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監督デビュー戦記@社会人選手権 ”2015/2016 監督1年目”

2015年5月、監督としての活動を開始して直ぐの公式戦、社会人選手権大会を振り返ったnote 。

この頃、前GMの細野さんは、まだ遠征についてきてくれてベンチにも入ってくれていた。

現梶原GMはまだドイツにいたし、写真や映像を駆使してバイオレットの存在を世の中に広めてくれた高井さんとはまだ面識すらなかった。

今期アナリストに加わってくれた工藤くんはもちろん、トレーナーの佐久間先生も、木本さんもいなかった。エモチもまだ岡山にいたのかな?笑

事務の森さんはこの頃も、そしても今もずっとクラブのイニエスタであり、選手のお母さん的存在。偉大だ。

大会会場が富山市内で、前職時代によくしてくださった北陸の相続関係の仕事仲間が応援に駆けつけてくれたのもいい思い出だ。

2015年5月1日 MVI監督として活動開始

5月1日に福井を出発、三重県鈴鹿市で単身赴任生活がスタート。2015年5月から三重バイオレットアイリスの監督としての活動を開始させた。

日々の練習はもちろん、選手全員との面談、スタッフ会議、関東遠征、学生リーグ春季大会へのスカウト&挨拶周り、総会&懇親会、鈴鹿市長への表敬訪問、記者発表、ラジオの収録、スポンサーとの打ち合わせなどこの頃は、何でもかんでも顔を出していた。

社会人選手権大会へ出発

忙しい合間を縫ってルーキー4名(花村、角南、河嶋、金城)と僕の歓迎BBQ。富山へバス移動。5月20日から全日本社会人ハンドボール選手権大会が富山県で開催される。初戦の相手、監督デビュー戦は昨年度日本リーグ王者の北國銀行。

いわば人生に一回しかない監督デビュー戦ってやつ 北國銀行戦

結果はご存じのとおり、昨年度王者の北國銀行に敗戦。現在、日本一の相手に「一発やってやろうと」狙っていたが、勝負の世界は甘くないなと。

試合に敗けてめちゃくちゃく悔しいのは当然だが「なかなかにエキサイティングな仕事だな」と「このバイオレットの15名全員で今シーズン闘っていくんだな」と改めて実感しているところだ。

やはり「勝負」の世界に身を置けるのは幸せなことだ。しびれるのう。

代表者会議や、ひとつ前の試合のユニフォームチェックやコイントス、などすべてが新鮮で、新しいハンドボールへの関わり方になっていくんだなと緊張感とわくわく感でいっぱいだった。

昨日の試合会場では、昨シーズンまで対戦していた男子チームのみんながチームを超えて「櫛田監督!!!」って茶化し気味に声をかけてきてくれたり、北陸で相続関係の仕事仲間だった皆さん(勤務先は違うのにも関わらず)が「くっしーの一生に一度しかない監督デビュー戦を応援にいこう!!!」と試合会場まで足を運んでくれたのは本当にいい思い出だ。

予選リーグ第2戦 SONY戦勝利

昨日のソニー戦、選手全員の頑張りで33-23で勝利することができた。

「予選リーグAグループ結果」
バイオレット14(7-15、7-16)31 北國銀行
バイオレット33(17-7、16-16)23 ソニー
Aグループ
1位 北國銀行 
2位 三重バイオレットアイリス
3位 ソニーセミコンダクタ
Bグループ
1位 オムロン
2位 香川銀行T・H
3位 広島メイプルレッズ

決勝トーナメントへ オムロン戦敗退

準決勝の相手はオムロン。初の決勝進出を目指して挑んだ準決勝のオムロン戦。これぞ決勝トーナメントのオムロンという感じだった。試合開始直後のオムロンからの圧力を跳ね返す事ができずに完敗。試合後の選手の落胆振りは激しく、このまま会場を後にするのはまずいなと直感的に思ったことをよく覚えている。(それにしても、この時はオムロンに手も足も出なかった。)

