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「アート仮装」ワークショップを開催しました

先日、「アート仮装」のワークショップを行いました。
自分自身のこれまでの経験から、「仮装」には「魂を解放する力がある」と信じているのですが、今後これをプログラム化していくためのパイロット版として、今回は仲の良い方にご協力いただいて開催しました。

素晴らしい変身姿がたくさん生まれたワークショップ

変身のテーマは「愉快な銀行強盗」。

時間は4時間。最初の1時間で心をほぐしてお互いの人となりを知り、次の1時間で身につけるピースを制作し、残りの時間で私が持参した布や素材と合わせて着付け。

このテーマの発案者はキリストダンナだったのですが、「誰だかバレないように完全に変身すべし!」と、日常生活では実現できない不謹慎なテーマで、めいっぱい想像の世界で遊んでいただきました。

私からの条件はこの三つ。

・上手に作ろうとしない
・頭で考えず、とにかく手を動かす
・恥ずかしがらず、振り切る!なりきる!

そして出来上がったみなさんの変身姿は、私の予想をはるかに超える素晴らしいものでした。

始まるまでは、「戸惑われて手を動かしてもらえなかったらどうしよう」と少し心配だったのですが、いざ始まってみると、みなさんすごい勢いで作る。作る。全くの杞憂でした。
しかも、私が「そんな風に作る手があったか!」と発見させていただくほど、みなさんの創造力には何度も驚かされました。
(※ページ最下部に変身完成写真があります)

材料は、私がダイソーや東急ハンズの素材コーナーなどで集めてきたもの。
いわゆる手芸用の素材でなく、工業用品などを使うと、これまで見たこともないようなものが作れる上に、「こんなもので装身具を作れるんだ」という発見にもつながります。お風呂場の滑り止めシートや自転車のハンドルグリップ用のスポンジも、とても素敵なパーツに。私がアート仮装でよく使用する「ウレタンフォーム」も使いました。

下段は、それらで私が作り見本として持参した眼鏡や、仮面、ネックスレスなど。下書きもしないで切り抜いてガタガタした形も、なんともいえない良い味になります。

自分の首を締めた固定化した目標

しかし私は、みなさんがこんなにも素晴らしい変身を見せてくださったのにも関わらず、実はワークショップ後、「もっと良いやり方があったのではないか」「単なるお遊びで終わってしまったのではないか」と激しく落ち込みました。

しかし、しばらく考えて冷静になってみると、私は自分で最初に設定した「魂を解放する」という壮大な言葉にとらわれてしまっていたことに気がつきました。

せっかくワークショップに参加していただいたみなさんからは、「本当に楽しかった」「無心になれた」という、私がとても重要だと思う言葉をいただくことができたのに、そこに目をつぶり、不足の部分だけに意識をフォーカスしてしまっていました。

確かにもちろん改善の余地はたくさんありますし、今後色々なやり方で何回か実施してブラッシュアップすることが必要です。

しかし、一番最初の試みとしては大成功だったはずなのに、こんなことを考えては、素晴らしい変身をしてくださったみなさんにむしろとても失礼にあたると、いたく反省をしました。

ワークショップに対する恐れ

実は、ワークショップに対して恐れがあることも、この落ち込みの原因でした。

社会人になって最初の仕事で、中高生をとある施設に連れて行き一週間合宿をしながらワークショップをして最後にプレゼンをさせるという仕事に2年ほど携わったのですが、私には全く生徒の創造性を開かせることが出来なかったという苦い経験があります。

それに対して、フリーダムすぎて仕事では多少難を抱えていた同僚が、その自由な感性でこどもたちの創造力を次々に開花させるのを目の当たりにしました。

そのときの私は、自信が皆無で自己嫌悪にまみれた20代の暗黒時代の真っ只中。「こどもたちは口先だけの言葉じゃなくて、生き様を見てるんだ。今の私には無理だ」ととてもショックを受けたのでした。

そして最近、穴から脱出した現在、ようやく「自分にももう出来る」と思えるようになったのに、無意識にあの時の恐れが顔を出して「やっぱりまだだめだったのか」としまったのでした。

