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zine を作りました


初めて zine を作りました。

いつの頃からかずっと作ってみたいと思っていたのですが、内容やデザインなど具体的に考えられないまま数年が経ち、2019年が終わろうとしている今、色々な方から力をいただいて、初めて形にすることができたものです。

書きたいことは色々あったのだけれど、今のわたしが、ずっと両手に抱え続けてきたものに言葉をのせて、目の前に並べてみる、ということをしてからでないと、その次にはいけないということに気づきました。だから今回の作品は、わたしがずっと自分の手の中に抱えてきたものについてです。なかったことにしたり、人と比べて大したことがないからと、どこかに追いやったりできなくて、ずっと同じものを抱えてきましたが、それで両手がふさがってしまっていることに気づきました。

抱えてきたものを静かに自分の脇に置いて歩き続ける、ということもできたと思います。そうやって生きてきたことももちろんあるし、全ての出来事をいつも言葉にしてきたわけではない。でも、今回はあえてそれを言葉にしたいと思ったのです。それは、だれしもがそんなふうに、ずっと手の中に抱えていて、それがなぜなのかもわからなくて、でもただ抱え続けて生きているということがある気がしたから。人の数だけ、人生があるように。なぜそうなのかはわからないけれど、それはそれで意味があるのかもしれないと思ったのです。そのずっと抱えてきたものを、わたしは「燈 ともしび」と呼ぶことにしました。誰の心にも、小さな燈があると思ったのです。

zineの裏表紙にはこんなことを書きました。


デンマークに来る前、来て数年後、そしてその後の日常で、自分がだれなのかということがだんだんとぼんやりしてくるのですが、そんな日常の中で感じるあらゆる思いについて書きとめてきたもの。わたしの燈のかたちです。


zineというのは不思議な力があると、今回初めて作ってみて感じることができました。それは、誰かに認められるためのものでも、求められて書くものでもなく、売れなくてはいけないものでもない。自由に、ただ自分が心から表現したいものを表現する場なのだということ。わたしは自分が両手に抱え続けてきたものを言葉で表現しましたが、写真やイラストなど、表現方法は多様です。zineでなければ、音楽だって演劇だって良いのだろうと思います。自分が好きなように表現できるということのもつ力はすごいと感じました。

そしてもうひとつわかったことは、zineは人とつながるためのものでもあるということ。これを作る作業ですら、ひとりではなかったということです。作品をともに作ってくださった方の存在は、わたしにとってとても大きなものでした。

まず、イラストレーターさんにすてきなイラストを描いていただきました。つきぞえなおさんです。つきぞえさんの作品は、インスタグラムで初めて見た時から、描かれている女の子や女性の表情、しぐさ、そして作品全体の持つ雰囲気がとてもすてきで、いつか描いていただけたらと思っていました。このzineでは、表紙の絵(上の写真)と、本文中に2つ描いていただいています。つきぞえさんとはやりとりをする中で、いくつか好きな本や作家さんが重なっていたことも嬉しい驚きでした。

そしてワイナー祐子さん。祐子さんのzine、´garden 庭´ vol. 1, 2 に参加させていただいて、vol.2では作品が出来上がっていく過程にも少し関わらせていただきました。大切な作品を形にしていくということの楽しさ、すばらしさを教えてもらえたことは、わたしにとってとても大きな原動力になりました。祐子さんには、つきぞえさんのすばらしいイラストを、本文中、表紙に載せるための大切な作業をしていただきました。

さらにさらに、わたしがzineを作ろうと思うきっかけをくださった、zineをお分けくださったみなさん(そうです、あなたです)。いつかわたしも作りますのでっ!という言葉に対し、快くご自身の作品を届けてくださった方々とその作品は、わたしが自分の作品を作る上でどれだけ温かく大きなエネルギ-になったことでしょう!いま、そのお返しができることがとても嬉しいです。


デンマークのこの暗い時期に、そしてクリスマスがずっと苦手なわたしにとってなかなか辛いこの季節に、zineを作る時間は、小さくとも強くて温かな力を感じながら過ごすことができた時間でした。この作品を通じて、日本の、または世界のどこかに暮らすだれかの心の燈と、つながることができたら、とても嬉しいと思っています。


zineは文庫サイズで約100頁です。
本文中はモノクロの挿絵が2つ、それ以外はすべて文章です。「当事者であること」以外、ネット上で公開したものはありません。

もし読んでみたいという方がいらっしゃったら、
sawaguricph (at) gmail.com までご連絡ください。

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zine購入について追記です。
ありがたいことに、今回刷った分のうち、手元にある分は飛び立っていきました。今、東京の谷中にある、ひるねこBOOKSさんに少し置かせていただくことになりましたので、ひるねこBOOKSさんまで。なお、販売は店頭のみで通販はないとのことです。

もし東京近郊以外にお住いで、ご希望の方が増えた場合は、年内にまた刷りたいと思っていますので、ご興味があればご連絡くださいませ。


最後に♪
今回のこのzineは、noteでよくわたしが書いている、デンマークの情報等を扱ったものではありません。読んでも、まったく何の知識も得られませんのでお気をつけください~!

さわひろあや

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