君の1文字1円はその価値でいいのか
2020年もあと10日で終わってしまう。
今年は13年ぶりに商業で小説を出したし、ここ数年の動向で考えればコロナ禍にあっても、まぁまぁ物書きとして充実していたと思う。
とはいえ、私がド貧乏であることには変わりがない。
びっくりするほど収入はあがっていない。
むしろ体調不良で休みがちになって、収入が右肩下がりである。なんてこったい。
おおむね自律神経がポンコツになったせいなので、ゆっくり休んで良いものを食べて程よい運動をする生活をしばらく続ける必要があるのだが、このご時世そんなスローライフができるのはある種の特権階級である。
まぁ、今年に始まったことではなく、私は大学も行かせてもらえなかったし、ろくすっぽ仕事もないし、スキルも職歴もないままバイトだけで食いつないだ就職表激直撃のロスジェネ世代。副業としてライター(コラムも書けばシナリオも書く)をやっているが、もう割と仕事も選んでいなかった。酷い値段で色々なテキストを書いた。
しかし、今年に関して言えば、お金はなくても仕事は選んだ。
それは何故かという話を今からする。
貴方が思っているほどその1字1円に価値はない
私は仕事募集をしている。
私は決して単価の高いライターではない。
むしろ、プロとしてはクソ安いライターと言って差し支えない。
そして最低ラインとして1字1円の単価を提示している。
これは最低ラインであって1字1円なら仕事を受けますという意味ではない。
求職サイトなどで引っかかる外注テキストライターは、1字1円ベースで計算されることが多い。(というか、1円以下の場合はフザケンナと言っていいレベルの酷い会社である)
ただし、これは厳密には1字1円ももらえない仕事であると考えた方がいい。
たとえば5000字相当1件5千円は最低字数が5000字であって、それ以上にはみ出しても5千円しかくれないということがままあるわけだ。
そして、ワードプレスなどにテキストを流し込む作業は、ライターに丸投げされることも多い。
つまり、タグつけやURLの整備、時には画像の投稿設定などまでを含めて1字1円である。
もちろんリライトが発生した時に、その分だけ金を出してくれるところなんてほとんどない。少なくとも、1字1円ラインのところで、そんな金を出してくれるところは見たことがない。
よって、これからライターをやってみたいと思っている人は、時給換算1000円以上、1字1円以上はほぼウソだと思っておいてほしい。
1字1円以下のラインの仕事で求められる質
私はまがりなりにもこれで金を稼いできたので、1字1円ラインというのは「ほぼテキストのみを書いて出し」で初めて割にあう質だと感じる。
タグいれなどのワードプレスの基本操作、画像やURLなどの気遣い不要で、とにかく書いてテキストだけホイホイ送るのでやっと割にあう。
でも、大体の場所ではそれ以上の質を求められる。
前述した、ワードプレスの操作などもそうだが、ずさんなところに当たると「そもそもテキストを書くための参考資料がいい加減」なのである。
少しでも固定のライター仕事を持とうと、メディアサイトのライターに応募したことがある。テストに一記事起こすことになった。
これを元に記事を起こして、と出された資料の動画URLがリンク切れだった。
動画埋め込みが必須なのに、マニュアルに動画埋め込みのタグ仕様がきちんと記載されていなかった。(youtube公式ので使える動画埋め込みタグと、指定サイズが違っていた)
そしてそれの締切が、1日だけしかなかった。(つまり問い合わせていたら、下手をすると間に合わない)
それで仕方がなく、動画をもらった記事とは別のものを記載し、他の記事を参考にして使うべき動画タグを発掘し(見られるのもどうなんだよ)、何とかあげてひとまず記事をあげたが
「この動画を何故使わないんですか」
リンク切れだからだよ確認しろ
テストは合格だったし「なれたら稼げるようになりますよ^^」的なことを言われたが、こちとら慣れたらも何もライターで十年小金を稼いできたんである。
「1文字1円ラインとしては要求が多すぎて割にあいませんね」
をあまりオブラートに包まずに言って断った。
はっきり言う。
実質1字1円以下になるような仕事なら、ただ正確に大量にテキストを打てばいいデータ入力でもやった方がいい。
1字1円以下ラインのライターに、創造性を求めるな。
考えてみて欲しい、実質時給以下の仕事で創造性を求められるという現実を。いや、もう求めちゃだめでしょ、ソレってなるよね?
創造性を使うなら自分のコンテンツを作った方がいい
慣れればたくさん稼げますよ。
この言説は信じなくていい。
1字1円ラインでも慣れたらいくらでも稼げるというなら、それこそテキストだけ書いて出しするくらいでないと本当に割が合わない。
1字1円ラインでもジャリジャリ稼げるということは、ものすごい大量に記事を書かなければならないということだ。
本当に隙間時間を全てとかしてでも、その記事を書く価値があるのかはちょっと考えてみて欲しい。
私は、その価値はないと思った。
はっきりいって、創造性に富んだ記事をがんがん書けるレベルにあるのだったら、1字1円は安すぎるくらいだ。何度もいうけれども、1字1円はライターとして最低限レベルなのだ。1字1円以下になるなら、雇われライターなんてやらない方がいい。
こういうことを言うと仕事がこなくなると思われるかもしれない。
というか、このレベルの値段で買いたたかれるなら、私のライティングを買ってくれなくてもいい。
創造性を求められるテキストを1字1円で書くくらいなら、たとえ1字1円にもならなかったとしても、自分のコンテンツを作った方がいい。
自分のコンテンツを作ると、それがエッセイであれ、小説であれ、詩作であれ、自分のポートフォリオになる。
自分の作品の見本になる。
そして、それは最終的には1字1円の記事ライターよりも、もっと高いグレードの仕事に繋がる可能性がある。
あと、単純に、自分が好きなものだったら1円にもならなくても、書けたりもする。
私は、1円にもならない自分の小説をWEBに無料で公開して、それが編集さんの目に留まって電子書籍出版にいたった。
1字1円以上になるかはさておき、ただ言われた記事を書くだけの仕事よりも有意義だ。実績になる。自分は商業で電子書籍出版をしました。そう堂々と言える肩書きがつく。
向こうから指名で依頼が来るようなレベルのライターなら、1字1円以下になるような仕事はありえない(というか、そのラインだったら断るべき)
私は今、社内ライターをやっているけど、時給は普通に1500円以上あります。それくらいもらっていいんです、ライターって。
というわけで、2020年総括は
自分を安売りしない
でした。
もしこれから、ライターを目指したいと言う人がいたら、ぜひこの最低限ラインの話を思い出してほしい。
本当にその値段の価値が、そのライティングの仕事にあるのか、納得してから仕事を始めて欲しい。
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