しかしここまできたら、メンタルの問題ではなく経験の問題です。

これを克服するためには、とにかく回数を重ねて、オリジナルのメソッドを試行錯誤して積み上げていくしかありません。

「褒め倒し」実験の驚くほどの効果

ファシリテーターとしてこんなに頼りない私ですが、一つ胸を張れる能力があります。

それは、「その人が本来持つ、輝くような能力やエネルギーが見えること」、そして同時に「それを阻む心のブロックが見えること」

苦しんでいる方のブロックを爆破して、その方が本来進むべきところに行くお手伝いをしたい、私はそう強く思います。

それは具体的には、このような創作活動を通じて働きかけたり、「大丈夫」という言葉をかけることだったり、心に寄り添うことだったり、問題を顕在化して示して乗り越えられることを信じてもらうことだったりしますが、

全ては、ポジティブな方向にベクトルを向け直して、自分の可能性を信じてもらうことなのだと感じています。


そしてこの想いは、私の幼少期からきています。


人を動かそうとして、脅迫的な言葉や暴力的な手段に出れば、心は萎縮するばかりでますます何も出来なくなる。このことを私は身をもって体験してきました。

では、逆のことを徹底的にやったらどうなるのか。

実はこの何年か、キリストダンナや私の周りの何人かの方で、私は密かにこの実験をしてきました。

具体的には、ひたすら褒め倒しひたすら肯定をして受け入れる、というシンプルな方法でしたが、その効果は面白いほどに明らかでした。

(ただし、褒め倒すといっても、その人の可能性をそのまま言葉にしているだけなので、そこに全く嘘はありません)

心のブロックから自由になると、物事がどんどんうまくいって幸せ度が上がり、周囲の人もそれに影響されて幸せになり、私もそこからまたエネルギーをもらえてもっと幸せになる。

そこには、枯渇することのないポジティブスパイラルが発生していました。

以前の上阪徹さんの「綺麗事と言われても」というお話に大変共感したのも、まさにここでした。人の悪いところや足りないところをえぐり出して糾弾するのは、私の仕事ではありません。

私は、その方のポジティブな可能性のベクトルだけに目を向けていたい。

笑うこと。
楽しむこと。
人の目を忘れて無心になること。


もしかしたら、私のワークショップから持ち帰っていただくのは、この感覚だけで十分なのかもしれません。この感情が心のベクトルを本来向けるべき方向に軌道修正してくれる。

実際私が暗い穴から抜け出ることになったのも、このような小さな希望的な感情が積み上がって、解放のための突破口となりました。

「魂を解放する」という壮大な言葉に囚われず、もう一度基本に立ち返ってシンプルに考えてみようと思います。


なにかしらのブロックを抱えた方に向けて

さて、今後は、今回のワークショップをベースに、ターゲットに合わせて規模ややり方を変えてプログラムを組んでいくことにしました。

私のワークショップは、「今現在なんの問題を抱えていない完全に幸せな人」にはあまり必要のないものなのかもしれません。

しかし、昔の私のようながんじがらめになった子供や、なんらかのブロックを心に抱えている大人の方向けにはきっと有効なはず、と信じています。

子供向けの、「綺麗に作るのではなく、本能的な表現を引き出すためのワイワイ楽しい造形教室」なども考えているのですが、

まずは、「なかなか本音を出しづらいエグゼクティブ向けの、マンツーマンの『心の解放のための造形講座』」の開発を、参加していただいた方と早速着手することになったので、私自身もワクワクしながら実験を進めていこうと思います。

このアートディレクターの方には、大いに創造力の拡張をしていただきました。この方の仮装のテーマはなんと「点滴」! まさか銀行強盗のテーマから、「点滴中の患者」を連想されるなんて。
この方を見て、「こんなことやっちゃっていいんだ」とみなさんの発想のガードが一気に外れました。
その結果の、みなさんの仮装をどうぞご覧ください↓

「金を出せ!」

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アート仮装「KESHIN」という試みを以前から行っているのですが、このような目的でやっています。「恥」ということは大きなキーワードでした。


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