。
お店の一周年の日








「おはようございます」


出勤した私の目に飛び込んでくる、いつもの制服とは違うみんなのTシャツ姿。




お〜みんな着てる!可愛い!ピンクのTシャツ!すごいな〜完成したんやな〜私も一枚貰ってこよう



すると





「ほんまに有り得へん!!!!!!」







女子達がざわついていました







「どうしたん?」


と聞くと、






「これ見て!裏!!」





するとTシャツの裏にはA君に任せたデザインが。










































コテコテの関西弁の文字が、男子特有の渋いフォントで描かれていました。


縦書きで。
ほっそい筆ペンのようなデザインで。












「こんなんラーメン屋やん!!ほんまに有り得へんねんけど!!!」




みんなで一生懸命考えて可愛いデザインにした表面。

ひっくり返ると背中にはラーメン屋風のデザイン。




女子達が怒り、半泣きでした





なぜか誰もが出来上がるまで知らなかったのですが、私もこれにはびっくりでした。





その時のA君は…あまり覚えていませんが多分ちょっとショボンとしていました
決してボケとかではなく、難波にあるお店だったので、その感じが伝わるように、と彼なりのベストデザインだったのでしょう…



お店にはもう一人、男子が居ましたがその子がポツリと一言。


「ボクはいいと思うけどなぁ。」



クマのプーさんのようなおっとりとした彼が発した一言は、特に誰の耳にも届かず、流されていきました






そんな ふと思い出しては笑ってしまう思い出






学校みたいやったなぁ。

あのTシャツどこいったんやろう。

関係ないけど私は後にラーメン屋さんでのアルバイトもしました




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