見出し画像

ままならず ショートショート

「どうにか立ち退いてもらえませんかねぇ」意味があるのかわからない交渉をしながら、私は目の前にあるお稲荷さまの社殿にいなり寿司を供える。
よくわからないこの仕事を降ってきた先輩を恨めしく思いながら、今朝聞いたこの神社の曰く話を思い出す。

うちの会社が買い取ったこの神社は、昔からテキトーに扱うと呪われるとして有名な神社だったらしい。が、うちのバカ社長はそんな言葉を迷信だと退けて、神主に一度も拝ませることなく解体工事を決行した。
その結果、工事機械が頻繁に壊れたり、白い狐を見たと言い始める従業員が出たりと、現場は混沌を極めることとなり、半年ほど工事を取りやめているらしい。

そして現在、幽霊を信じる社員が少しでもお稲荷さまを収めようと、時々下っ端社員を神社に送らせて拝ませている。
「工事がうまくいきますように、あと私が先輩たちより出世できますように」私は少しの呪詛と共にお参りを済ませる。お祈りの後、チリーンと鈴の音が聞こえた気がした。

あとがき

最近サボりにサボっていて、ちょっと余力ができたので久しぶりに書いてみた。
ちょっとまた腕を慣らしていきたい所存。

🍣⛩️たらはかにさんの企画に後追い参加中!!果たして追いつけるかな?!?⛩️🍣

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?