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自動化ゲームを投げない方法と効率的なライン作りを解説する Part1

読むのが面倒くさい人向け

  • 繰り返し作業が面倒くさくてゲームを投げるなら、とにかく繰り返し作業を無くす方向で考えよう

  • 配管やベルト、採掘所は甘くみるな 拡張性とメンテナンスの手間を考えて作ろう


はじめに

この記事では、Minecraftの工業化MODを代表として他自動化・工場建設ゲームの例も交えながら、自動化設備を作るに当たっての効率的な考え方を、各ゲームの内容に詳しくない場合でも理解出来るよう要素を紹介しながら説明してゆく。
飽くまで効率の側面に比重を置いた一方針であるので、個人のゲームプレイのスタンスを否定するものでは無い。
Part1では自動化の意義について説明する。

Minecraft工業化MODPackの例

導入

世界で一番売れたゲームであるMinecraftには、非常に巨大なMODの文化・コミュニティ郡が存在しているが、そのMODコミュニティからフィーチャーされた工業・自動化ゲームは数多く、有名な所だとFactorio、Satisfactory、Dyson Sphere Program等がある。
Steamのジャンルにも「自動化」「基地建設」等のタグは存在し、こういった自動化ゲームを好みにする自動化ジャンキーが世の中には一定数存在する事が分かる。

対戦ゲーム、ジャンル例を挙げれば格闘ゲームやFPSやMOBA等のゲームにはそれぞれのゲーム毎に、キャラ性能や使い方、戦況の把握、ランクマッチで勝敗を分ける立ち回り等、そのゲームが上手い人間の思考内容を言語化した情報が多い。中には一つのゲームのみならず、そのゲームジャンル全体に渡って普遍的に使える考え方を解説している情報も存在する。

「Valorant 考え方」で検索すると情報に溢れている事が分かる

一方前述した工場建設系のゲームはよりディープなオタク寄りであり、プレイヤーの母数が少なく、日本語の解説記事は少ない。
ゲーム内の個別のアイテムやプレイ動画、日記の情報は多いが、ゲーム全体に渡って適用可能な体系的な考え方について解説している物は少ない為、ここに日本語の情報として解説する。

自動化ゲームの続けづらさ

例えばYoutubeで自動化ゲームのプレイ動画・実況動画を探してみるとすると、そのほとんどはゲームの最終目標や最終Tierまでたどり着く事なく終わっている。動画の作成には多大な労力と可処分時間の消費が必要な為、その要素が未完の要因として多いと考えられるが、ここではもう一つの要因「モチベーション」について考える。

自動化ゲームの流れ

まず、自動化ゲームには大まかなゲーム全体の流れが存在する。

1.(チュートリアル)設備も何も無い状態からアイテムを集め、手動でアイテムを制作していく
2.(序盤)制作したアイテムで最初の設備を作り、生活や行動が便利になってゆく
3.(中盤)設備を利用する事で獲得できる素材や生産出来るアイテムが増え、設備改良と増設を繰り返し到達可能なアイテムの種類が膨れ上がってゆく
4.(終盤)エンドコンテンツアイテムやゲームの到達目標に向かって大量生産する

上の4つの大まかな流れのうち、最も離脱者が多いのが2.序盤から3.中盤にかけてである。筆者目線ではあるが中盤のアイテム種類増加を乗り切れるプレイヤーはそのまま終盤まで突き進み、ゲームクリア(という明確な概念が存在しないゲームも多いが)へ到達できる傾向が強い。

目標達成と割り込みタスク

この序盤から中盤にかけてのつまづきであるが、そのほとんどの場合の要因が「自動化不足」である。
人間には「同時並行でどこまで物が考えられるか」のマルチタスクの思考能力が大なり小なり備わっているが、そのマルチタスクの量にも限界がある。
仕事で「◯◯をしようと考えていたのに△△をしなければいけなくなった」等の割り込みタスクを経験した事のある人間は多いと思うが、その割り込みが膨大になり、同時に意識する項目が増えていけばどれだけ優秀な人間であっても限界は訪れる。

モンハン等のゲームにもありがちな流れとして「作りたい装備の為に装備を作る」等、必要な手順がチェーン式に増えていく場合があるが、自動化ゲームはそれが最も長くなるゲームジャンルである。

モチベーションと労力のバランス

最序盤は手動制作や加工設備へのアイテムの手動搬入で済ませていたアイテム制作も、そのアイテムが中間素材になり、また別のアイテムの中間素材になり…を繰り返していくと、ゲームが進むにつれ、総工数が多いアイテムを1つ制作するだけでもとてつもない労力がかかる。
プレイヤーの人力搬入や移動、割り込みタスクがねずみ講で増えていき、ゲーム自体が投入した手間に比べて遅々として進まなくなった段階で「労力」と「ゲームの面白さ」の天秤が崩れ、そのゲームに興味が無くなってしまう。

