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子育てはいつ終わるのか

18歳の春、はじめて北海道を離れ埼玉で一人暮らしをはじめた。

ずーっと憧れ続けた念願の一人暮らし。

ちょうど同じタイミングで、家族も北海道内の別の場所に引っ越すことになったため、大家さんに驚かれながら、引っ越しの段階から一人でスタートした。テレビの配線につまづき、近くの電気屋さんに行ったら「いま忙しいので数日後に行きます」と言われ、都会の世知辛さ?にしょんぼりしながら家へと戻った日のことは鮮明に覚えている。スマホもなかった当時、なんども繰り返し読んだ本や漫画を再度読み返して、時が過ぎていくのを待った。

親からも弟たちからも離れて、自由を謳歌し、楽しい毎日のスタート!と胸を躍らせていたのに、知らない土地での慣れない生活に寂しさがつのった。あーあ、こんなはずじゃなかったのに。あのガヤガヤした家族が恋しくなるなんて。

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先週、幼稚園からの帰り道に自転車の後部席に乗るはなから
「ママはきょうだいいたからじぶんのへやなかった?」とたずねられ

「兄弟いただけど、年が離れているから、ママの部屋が必要な時には弟がまだ小さかったし、弟に部屋が必要な頃にはママが一人暮らししていなかったから、部屋はあったよ」と答えた。

「ふぅーん。はなはひとりぐらししたくないな。ぱぱとままとずっといっしょにすみたい」とはな。

いつもなら、「一緒にいるのも楽しいけど、一人暮らしも楽しいよ」と答えるのだけど、この日は「そっか。みんなで楽しく暮らせると良いね」と話した。

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大学生活がはじまり、1ヶ月も経つと友達もでき、バイトもはじめて、ホームシックも解消された。家へと電話する回数もどんどん減っていった。途中で大学を辞めたくなったり、順調なことばかりではなかったけど、大学生活のスタートが自立への一歩だったのかな、と今では思う。

私自身、北海道を離れたからこそ見えた都会と田舎それぞれの良い面・悪い面、一人暮らしをしたから気づいた親のありがたさ、気づけたことが沢山あるから、娘には家を出て欲しいなぁとずっと思っている。

けれど、つい最近読んだ西原理恵子さんの著書「女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと」の中で、反抗期真っ最中の娘さんのこと、16際で留学した息子さんのことが書かれていて、「あぁ〜パパとママと一緒に住みたいなんて言ってくれるのもあと数年かも」と思った途端、5歳のはなの言葉が宝ものになった。

あんまり長引かないで欲しいと思っている子育てだけれど、思った以上に早く手を離れる時が訪れるかもしれない。
子育てはいつ終わりが来るかわからないからこそ、「一人暮らししてみたらいいよ。自分で生きていける力を身につけるんだよ」というメッセージは心に持ちながら、頬を寄せ合って楽しめる時間を思い切り味わおう。


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