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コロナがドラえもんを連れてきた

こんにちは。さわかみ投信の澤上龍です。

先憂後楽とは読んで字のごとく、「将来のために今頑張る」という、まさに長期投資を表すような故事成語です。
今日の楽しさばかりを追いかけていると将来に大変なことが積み上がっていきますが、将来のために今日をちょっと頑張ろうと決めて行動することが大切です。
この「澤上龍の先憂後楽」では、長期投資の思想を軸に、私が日々感じることや考えを書かせていただきます。


*  *  *

「コロナがドラえもんを連れてきた」とは、先日出席したオンライン会議における議長の第一声だ。筆者は「なるほどなぁ」と感心する一方で、「以前からドラえもんは傍らに存在していたよね」と心の中で呟いた。
 このオンライン会議は、企業と大学生が知恵を出し合って社会課題の解決に臨もうという趣旨のもので、前年までは膝を突き合わせて徹底議論していたとのこと。しかし緊急事態宣言下で行われた今年の会は、当然ながらオンライン参加のみとなった。そのキックオフの笛となる大学教授の冒頭挨拶が「コロナがドラえもん~」というわけだ。フィジカルな距離を置かなければならない昨今、すべての参加者が自宅から会議に参加できたのはテクノロジーのおかげだ。そして今もテクノロジーは近未来のニーズを取り込むべく進化している。この会議が例年通り対面型だったら筆者は飛行機に乗る必要があった。しかしオンライン参加となったことで時間も経費も大幅に節約できたのだ。かつて、ホンダの本田宗一郎氏が「人の移動に伴う距離とは、直線的な距離ではなく“費やす時間”に変わる」のようなことを言っていたと記憶しているが、今、それがゼロ距離となったわけだ。まさに「コロナがドラえもんを連れてきた」のである。しかし言い方を変えれば、我々を否応なしにテクノロジーに歩み寄らせたのがコロナという意味では、「我々がコロナによってドラえもんを受け入れるようになった」が正しい表現かもしれない。

変わりゆくものに適応するのが進化

 猫型ロボットが知恵をもって話す。「確かに便利な道具を出してくれるかもしれないが気味が悪いし馴染めない。道具に頼るのではなく、やはり人類は汗を掻き足で稼いでなんぼ」。古い大人たちはそう言ってテクノロジーを敬遠した。これまではそんな懐古主義も通じたのかもしれない。しかし一年前に突如、足で稼げない社会となった。デジタルディバイドが旧石器時代の話となり、今やデジタルトランスフォーメーションが当たり前となったのだ。
 「いつかは戻る。人類はそう簡単に積み上げてきたものを捨てられない」という考えには筆者も同感だ。しかし、かつての状況に完全に戻ることはない。利便性を一度でも享受した人類が、時代に追いつけない大人の昔話に付き合うことはないだろう。

筆者も努力しようと感じた瞬間

 「ZOOMのチャット機能でURLをシェアしますので、そのガイダンスに従って必要書類などをドライブにアップしてください。QRコードの読み取りでも大丈夫です。それとその後はオープンチャットを用いてディスカッションを進めていきますので、LINEにてIDパスを入力して申請してください」
 「URL? オープンチャット? 学生諸君よ、我々が理解できる言葉で話しなさい。君たちは大人への配慮が足りないよ」
オンライン会議の最後、学生たちによって今後の進め方を説明された際の会話だ。どちらがこれからの未来を担うのだろうか、言わずもがなである。

【代表取締役社長 澤上 龍】(2021.1.25記)


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