ただいま、の重さ
貴方にとって幸せって何?と彼女は問うた。
今の私で言うと、帰ってきた時「ただいま」を言うと「おかえりなさい」を言って貰えること。
目覚めるときに誰かの体温を感じること。
それから互いに「おはよう」と声をかけること。
淋しがり屋の上に独り暮らしの期間が長い。
それでそんな会話に憧れると彼女に答えた。
こうして炎熱のなか、苦行の帰路を辿る。
離島までの航路にはもう慣れてしまった。
空洞のような家に帰宅して、手探りで明かりを点ける。その瞬間に表現しようもない寂寥感を覚える。
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