目的
お金で幸せにはならないが、お金で不幸になることはある。
村上龍のエッセイで確か、そんなようなことが書かれていた。直接そう表現をしていたのか、それともわたしなりに咀嚼してこういった表現になったのかは定かではないのだが、わたしの中ではその考えが頭にこびりついて、かれこれ5年以上経つ。
そんなわけでわたしは、蓄財に関しては少しばかりうるさいつもりでいる。
今日は久々に、ポートフォリオの見直しと積立投資金額の変更をしていたものだから、つい投資に関して考えをまとめてみたくなったのだ。
この分野は話し始めると、少しどころか随分と話し込んでしまうので簡略に済ませたいのだが、わたしは投資を「現金しか持たないことのリスクヘッジ」としか捉えていない。つまり、稼ごうとは思っていないのだ。
現金を現金のまま置いておいても、今の日本では年間0.02%程度しか増えない。その割に物価は2〜3%上がる。それは言い換えれば、現金の価値が2〜3%下がることを意味する。つまり、現金しか持っていない状況はリスクとなる。
このリスクを回避するためには、現金以外の資産を持つというのが1番の対処法になる。それが投資だ。投資といってもいろいろな手法があるが、わたしは前述の現金の価値が下がるリスクを回避する目的で投資をしているから、物価の上昇、すなわち社会の成長に合わせた値動きさえしてくれれば満足だ。だからいわゆる投資信託と呼ばれる分散投資を、特に頭も使わず毎月淡々と行っている。
話が少し逸れるが、このリスクヘッジという目的を見失わないことが、素人が投資で成功する1番の秘訣だと思っている。つまり、わたしは投資で稼ごうとは思っていないから、変な金融商材に騙されたり、一か八かのリスクを背負って大損を出すようなことはない。当然資産を大きく倍増させたいという人なら、「稼ごう!」という意志で投資先を選ぶ必要があるが、その時は元本を失うリスクを覚悟する必要がある。
話を戻すが、そんな分散投資しかしていないので、本来であればわたしが投資について考えることは極めて少ない。ただし完全にほったらかしでは何かあると危険なので、数ヶ月に一度は点検をしている。点検によって、何か修正しなくてはならないことは今まで一度もなかったが。
繰り返すが、稼ごうと思わないことが、投資に成功する鍵だと思う。しかしその投資を行うためには当然元本が必要なのだが、その元となるサラリーは稼ぐという強い意志を持って仕事をしている。これは当たり前のことで、投資の目的はリスクヘッジだったのに対し、労働の目的はわたしにとって稼ぐことだからだ。
お金を正しく捉えていれば、目的が明確になり、何をすべきかという行動指針にもなる。やはり村上龍は偉大である。
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