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お金と人生の豊かさ

こんにちは。さわかみ投信の熊谷幹樹です。

日本や社会の未来に向けた意見や考えを発信しています。
題してコラム「未来飛行」。それでは早速滑走を始めることにしましょう。

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お金の増やし方

唐突ながら、「お金は好きですか?」と聞かれれば「嫌いです」と答える人はそういないだろう。「お金を増やしたいですか?」と問われれば、きっと多くの人が「増やしたい!」と即答するだろう。では、現実的にお金を増やすにはどうしたら良いのだろう? 何を隠そう、お金を増やす方法は実は4つしかないのだ。

― 稼ぎを増やす
― 長く働く
― 支出を減らす
― お金に働いてもらう

この最後の「お金に働いてもらう」は、まさにさわかみ投信が実践している場所だ。お金を企業に投資し、お金に働いてもらっている。

お金に働いてもらうにも、そもそもお金が必要だ。単純な事実だが、お金がなければお金を投資することはできない。またもう一つの真実として、1万円を投資して、仮に10倍になっても10万円、一方で1000万円を投資して、10倍になれば1億円だ。前者は9万円の儲け。後者は9000万円の儲け。

結局、財産の大きさは投じる額に比例する。そうなのだ。繰り返すが、お金に働いてもらうにも、やはりお金が必要であり、そのためにも「稼ぎを増やす」、「長く働く」、「支出を減らす」を無視していたら、結果お金は働けないということだ。一つずつ考えてみよう。

稼ぎを増やす

全ての出発点はここにある。世の中に価値を生みだせる力がある限りそこに収入はついてくる。当たり前の理屈ではあるが、実際は簡単ではない。それを実現するには常に努力と進化が必要だ。

今の仕事は将来も存在できるだろうか? AIによって代替されてしまわないだろうか? ここには都合のよい解答はない。日々の努力と創意工夫、その継続によって、世の中に必要とされる人間であり続ける以外に解はない。これは世界中すべての人に当てはまる公平な事実だ。

長く働く

人生100年時代。何歳になっても健康を維持し働ける身体と働く情熱があれば、その分だけ収入としてやってくるだろう。健康に加え、アイデアと行動力があれば何歳になっても働き続けることは不可能ではない。

「年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。歳月は皮膚のしわを増すが情熱を失う時に精神はしぼむ」。詩人のサミュエル・ウルマンはこう詠う。長く生きられるこれからの時代、健康と情熱こそがより多くの可能性を人生にもたらすだろう。

支出を減らす

お金を増やす上で、収入や投資リターンばかりに目が行きがちだが、この支出を減らすという部分が実は極めて重要な要素になる。なぜならば、収入の増加は簡単にはコントロールできないが、支出は直ぐにコントロールできるからだ。

例えば意味のない飲み会の数を減らす。「何となくコンビニ」をやめる。忘れかけたサブスクをやめる。幸いなことに、これらは今この瞬間にあなたの意思によって実現できてしまうのがすごいところなのだ。ちなみに支出の見直しで生まれた毎月3万円をさかわみファンドの積立サービスの開始より今日まで(※2)投資していたならば、結果的に約2,043万円となる。
※2:1999年11月~2023年11月

長期投資とは人生そのものである

結局のところ、お金を増やすことにおいて「おいしい話」など存在しない。変化する時代の中でも必要とされ続けるための努力、希望と情熱を絶やさずいつまでも働き続けられる身体づくり、そして無駄を省き常に整理整頓を心がけていくこと。それは結果として、お金に働いてもらうだけの種銭を生み、財産づくりに寄与することだろう。

その上で私は思う。これらの過程の中で生まれる挑戦や体験こそが、人生の豊かさなのではないかと。その意味で、私たちが実践する長期投資とは、人生そのものであるように思う。

2024年。新NISAが叫ばれる中、いかに財産をつくっていくのかに視線を奪われがちだが、自分の人生にとって豊かさとは何か? そのためにはこれからどう人生を歩んでいこうか? それらを考え、哲学してみる。そんな一年の始まりにしてみようではありませんか。

取締役 戦略室長 熊谷 幹樹
【初出:2024年1月15日】