澤田 清佳

おやつの時間が好きです/切手と文具を作っています/切手のお店(https://hako…

澤田 清佳

おやつの時間が好きです/切手と文具を作っています/切手のお店(https://hakobunefumi.base.shop

マガジン

  • 菓子四季録

    • 23本

    菓子四季録は、菓子研究家とグラフィックデザイナーのふたりが毎月ひとつ、季節の素材を使ったお菓子のレシピを紹介する連載です。 ひとつのお菓子の魅力を、ふたりそれぞれの視点から綴ります。お菓子のこと、四季のこと。綴った記録をどうぞご賞味ください。

記事一覧

固定された記事

綺麗な小石を見つけました(比喩です)というnoteを書きたいと気づいた話

先日、はじめてのnoteを投稿した。投稿を自分なりに振り返ったので記録しておくことにした。 はじめての投稿はかっこつけた文章だった。一所懸命に形を整えた文章。ぐわぁ…

澤田 清佳
1年前
37

混雑 | 短歌

はじめての文学フリマ。 人の多さに圧倒されました。 あと空間の熱気にも。 - - - にんげんがたくさんいるね、 にんげんの私がにんげんの君に言う

澤田 清佳
2日前
7

そらまめ | 短歌

初夏。 母が送ってくれたそらまめを茹でた。 ぷくうっと膨らむ緑の豆たち。 台所で、鍋の中だけが別世界に見えた。 - - - そらまめは鍋の宇宙に茹でられて 破裂しそうな…

澤田 清佳
5日前
14

すずらんの風景印、旅するポストカード

そのポストカードを見つけたのは、連休明けの曇りと雨の火曜日、外出から帰宅した夕方のことだった。ポストカードはゆうパックの不在票と一緒に、郵便受けのなかで静かにわ…

澤田 清佳
12日前
12

ロイヤルホストで昼食を

わくわくしながらロイヤルホストに行ってきた。 記憶が熱々なうちに記しておきたい。 ロイヤルホストに行く理由 そもそも今回、なぜロイヤルホストに行ったかというと、…

澤田 清佳
2週間前
33

春の空気みたいに軽やかな苺のお菓子 〈菓子四季録 vol.11〉

可愛くて、軽やかで、春にぴったり。そんなお菓子のこと。 今月の菓子四季録でレシピをご紹介するのは「苺とミルキークリームのブッセ」。ブッセというお菓子は、丸い形の…

澤田 清佳
3週間前
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きらきら光るガラスみたいなマリネを添えたババロア 〈菓子四季録 vol.10〉

9種の柑橘でデザートを作ったらグラデーションが美しすぎて、小学2年生の頃の記憶まで蘇ってしまった。「色」に興味を持つことになった原体験の記憶。そんな美しいデザー…

澤田 清佳
1か月前
26

手紙を書くこと、大切な人を想うこと

あなたにとって、手紙とはどんなものですか? こんな質問をもらって、すぐには言葉にならずしばらく経っていたけれど、ようやく言語化ができてきた。 わたしにとって、手…

澤田 清佳
2か月前
4

SAVEURのケーキみたいになりたい

去年の春、以前から気になっていたSAVEUR(サヴール)さんのバタークリームケーキ「ガトー・ア・ラ・クレーム」を食べた。 軽いけど濃厚で、ぱくぱく食べられちゃうけど満…

澤田 清佳
3か月前
12

ディズニーランドを思い出す柚子のスフレ 〈菓子四季録 vol.9〉

スフレを食べて、ディズニーランドの”あれ”を思い出す。意外な共通点。 noteでの連載「菓子四季録」では、毎月ひとつ、季節の素材を使ったレシピを紹介している。今回紹…

澤田 清佳
3か月前
11

大人になったから楽しみ方がわかったフルーツケーキ 〈菓子四季録 vol.8〉

フルーツケーキ、お好きですか? わたしは苦手で、でも好きになりました。それはフルーツケーキの楽しみ方を知ったから。そんなお話。 noteでの連載「菓子四季録」では、…

澤田 清佳
5か月前
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菓子四季録について

菓子四季録 菓子四季録は、菓子研究家とグラフィックデザイナーのふたりが毎月ひとつ、季節の素材を使ったお菓子のレシピを紹介する連載です。レシピ記事でありフードエッ…

澤田 清佳
5か月前
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優雅にソファに座る洋梨のケーキ 〈菓子四季録 vol.7〉

「境界線」と「品格」。これが今回のケーキを食べて、わたしの頭に浮かんだキーワードだ。 (1)境界線について 今回レシピを紹介する「洋梨のアーモンドケーキ」は、ア…

澤田 清佳
5か月前
10

日記とは記憶の引き出しの取っ手

「人の記憶って、実は脳にたくさんしまわれているけれど、記憶の引き出しに取っ手がないと思い出すことができないの」 そう言って5年日記をおすすめしてくれた人がいる。…

