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「夏」を思うだけで、笑顔があふれる

"Kender du sommer?" af Ditte Lundsgaard Nielsen, Turbine, 2015, Denmark 「夏って知ってる?」ディテ・ルンスゴー・ニールセン作・絵.  絵本 デンマーク

あなぐまのエリックときつねのトーマスが車の中で話をしている。窓の外は雨もよう。トーマスがエリックに話しかける。

「夏って、知ってる?」

そこで二人の場面は夏一色に。

たき火でパンを焼いたり、テントを張って庭で一晩過ごしたり、はだかで草の上に寝ころび、アイスを食べたり、水遊びをしたり。いちごをかごいっぱい摘んで食べたり、魚を釣ってバーベキューで焼いたり。

「きっとさ」

と、きつねのトーマスはあなぐまのエリックにささやく。

エリックは、トーマスのかおを見つめる。

「きっと、夏はもう、すぐそこだよ。」

「うん。きっとそうだね。」

と、エリックは答える。

ふたりはほほ笑んで、雨の中、車を走らせていく。最後のイラストで、雨は小降りになり、空が明るくなっていた。


あぁ、夏!夏!夏!デンマーク(だけでなくきっと他の北欧もそうだと思うけれど)は、夏が来ると、全てが200%美しくなる季節だと思う。人々は薄着で嬉しそうに外へ飛び出し、アイスを片手に楽しそうにしている子どもや大人がいっぱい。夕方になると、バーベキューの良い匂いがあちこちからただよい、楽しそうな笑い声が庭先から聞こえてくる。休みの日には、いちご畑でキロ単位のいちごを摘んだり、グリーンピースを生で食べたり!午後10時でもまだ日が落ちないので、夕食の後も、庭先では小鳥がさえずり、ツバメの子どもが飛び交う。こんなに美しい景色を目の前に、もうずっとこのままでいてほしいと心から願ってしまう、全てが完璧な季節。夏のおとずれを思うと、ただそれだけで、大人も子どもも顔がほころぶ。そんな、短くて美しい季節への思いを描いた作品。

作者はイラストレーターで、インスタグラムにもたくさん素敵な写真があるので、興味がある方はぜひ。絵本の中にはない、エリックとトーマスのイラストや切り絵などもあって、にんまりしながらみてしまいます。

Ditte Lundsgaard Nielsen



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