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ゲーム/esports業界の元採用責任者が 就活生に伝えたい「仕事の選び方」

こんばんわ。さとけんです。

普段は鎌倉にあるインターネット企業でTonamelというトーナメントプラットフォーム事業の責任者をしておりますが、元々は人事部で採用責任者をしておりました。

そんな経歴もあって、Tonamelの仕事を通じて出会った方から、ゲーム/esportsの仕事に興味があると、就職活動の相談を受ける機会がありました。

実際に、「仕事選び」について話してみると、事業部でのお仕事の経験や、個人的なライフイベントもあり、採用の仕事から離れて1年間でだいぶ仕事選びに対する価値観、考え方が変わったなーと思いました。

今となっては新卒採用選考の解禁時期とかわからない(というか、採用責任者をやってた時も正直よく分かってなかった)のですが、きっと仕事選びについて迷われている方も多いかなと思ったので、僕が昨日就活生と話している時に気づいたこと、話終わって気づいたことをまとめてみることにしました。

この記事を読んで欲しい、届いて欲しい人

僕は、ゲーム/esports/ゲームコミュニティに関わる仕事をしていますが、今回はそこに関わりたい人に限定せず、また、新卒・中途問わず広く「就活」している人に届いたらいいなと思ってます。

この記事で伝えたいこと

一般的によくある質問

・好きなことを仕事にすべきか、それとも好きなことは趣味として続けるべきか
・仕事はやりがいで選ぶべきか、安定をとるべきか

という問いに、今の自分が思うことを答えていきます。ただ、それらに対して解を出していくというよりは、答えは常に変わり続けるということ、どういう時に考え方が変わってくるかとかが伝えられたらいいなって思ってます。

好きなことを仕事にすべきか、それとも好きなことは趣味として続けるべきか

ゲーム事業の採用担当をやっていると、候補者の方とかなりの割合でこの話になります。僕も気持ちは分かります。僕は学生時代から音楽をやっていたので、やっぱり「音楽業界とかどうなんだろうな〜」って思いましたし、実際に1社目に就職した会社も音楽配信事業をやっている会社でした。

でも、新卒から人事配属だったし、なんならその音楽配信事業のことを1mmも良いと思ったことがないし、音楽業界のことを知れば知るほど嫌いになりそうだったので、関わらなくて良かったなって思ってます。

一方で、僕が個人的に嫌いなもの、苦手なものといえばかつては「ゲーム」でした。スマブラが原因でゲームから距離をおきました。ですが、僕のキャリアの大半はゲーム事業/esports事業の採用責任者、そして現在のキャリアはゲームコミュニティ事業の事業部長です。次のキャリアは「プロゲーマー」を志望しています。

僕のキャリアが偏りすぎてますが、まぁ、好きなことと、好きなことに関わる仕事をするかということについてはそんなに関係ないんだなということはお分かりいただけるかなと。

あと、こういった感じで「趣味」の「仕事」違いの話をする時に

「野球とサッカーくらい違う」

という表現を使います。では、野球とサッカーの大きな違いはなんでしょうか。僕は「ルール」だと思います。ルールが異なれば「評価」が変わります。木の棒で球を打ち返し、120〜130m先のスタンドに打ち込むという特技は野球というスポーツにおけるルールの中では評価される(ホームラン王)のですが、サッカー場でバットを振っていたら、受けるのは評価ではなく職質です。

つまり、仕事選びの際には好きかどうかよりも

・どういった仕事内容(種目/ルール)、職種(ポジション)があるか
・どの仕事内容(種目/ルール)にやりがいが見出せそうか、どんな職種(ポジション)が向いてそうか
・応募しようとしている会社(チーム)は、どんな職種(ポジション)を求めていて、どんなことを評価してくれるのか(評価制度、その会社で働く人の性格やタイプ)

