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デンマークの男性、男女平等でトップ?

"Metroxpress" 2018年4月13日の記事より。

家事などの無報酬労働に、成人男性がどれだけの時間を費やしているかというOECDの国際比較調査によると、デンマークの男性が最も多い週3時間6分という結果。そして最も少ないのが日本の男性で、週40分。

この記事のデンマーク語タイトルはずばり「デンマークの男性、無報酬労働時間が最多」"Danske mænd laver mest ubetalt arbejde"(ネット記事とはタイトルが異なる)。写真にある、調査結果上テキストには「男女平等(ランキング)トップと最下位」とあり、デンマークがトップという記述。ちなみに無報酬労働には、家事、買物、子どもの世話に加えてボランティアに参加する時間も含まれている(サービス残業ではない!)。

ロスキレ大学の男性学研究者、ケネス・レイニケ氏によると、デンマークの男性は、仕事に集中して家庭生活をおろそかにしていると、夫婦仲に亀裂が生じるということを、多くの男性が気づき始めたからだという。

この調査結果だけを見ると、「ほう、デンマークの男性は家事育児に毎日3時間も費やすのか。さすが男女平等が進んでるな」と一般的な「デンマークは男女平等」というイメージを再確認するエピソードとなるかもしれない。しかし、レイニケ氏のコメントは鋭い。OECDの調査結果はすばらしいけれど、この調査結果は、家事やボランティア等具体的に、何にどれだけの時間を費やしているのかが明らかでない以上、デンマーク男性を褒めすぎないようにしなければいけないという。そして「もし、本当にデンマーク男性が男女平等に意識を向け、家事・育児により多くの時間を割くようになったと結論づけるためには、買物、食事作り、選択、子育てにどれだけの時間を割いているかという調査をしなければいけないはず」という。なかなか鋭い。

確かにボランティア労働には、子どもサッカーチームのコーチなども含まれている。私の息子も最近サッカーに参加するようになったが、父親たちが平日の午後や毎週末、交代でコーチをしている。そしてこの時間も「無報酬労働」である。これは必ずしも家事と同じではないといえば確かにそうだ。

また、オルボー大学の男女平等研究者、アンドーテ・クリステンセン氏によると、この傾向は特に収入的には中間層、または高学歴の男性に多いのだという。このグループの男性たちは教育等を通じて、男女平等が徹底したグループでもあるが、同時にフレックスタイム制など、労働環境的にも自由が利くためだ。世代だけでなく、教育レベルや労働環境なども、この結果に影響しているという指摘も納得できる。

ということで、実際にデンマークの男性が、家事や育児に限定した、日常生活上での男女平等に関してトップなのかどうかは不明。学校の保護者会やサッカーチームのコーチをしているのなら、それは大きく見れば育児に関わっていると言えると思うけれど、この「無報酬労働」の詳細が気になるところ。最後に個人的な感想を付け加えると、同僚の女性たち(50~60代)からも、昔よりずっと夫が家事をしてくれるようになった、楽な時代になったという話を聞くし、また子どもの学校行事や習い事関係に父親が参加することも非常に多いので、実際に家事や育児に多くの時間を費やしている男性は多いと思う。


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