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変革と伝統 伝統工芸と現代社会の間で揺れる私

ここのところずっと、実家の家業について考えている。

父は仏具職人で伝統工芸士資格を持っている。
しかし弟子が育たたなかったので、一代で工房を畳もうと考えているらしい。
わたしは家業を継がなかったものの、廃れさせたくもないと思っている。

伝統工芸を現代的な形で継承する方法とはどんなものが考えられるか?

いま流行りのAIにそんな事を聞いてみたら、こういう答えが返ってきた。
 1. オンライン販売の活用
 2. ワークショップの開催
 3. SNSの活用
まぁ、そうなんだけど…芯を食っていない。
認知の拡大だ!とメディアミックスなプロモーションなんかも考え「これなら1ヶ月でイケるぞー」なんて思っても見たものの……
その活動を始めたらきっと、その方向性で成果を上げるために頑張るだろう。
しかし、それを頑張ることが、本質だろうか?

メディアミックスコンテンツを作ることは目的じゃない。
色々面白そうな案は思い浮かんでいる。
しかしそれを妄想して独り楽しんでいてはいけない。
本当の目的は、伝統工芸を途絶えさせない事。

商売には、需要側と供給側がある。

伝統工芸はなぜ廃れようとしているのか?
確かに、伝統工芸は工業製品のように安く大量に画一的な製品を作れるわけではない。
文化も生活習慣も替わってきた、そういう意味で需要は減っているだろう。
しかしもう必要とされないものなのか、といえばそうではない筈だ。
伝統工芸は地域に密着しているものだから、その地域の人々の生活様式が変われば別の製品に取って代わられるかもしれないが、その誇りとクオリティはその地域に留まらない価値を持っていて、世界にファンが居る。
また、古に制作された工芸品の修繕や定期的な作り変えといった、この国の文化習俗を廃れさせないためにも、その需要はあり続けると思われる。

では供給側はどうか?
「職人のなり手がない」問題は、伝統工芸に限らないだろう。
一子相伝に問題があるのか?
例えば大工さんが減るのは低賃金だからか?
そもそもその仕事を知られていないのか?

職人の「育て方」「集め方」

双方に問題はあると思うけど、職人の娘としての経験から言うと、そもそもその仕事を知られていないという「集め方」に課題を感じる。
0人に何を掛けたって0人のままだ。
いくら偉大な師匠がいても、継承者がいなければその代で終わる。
しかし新人さんが定期的にやってくる、なんてイメージはない。
私の知っている父のお弟子さんは、他工房のご子息、芸大出身、、その他を知らない。
職人になりたい若者ってどんな人なんだろう?
現在の流入経路は?
色々考えるうちに、私は現状を知らないということに気がついた。
そうだ、今どうなっているか見に行こう。

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