オムロン戦の細かい反省や、悔しい気持ちは一旦置いておいて、気持ちをもう一度現在に戻して、翌日の香川銀行との3.4位決定戦に気持ちを向ける必要があった。

というのも、前年の同大会、バイオレットは予選リーグで敗退し、5.6位決定戦にまわった。その時の対戦相手も香川銀行。この時は気持ちの切替えが上手く出来ずに6位で大会を終えてしまったと聞いていた。

もちろん優勝を目指して戦うが、大会前から「試合に勝とうが負けようが、常に意識を現在に置いて、次の試合に対して、次のプレーに対して最善の準備をしよう。」と選手達に話していた。

オムロン戦を終えて、会場を後にする前にもう一度選手を集めて、こう伝えた。

「明日は単なる順位決定戦ではなく、クラブ史上最高成績の3位を勝ち取る事の出来るチャンスなんやぞ。自分のために、チームのために戦うのはもちろんだけど、応援に来てくれているご父兄、スポンサーさん、職場の皆さん、スタッフ、このクラブに関わってくれているみんなのために明日の試合を戦おう。みんなが勝つ事で喜んでくれる人が大勢いる。しっかりと3位を勝ち取って、そのあとで今回の大会の反省をすればいい、まずは明日もう一度15人全員でしっかりと戦おう。」

今でもこの時のことは、よく覚えている。今振り返ってみても幾つかあるチームの分岐点だったと思う。

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香川銀行戦勝利  クラブ史上初の3位へ

香川銀行戦、予想通り試合開始から一進一退の攻防が続いた。何度かリードを奪われる時間帯もあったが、慌てる事なく前後半を戦い、22-20の2点差で勝つ事ができた。

試合後の細野GMの男泣き、選手たちのうれし涙、応援スタンドのご父兄の涙を見て、何とか3位入賞できてよかったなと心底思った。

3位決定戦の後は、声もカラカラで、頭も上手くまわらない感じだった。

(余談だが、この大会で近藤は殆ど試合に出ることが出来ずに、チームとは別に個人的に非常に悔しい思いをしていた。彼女はこの時の悔しさをバネにその後、劇的な成長を遂げていくのである。今ではチームに欠かすことの出来ない存在になった。)

準々決勝 バイオレット 15(7-17、8-12)29 オムロン
3位決定戦 バイオレット 22(11-10、11-10)20 香川銀行

社会人選手権大会へを終えて選手は一路鈴鹿へ

選手達は大会終了後にバスで一足先に鈴鹿に帰った。帰りのバスでは、今大会の振り返りはもちろん、例の男子日本代表の喫煙問題の記事を読んでもらい、選手それぞれに考えてもらった。(この頃から、バス移動中含めて、何か一つの事を自分なりに考えて、人に話したり、人の話を聞く機会を持つようにしていた。当時はバイオレットカフェとか言っていたなぁ。)

僕は、チームとは別で福井へ。(約1ヶ月単身赴任だったのだ。)

5月30日に6シーズンお世話になった北陸電力ブルーサンダーのOB戦に参加して、翌日31日に福井を後にした。その後は家族を連れて完全に三重県民、鈴鹿市民。それまで今週は福井で引越準備に終わる日々だ。

クラブ史上最高成績への拘りと意味

クラブの内外にこれから「三重バイオレットアイリスは大きく前進していくんだ」というインパクトを残すにはこの大会でクラブ史上最高成績を出しておく事が最低条件だと思っていた。

大会前は優勝を目標にしていたし、上位2チームの北國銀行、オムロンには2試合とも完敗だったので、この成績に満足感は全くないが、選手達、クラブにとっても今回の3位入賞は良い経験になってくるの間違いない。

僕自身にとっても全てが新しい経験、良い経験になった。準備期間の長短に関係なく新しい道で勝負の大会だった。この大会に選手15名の未来と、このクラブの命運が掛かっていると思っていた。

何事も最初のインパクトは大事だし、印象に残すというのは大事だ。自分の指導者としてのキャリアの半分くらいはここで決まる。そのくらい、この大会に心の底から掛けていたことをよく覚えている。

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