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入院とラーメン

病棟では随分若い患者だと自分を思っていた。

2週間の入院予定。

2日目に胃を切って、10日もすれば退院だ。

相部屋に先輩が一人、カーテンの壁でお互い喋らない。

看護師さんやお医者さん達が入室するとその人々との会話は聞こえる。

隣人たちとは廊下で会ったり、カーテンの隙間から目が合ってしまったときなどに

会釈する。

私より2、3日かあとに入院してきた同室のおじさんは数日前に退院していった。廊下で会うと会釈をし合った程度で、私達の間に会話はなかった。ただ単純に自分より先に退院されるのが嫌なのだ。悔しいというか、侘しいというか。

私の入院よりも1週間遅く入ってきたおじさんは私より元気そうには見えないが、昨日退院となった。

あと何日かで退院となったある日、私は腹からストローが出ていて体内の膿をそこから少しづつ出していた、そして高熱が夜に出るようになっていた。

Dr.から、もう一週間様子を見ましょうと退院が延期になった。

一人で病室に歩いて帰る時、妻の側にいれない寂しさ、身重の妻を手伝えない悔しさで、病室で静かに少しの間視界がぼやけた。

同室者に気づかれたくもなかった。

あと少しで退院できるし、別に死ぬわけでもないのに、
これからはラーメンを一杯食べることもできない

スガキヤのミニラーメンなら食べられると
気づいた。

胃にはかん水が消化に悪いみたいなので当分お預けですが。

病院の近くに歩いていけるスーパーがあって、そこにスガキヤがあった。

まあ、それだけのこと。


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