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シラミと私とスリランカ人の戦い (前編)

数年前、私はスリランカにいた。
目的は留学である。
滞在先は学生寮。
600人以上の学生が住んでいる寮に、外国人は私だけであった。

私はこの1年という留学期間、スリランカ人に囲まれた寮で様々なバトルを繰り返してきた。

そして、数多くあるバトルの相手の一匹が「シラミ」であった。

シラミとは何か?

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みなさん、シラミという虫を聞いたことがあるだろうか?

シラミとは動物の毛に寄生し皮膚から血液を吸血しながら生きていく寄生虫

彼らは、動物だけでなく、人間にも寄生する。とくに、毛の多い頭皮に寄生するため、アタマジラミとも呼ばれている。

また、彼らは衛生環境が悪いところで蔓延する傾向があり、日本では第二次世界大戦中、多くの人々がシラミに感染していたと言われている。

戦後、アメリカでDDTという殺虫剤が開発されたのをきっかけに、シラミの駆除にも使われた。しかし、レーチェルカーソンの「沈黙の春」にも示されたように、DDTは環境破壊に繋がるほど毒性が強く、生産は停止された。

そう聞くと、シラミは過去の出来事や途上国だけの問題のように感じるが、実は、今なお日本でもシラミに寄生される可能性はある

とにかく、彼らは非常に面倒な虫なのだ。

スリランカの洗礼を受ける

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途上国に住んでいると、シラミの感染リスクは高まって当然である。やはり、衛生環境の問題が大きいためだ。しかし、シラミに感染したからと言って、死に至ることはない。

ただただ、痒いのだ。イライラするくらい痒いのだ。

私は、スリランカの寮に住み・・・このシラミに襲撃された。

スリランカに到着して、たった1ヶ月のことだった。

そのことを、日本の大学の指導教官に伝えると、私の先生は「スリランカの洗礼を受けた」と言って笑っていた。

哀れに思われるよりも、笑っていただける方が全然良い!と思い、スリランカでの武勇伝が作れたことを誇らしくも感じた。
(若さが故、好奇心がすべてに勝る!)

そして、私は、その日から1ヶ月、シラミと向き合うことに決めた。

私は本当にシラミに感染したのか?

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当時、私はスリランカ人のルームメイトのシハーナと2人で生活をしていた。

基本的に、シラミの感染原因は寝具やタオルであると言われているのだが、私はシハーナとタオルのシェアはしていなかったので、可能性があるとしたら、ベッドであると考えた。

たしかに、その寮のベッドは、ココナッツの繊維のマットレスに、シーツカバーをかけてあるだけの、とてもシラミの住み心地が良さそうなベッドだったので、可能性あり!と判断した。

でも、ベッドを交換することはできなかったので、とりあえず、ベッドカバーと枕カバーを熱湯消毒してみた。

しかし、当時の私には

自分の症状が本当にシラミなのか?それとも、汗で頭が痒いのか?

全く判断ができなかった。

でもその時点の私は、まだ自分がシラミに感染している事実を疑っていた。むしろ、信じたくなかったと言った方が適切かもしれない。

きっと、シハーナに相談すれば「シラミじゃないよ!安心して!」という一言をもらえると思っていた。

初めて覚えたシンハラ語は「ウクヌ」だった

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私:ね〜、ちょっとシハーナ?相談があるんだけど・・・。いい?

なに?

私:あのね、私最近頭が痒い気がするんだけど・・・。なんだろうこれ?

ちょっと髪の毛見てあげようっか?

私:うん、お願いしていい?

そして、シハーナは私の髪の毛を触りながら

Saya、ウクヌがいるよ

と笑った。

ウ・・・ウクヌ?!

そして、シハーナは、ウクヌの写真を見せてくれた。
それは、まさに、「シラミ」だった。

後編につづく・・・。

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注意:note執筆の都合上、挿絵はシラミではなくノミです!

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