澤田 清佳

おやつの時間が好きです/切手と文具を作っています/切手のお店(https://hako…

澤田 清佳

おやつの時間が好きです/切手と文具を作っています/切手のお店(https://hakobunefumi.base.shop

マガジン

  • 菓子四季録

    • 23本

    菓子四季録は、菓子研究家とグラフィックデザイナーのふたりが毎月ひとつ、季節の素材を使ったお菓子のレシピを紹介する連載です。 ひとつのお菓子の魅力を、ふたりそれぞれの視点から綴ります。お菓子のこと、四季のこと。綴った記録をどうぞご賞味ください。

最近の記事

  • 固定された記事

綺麗な小石を見つけました(比喩です)というnoteを書きたいと気づいた話

先日、はじめてのnoteを投稿した。投稿を自分なりに振り返ったので記録しておくことにした。 はじめての投稿はかっこつけた文章だった。一所懸命に形を整えた文章。ぐわぁぁ…(眼を覆う)という気持ちになった。まだまだまだまだいくらでも反省はあるけど今回書きたいのは反省文ではないので割愛。 文章を書くということ、とても難しかった。次は、形だけを整えるんじゃなくて、相手のいる文章を書きたいと思った。その相手は自分でもいいし、自分じゃなくてもいい。 そして今日、自分のなかでしっくり

    • 春の空気みたいに軽やかな苺のお菓子 〈菓子四季録 vol.11〉

      可愛くて、軽やかで、春にぴったり。そんなお菓子のこと。 今月の菓子四季録でレシピをご紹介するのは「苺とミルキークリームのブッセ」。ブッセというお菓子は、丸い形のビスキュイ生地でクリームやジャムなどをサンドしたお菓子だ。洋風のどら焼きだと想像していただくと見た目がわかりやすいと思う。 フランス菓子のように見えるブッセだが、発祥地はフランスではなく日本ということなので(生み出したお店や菓子職人の公式な記録には辿り着けなかった)、洋菓子ではなく和菓子に分類されることもあるらしい

      • きらきら光るガラスみたいなマリネを添えたババロア 〈菓子四季録 vol.10〉

        9種の柑橘でデザートを作ったらグラデーションが美しすぎて、小学2年生の頃の記憶まで蘇ってしまった。「色」に興味を持つことになった原体験の記憶。そんな美しいデザートのことを綴りたい。 3月の菓子四季録のメニューは柑橘のマリネとババロアにしよう、と本マガジンのレシピ担当である淳子先生が言った時、わたしはこの季節の柑橘たちに対して特別な印象は抱いておらず、頭に思い浮かぶのは「みかんの仲間がたくさんいる季節だなぁ」という漠然としたイメージだった。でも、春の気配がしつつもまだ少し肌寒

        • 手紙を書くこと、大切な人を想うこと

          あなたにとって、手紙とはどんなものですか? こんな質問をもらって、すぐには言葉にならずしばらく経っていたけれど、ようやく言語化ができてきた。 わたしにとって、手紙を書くことは「大切な人を想うこと」だ。 手紙を書くとき、考えることがたくさんある。そして、時間もかかる。 どんなことを伝えたいか。どんな言葉を選ぶか。どんな風に始めるか。 どんな便箋に書こうか。どんな封筒で送ろうか。どんな切手を貼ろうか。 ペンの色は何色がいいかな。あの人にはこの色が似合うかも。 細いペンで

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        • 菓子四季録
          23本

        記事

          SAVEURのケーキみたいになりたい

          去年の春、以前から気になっていたSAVEUR(サヴール)さんのバタークリームケーキ「ガトー・ア・ラ・クレーム」を食べた。 軽いけど濃厚で、ぱくぱく食べられちゃうけど満足感があって、飾り気ないけど一度見たら忘れない存在感を持っている。 多面性のような、静かな奥行きのような、人として目指したい魅力のあるケーキだった。こんな人になりたいと思った。 SAVEUR(サヴール) 東京都大田区田園調布2-51-1 最寄駅:田園調布駅

          SAVEURのケーキみたいになりたい

          ディズニーランドを思い出す柚子のスフレ 〈菓子四季録 vol.9〉

          スフレを食べて、ディズニーランドの”あれ”を思い出す。意外な共通点。 noteでの連載「菓子四季録」では、毎月ひとつ、季節の素材を使ったレシピを紹介している。今回紹介する「柚子のスフレ」は、スフレというお菓子をゆずでアレンジしたメニューである。 今回の記事を書くためにスフレを食べながら、わたしは「スフレと似ているもの」を見つけてしまった。それはディズニーランドに存在する、あるコンテンツ。答えをお伝えする前にスフレを食べる時の流れを実況するので、似ているものを推理してみてい

          ディズニーランドを思い出す柚子のスフレ 〈菓子四季録 vol.9〉

          大人になったから楽しみ方がわかったフルーツケーキ 〈菓子四季録 vol.8〉

          フルーツケーキ、お好きですか? わたしは苦手で、でも好きになりました。それはフルーツケーキの楽しみ方を知ったから。そんなお話。 noteでの連載「菓子四季録」では、毎月ひとつ、季節の素材を使ったレシピを紹介している。今回紹介する「ラム酒漬けフルーツのクグロフケーキ」は、簡単にいえばクグロフ型で焼いたフルーツケーキだ。クグロフ型、という言葉を初めて耳にする方に形状を説明をすると、ドーナツ型やシフォンケーキ型のように中央に穴が空いており、焼き上がりの背の高さでもある深さは比較的