安心して欲しい、「自動化ゲーム」なら、とにかく自動化すれば割り込みタスクの問題は解決する。

インフラを甘く見ない

さらにもう一歩進む為

人類は古来より数多くのものを発明してきた。先駆者が努力や偶然によって発明したものによってさらに新たな発見が生まれ、その繰り返しによって人類の可能性が押し広げられて来た。
火が無ければ太古の暗闇に光は無く、天文学がなければ暦は生まれず、金属酸化物によって成り立つ顔料の発明がなければ芸術も足を止めていたし、電磁気学が無ければ遠距離を通信する事が出来ない。今日を生きる人間の中に、コンピュータと完全に隔絶された人間は多くは無い。

仰々しい物言いになったが、人類の発展に当たって人の手は「さらにもう一歩進む為」に使われてきた。自動化ゲームでもそれは同じで、さらに自動化ゲームはゲームバランスが自動化設備>>>(超えられない壁)>>>マンパワーである設計が大半な為、基本的な方針として「人の手はさらにもう一歩進むために動かす」を地で行く必要がある。

生産系と輸送系

自動化をするに当たって何よりも大切なのがインフラストラクチャーである。インフラを生産系輸送系に大別して、以下にその例を挙げる。

生産型

  • バニラMinecraftで言うトラップタワー、農場、植林場、丸石製造機等

  • MODMinecraftで言う採掘機(クァーリー)、各種発電機、マナや魔力の製造器

  • 自動化ゲームで言う基本リソース抽出系機械、発電機

輸送系

  • バニラMinecraftで言うレッドストーン回路、ホッパー、ドロッパー、マインカート

  • MODMinecraftで言う各種アイテムパイプ、エネルギー導管、電線、インベントリ接続系(エンダーチェスト等)

  • 自動化ゲームで言う電線、ベルトコンベア、通信・算術系アイテム、輸送トラック、鉄道、船

自動化ゲームは基本的に何段階もの中間素材を経て、以前は一時的な目標だったアイテムが中間素材として要求される事が多い。当然後半になる程アイテムのトータルコストは跳ね上がっていき、インフラに対する量の要求値も上がる。
つまり生産型は増設するか高速の設備に置き換える作業が必要であり、輸送系も配線・配管の数が多くなり、全体を通してより高いスループットが求められるようになってゆく。

具体的なインフラの構築の考え方についてはPart2以降で解説するとして、今回はインフラの必要要件を説明する。

生産系の拡張

鉱石や原油などの資源を生産する生産系はアイテムの制作レシピのチェーンで最初に位置し、生産型の「太さ」がまず稼働可能な工場の規模を決める。
現実でアルミニウムが「電気の缶詰」と呼ばれるのはアルミニウムの精製過程で融解塩電解という工程を踏むからであり、これには大量の電力が要求される。ゲーム内の設備も必要レシピの他に大小の電力やエネルギーが必要である為、エネルギーもアイテムされないが資源であると考え、発電設備も生産型に含める。

この生産系の拡張が貧弱である場合、指数関数的なゲームの資源要求インフレに耐えられず、進行速度が逆関数である対数関数的に遅くなる。ここも自動化ゲームを投げるポイントの一つ。

対数関数

また、要求量に応じて生産系を拡張したとしても、そこにプレイヤーの手がかかっては「人の手はさらにもう一歩進むために動か」せない。
よって生産系には、ただアイテムを生産するだけではなく、以下の性質が求められる。

  • 拡張が必要になったタイミングで拡張出来る事

  • 極力メンテナンスフリーである事

  • ダウンタイムが存在しない事

輸送系の拡張

輸送系は自動で工場を動かす為に不可欠な工場の血管である。生産系・加工系の各種設備に必ず接続されている必要があり、また距離が離れた地点を結ぶ性質上、大量生産する必要がある。
輸送系を敷設する際にアイテムをいちいち手動で生産していると、工場の規模が拡大するに従って、輸送系アイテムの生産が割り込みタスクになるし時間を食う。これもまた生産系の項目で述べたように、「人の手はさらにもう一歩進むために動か」せない。
輸送系に求められる性質は以下のものである。

  • 大量生産可能である事

  • 自動化して生産され、配管要求量に応じた量がすぐに取り出せる事

  • 搬出・搬入の条件設定や優先度づけ等に融通が効く事

条件設定や優先度づけが詳細に可能である程、メンテナンスフリーの設備が構築しやすくなる。
この融通に関してはゲームで実装されている輸送系の性質に依存しがちだが、場合によってはレッドストーン回路であったり算術回路であったりと機構を複合させて必要な処理が実現出来る場合もある。


リンク

リスペクトを込めて以下の記事を紹介する。
https://trthff.hatenablog.com/archive/category/Omnifactory
Minecraftの高難易度工業MODPack「Omnifactory(Nomifactory)」の内容が主軸であるが、他ゲームにおいても基本的なライン建設の考え方で大いに参考になる為、一読してみて欲しい。

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