を知るということと、その会社で評価されるであろうファクト(実績、行動事実)やポテンシャルをきちんと説明できるかどうかが大事だなと思います。

ですが、「好きなことは趣味として続けるべき」に対してYESというわけではありません。

特に僕が働いている、ゲーム/esportsといった業界にはユーザーの「コミュニティ」というものが存在しています。あるタイトルが好きな人たちが、その人たちの善意/主体性によって運営されているものがコミュニティです。そういった人たちが大切にしている価値観や考え方というものを理解、尊重できないとコミュニティから見放されてしまいます。そういったように、コミュニティが存在している仕事に関しては、その事業、提供しているサービスが「好きかどうか」ということはとても大事だなと思っています。

なので、僕はこの仕事に関わる人間として、コミュニティとの共通言語を保ちたいという想いからも苦手だったゲームに人一倍努力して取り組みました。

なので、それがどういった仕事でどういったポジションがあり、どういった評価が行われるのかを理解することを第一に、趣味も活かせそうな仕事だったら尚可くらいに考えるのがいいかなと思います。

仕事はやりがいで選ぶべきか、安定をとるべきか

僕はいわゆるワーカホリックです。

新卒1社目の会社では、100時間を超える残業をこなし新卒の2年目には新卒採用部門のリーダーにもなりました。

採用、人事というものをもっと突き詰めたいと、リクルートという大手企業に入社しましたが、大きな企業で働くことの難しさも感じましたし、もっと自分の得意なことを、得意なやり方でやりたいなーと思って、鎌倉のインターネット企業にたどり着きました。

この時に失ったものは「安定」です。リクルートもベンチャーっぽいところはありますが、安定した事業モデルもあり、潰れる不安はないし、給与やライフイベントごとの支援も充実していました。

けど、なんとなく「やりがい」みたいなものの方が大切だなって思って離れました。

で、今の会社に入社してから「やりがい」みたいなものに困ったことはなく、好きなだけ仕事をして、前にいた会社の時よりも遥かに上回るお給料をもらっていて、今でも充実しているなーと感じます。

ですが、2020年に父が亡くなるという大きなライフイベントがありました。父は自分と同じワーカホリックでバイク店の経営者でした。小さい頃も運動会とかそういうイベントに父をみかけたことはないですし、週1日の休みもバイクの仕入れにでかけるような人間でした。そんな父が今から4年ほどの前に、末期の癌であることが分かりました。自分は、約3年間父の闘病をサポートし、一緒に通院していたのですがある日こんなことを口にしていました

「給料がサラリーマンの時の半分になる時もあるけど、倍にすることもできた。それが自分で会社を経営することの醍醐味だと思う。でも、癌になった今経営者になったことをめちゃくちゃ後悔している。」

また、亡くなる直前に会社が経営難であることも分かりました。遺せるものがなく、葬式も質素なものになりました。結果、親戚や父の知人から避難を受けることもありました。

一生忘れないと思いますが、とても惨めな思いでした。ひたすら働きづくめで健康を害し、遺すものがなく家族が将来の不安だけを抱えて過ごす。

この時、果たして自分も今のような仕事、働き方をしていいのだろうか。

「やりがい」というものとの天秤にかけ、自ら手放した「安定」というのがこんなにも大切なものだったのかと痛感しましたし、今の自分には「安定」が必要なんじゃ無いかという風に考えたこともありました。

だけど、今、一定の時間が経ってみると「後悔」というものにはなってませんでした。「やりがい」というものを求めて働いてきたからこその、経験・実績がありますし、これだけの経験があれば、きっと自分の意思次第で好きな環境を選ぶことができます。(実際にヘッドハンティングなどでお声かけいただく機会もそれなりにあります)今はこんな状況ですから下手に動くよりは今いる場所で頑張らんとなと思って働いています。

「仕事はやりがいで選ぶべきか、安定をとるべきか」

これに関しては、どちらが正しいということもないと思いますし、安定を取ることを引け目に感じる必要もないかなと思います。また、今後生きていく過程の中でも重み付けが変わってくると思います。その時、その時でこうだと思う選択を取れば良いんじゃ無いかなって思います。

少し前だったら就活生に「仕事のやりがい」について語っていましたが、今はフラットに「どっちも大切なことだと思いますよ、今大切に思う方で選べば良いと思いますよ」って伝えるようにしていいます。

最後は若干重い話も入ってきましたが、是非就職活動の参考にしていただければなって思います。


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