          大人になったから楽しみ方がわかったフルーツケーキ 〈菓子四季録 vol.8〉

          菓子四季録について

          菓子四季録 菓子四季録は、菓子研究家とグラフィックデザイナーのふたりが毎月ひとつ、季節の素材を使ったお菓子のレシピを紹介する連載です。レシピ記事でありフードエッセイでもあり、ひとつのお菓子の魅力を、ふたりそれぞれの視点から綴ります。 ひとつのお菓子に対して、記事がふたつ存在します。片方だけでも完結するようになっていますが、両方の記事を読んでいただくと、より深く味わっていただけると思います。ふたりとも同じお菓子を食べているはずなのに、そこにはまったく違う世界が現れます。どう

          菓子四季録について

          優雅にソファに座る洋梨のケーキ 〈菓子四季録 vol.7〉

          「境界線」と「品格」。これが今回のケーキを食べて、わたしの頭に浮かんだキーワードだ。 (1)境界線について 今回レシピを紹介する「洋梨のアーモンドケーキ」は、アーモンドパウダーとココアが入ったしっとりタイプのバターケーキ生地に、カットした洋梨を焼き込んだお菓子だ。 この洋梨のケーキに、クリームソーダとの思いがけない共通点を見つけた。それが「境界線」だ。そして第三の食感。食材と食材の間の境界線に、特別な食感が生まれている。 クリームソーダのアイスクリームがグラスの水面に

          優雅にソファに座る洋梨のケーキ 〈菓子四季録 vol.7〉

          日記とは記憶の引き出しの取っ手

          「人の記憶って、実は脳にたくさんしまわれているけれど、記憶の引き出しに取っ手がないと思い出すことができないの」 そう言って5年日記をおすすめしてくれた人がいる。 だから、この秋、初めて連用日記を始めてみた。 5年日記はハードルが高いので、まずは3年日記からスタート。 このnoteを書きながら、数ヶ月前のページをぱらぱらめくってみた。 素敵な本に出会ったこと。誰かの何気ない一言。虹色のうろこ雲を見たこと。ちょっとしたことたちが、嬉しかった。日記は、未来の自分のために書いて

          日記とは記憶の引き出しの取っ手

          メイクの魔法にかけられたかぼちゃのお菓子 〈菓子四季録 vol.6〉

          メイクアップ、つまりお化粧。メイクの魔法にかかったかぼちゃを食べたことがありますか。 かぼちゃという食べもの。それは「甘い」「ほくほく」という言葉だったり「まったり」「まろやか」という言葉だったり、時に「もったり」「のっぺり」という言葉で語られる食べもの。そのほとんどが「素朴」寄りのイメージで、かぼちゃに「スタイリッシュ」「おしゃれ」という言葉を使うことはあまりないように思う。 そんな素朴なかぼちゃは、メイクをすると別人に変わる。がらりと変わる。 今月レシピを紹介するお

          メイクの魔法にかけられたかぼちゃのお菓子 〈菓子四季録 vol.6〉

          夜明け前の空の色をした無花果のゼリー 〈菓子四季録 vol.5〉

          そのお菓子は、色に見惚れてしまうお菓子だった。 料理でもお菓子でも、野菜でも果物でも、食べ物の見た目を愛でるのは楽しいことだ。今回紹介するお菓子「無花果と白ワインのゼリー」も、味覚だけでなく、視覚でも楽める一品だった。「色」がとにかく美しい。 初めてこのメニューを食べる前、いちじくと白ワインを使ったゼリーだという情報を聞いていた私は、皮を剥いたいちじくのゼリーなので色は無色透明に近いのかな、もしくは、白ワインのようなほんのり薄く緑がかった色なのかな?と想像していた(菓子四

          夜明け前の空の色をした無花果のゼリー 〈菓子四季録 vol.5〉

          お菓子づくりにおける材料の省略と桃のデザート 〈菓子四季録 vol.4〉

          お菓子づくりにおける「材料の調達」というハードル お菓子づくりのハードルを上げている理由のひとつに「材料の調達」という要素があると思っている。お菓子づくりでは、普段使わないような食材を使用することが少なくない。料理においても材料調達という工程は発生するが、お菓子の材料と比べると、余ったときに別のメニューでの消費が可能な食材が多いように感じる。 今回紹介するお菓子「桃とリコッタチーズのデザートプレート」に使用する材料は、桃、リコッタチーズ、レモン汁、レモンの皮のすりおろし、

          お菓子づくりにおける材料の省略と桃のデザート 〈菓子四季録 vol.4〉

          晴れた日の葉脈 採集

          葉脈が美しかった日。備忘録。 晴れた日の葉脈 採集、おしまい。

          晴れた日の葉脈 採集

          サルスベリの花を見て、一瞬、考え事から離れられた。 落ち着かないときこそ、気持ちが緩む一瞬を大切にしたい。内側に目が向きがちなときは、時折、外側の出来事に目を向けたい。

          サルスベリの花を見て、一瞬、考え事から離れられた。 落ち着かないときこそ、気持ちが緩む一瞬を大切にしたい。内側に目が向きがちなときは、時折、外側の出来事に目を向けたい。

          メレンゲにときめいてしまうキウイのお菓子 〈菓子四季録 vol.3〉

          メレンゲに、不意にときめいてしまった。そんな話をさせてほしい。 好きなお菓子は?と聞かれたら、多すぎるので悩んでしまう。でも、いまハマっているお菓子は?と聞かれたら、間違いなく即、「パブロヴァ」と答える(正確にいうとパブロヴァに登場するメレンゲなのだが)。ハマっているというか「推し」に近い気持ち。応援したい、もっと魅力を広めたい!というような。 そう思うきっかけをくれたのが、この記事で紹介するキウイとヨーグルトクリームのパブロヴァだ。パブロヴァとは焼いたメレンゲの上に泡立

          メレンゲにときめいてしまうキウイのお菓子 〈菓子四季録 vol.3〉