観劇感想vol.15 ミュージカル「アルジャーノンに花束を」

かの有名な、昔読んで大号泣した小説「アルジャーノンに花束を」がミュージカル化するとのことで
気になってチケット取ってみました。

場所は外苑前の日本青年館ホールです。ここ来たのも数年ぶり。神宮球場では阪神対ヤクルト戦でしたので駅は鬼ほど混んでました。
混んでる駅に来ておきながら、詰め掛けた人達の大多数とは違う目的地に向かうのってなんか面白くて好きなんですよね。ありません?
いやこちらのお芝居だってお客様たくさん来てるんですが。

そんなわけで感想です。
個人の感想なので演出意図と乖離した発言してるかもしれませんがご了承を。
あと一応、今回もめちゃくちゃにネタバレを含みます。

ミュージカル「アルジャーノンに花束を」
(公式サイト)

日時/場所
2023/4/27(木)〜5/7(日)
東京 日本青年館ホール
5/13(土)〜5/14(日)
大阪 COOL JAPAN OSAKA WWホール

キャスト
浦井健治
大山真志
長澤風海
若松渓太
大月さゆ
藤田奈那
渡来美友
東山義久
北翔海莉

公式サイトより引用

最近投稿してないから知らなかったけどリンク埋め込んだらサムネ出ちゃうのね。

なんか最後「結局もともとのチャーリーが築いた居場所はちゃんとあるしそれはそれでちゃんと尊いよ」みたいな良さげな〆に持っていかれた気がしましたが原作ってそんな話でしたっけ……?
原作読んだ時はひたすら救いのない喪失感がすごかった思い出があるんですが、少しでも明るくなるように直したのかな。

それで言うと、チャーリーの知能が一旦上がりきった後下がる時「捨てたはずの過去の自分が背後に迫っている」みたいな感じの表現をされてた感じがしましたが、
どちらかというと、過去は人間ですらなかった状態から素晴らしくまっとうな人間になれたね的な周囲の振る舞いに憤りを感じてませんでしたっけ。そんな台詞もまぁあるにはありましたが。
だからこそお披露目の会で大騒ぎ起こした認識だったので
個人的にはチャーリーには、頭がよくなったばかりに周りを蔑んじゃう自分を恥じ入るような人でいてほしかった……
(ついでにお披露目会の大騒ぎもできれば是非舞台でもやってほしかった)

チャーリー自身がそっち側になっちゃう/最早見下すようになった存在に自分がみるみるなっていくのを恐れるっていうのも生々しくてよいですけどね。
原作読んだの結構前だから認識違ったらすみません。東野圭吾作のオマージュ作品と混同してるかも。

研究所の面々とパン屋の同僚が同じ演者さんで、しかもわざわざ舞台上で衣装替えするのは
どっちの人達もチャーリーに対して抱いてる認識は本質的には大して変わらないのを現すみたいでいいなと思いました。
最初は「この話をミュージカルにするってどういうこと??」って思いましたが
とくに冒頭は、純粋でシンプルな希望だけを持ってきたチャーリーの預かり知らないところで
周りばかりがワチャワチャしてる感じが出て面白かったです。
音楽も割と大事なこと話してるのにけっこう明るかった印象が。

あとキャストにアルジャーノンもいるの個人的にかなりよかったです。
あの子はアルジャーノンで在りながら、アルジャーノン/パン屋の見習いの子/過去のチャーリーと
周りのみんなが「普通のヒト足り得る存在じゃない」と勝手に烙印を押した数多の存在達の象徴みたいな感じだったぽいですね。
そういう立ち位置の存在を作れるのが舞台のいいところですよね、すごい好きです。
表現も全編通してダンスのみですてきでした。

日本青年館は横まで客席が広がらないで壁になってるので
舞台後方から演者さんを照らして、壁に影を映せるのがいいですね。
今回もこの方法から、背後に忍び寄る過去のチャーリーの影をより感じる瞬間があり
意図された演出じゃないかもしれませんが(そうだったら尚凄いんですが)、配信やDVDでは見られない、現地で直に見たからこその不確定に派生した表現を見られると
やっぱりお芝居は劇場で見るのがいちばんいいなって感じますね……

※ミュージカル「アルジャーノンに花束を」
(チケット案内ページ)

この記事が参加している募集

舞台感想

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?