澤田 清佳
6か月前
13

メイクの魔法にかけられたかぼちゃのお菓子 〈菓子四季録 vol.6〉

メイクアップ、つまりお化粧。メイクの魔法にかかったかぼちゃを食べたことがありますか。 かぼちゃという食べもの。それは「甘い」「ほくほく」という言葉だったり「まっ…

澤田 清佳
7か月前
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夜明け前の空の色をした無花果のゼリー 〈菓子四季録 vol.5〉

そのお菓子は、色に見惚れてしまうお菓子だった。 料理でもお菓子でも、野菜でも果物でも、食べ物の見た目を愛でるのは楽しいことだ。今回紹介するお菓子「無花果と白ワイ…

澤田 清佳
7か月前
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固定された記事

綺麗な小石を見つけました(比喩です)というnoteを書きたいと気づいた話

先日、はじめてのnoteを投稿した。投稿を自分なりに振り返ったので記録しておくことにした。 はじめての投稿はかっこつけた文章だった。一所懸命に形を整えた文章。ぐわぁぁ…(眼を覆う)という気持ちになった。まだまだまだまだいくらでも反省はあるけど今回書きたいのは反省文ではないので割愛。 文章を書くということ、とても難しかった。次は、形だけを整えるんじゃなくて、相手のいる文章を書きたいと思った。その相手は自分でもいいし、自分じゃなくてもいい。 そして今日、自分のなかでしっくり

混雑 | 短歌

はじめての文学フリマ。 人の多さに圧倒されました。 あと空間の熱気にも。 - - - にんげんがたくさんいるね、 にんげんの私がにんげんの君に言う

そらまめ | 短歌

初夏。 母が送ってくれたそらまめを茹でた。 ぷくうっと膨らむ緑の豆たち。 台所で、鍋の中だけが別世界に見えた。 - - - そらまめは鍋の宇宙に茹でられて 破裂しそうな惑星の群れ

すずらんの風景印、旅するポストカード

そのポストカードを見つけたのは、連休明けの曇りと雨の火曜日、外出から帰宅した夕方のことだった。ポストカードはゆうパックの不在票と一緒に、郵便受けのなかで静かにわたしを待っていた。差出人に心当たりはある。 そっと取り出して目にしたとき、思わず、わぁと呟いた。すずらんのポストカードにすずらんの切手が貼られ、すずらんが描かれた〈鈴蘭郵便局〉の風景印が押されている! さらに驚いたのは、消印の日付だった。令和6年5月1日。5月1日はフランスで「すずらんの日」と呼ばれ、お世話になって

ロイヤルホストで昼食を

わくわくしながらロイヤルホストに行ってきた。 記憶が熱々なうちに記しておきたい。 ロイヤルホストに行く理由 そもそも今回、なぜロイヤルホストに行ったかというと、あるポッドキャストの影響だった。わたしの好きなポッドキャスト番組『味な副音声』のなかに、パーソナリティの平野紗季子さん(フードエッセイスト/フードディレクター)とゲストのイナダシュンスケさん(料理人/飲食店プロデューサー)が、ロイヤルホスト愛を語り合うという回がある。詳細はぜひ番組を聴いていただきたいが簡単にまとめ

春の空気みたいに軽やかな苺のお菓子 〈菓子四季録 vol.11〉

可愛くて、軽やかで、春にぴったり。そんなお菓子のこと。 今月の菓子四季録でレシピをご紹介するのは「苺とミルキークリームのブッセ」。ブッセというお菓子は、丸い形のビスキュイ生地でクリームやジャムなどをサンドしたお菓子だ。洋風のどら焼きだと想像していただくと見た目がわかりやすいと思う。 フランス菓子のように見えるブッセだが、発祥地はフランスではなく日本ということなので(生み出したお店や菓子職人の公式な記録には辿り着けなかった)、洋菓子ではなく和菓子に分類されることもあるらしい

きらきら光るガラスみたいなマリネを添えたババロア 〈菓子四季録 vol.10〉

9種の柑橘でデザートを作ったらグラデーションが美しすぎて、小学2年生の頃の記憶まで蘇ってしまった。「色」に興味を持つことになった原体験の記憶。そんな美しいデザートのことを綴りたい。 3月の菓子四季録のメニューは柑橘のマリネとババロアにしよう、と本マガジンのレシピ担当である淳子先生が言った時、わたしはこの季節の柑橘たちに対して特別な印象は抱いておらず、頭に思い浮かぶのは「みかんの仲間がたくさんいる季節だなぁ」という漠然としたイメージだった。でも、春の気配がしつつもまだ少し肌寒

手紙を書くこと、大切な人を想うこと

あなたにとって、手紙とはどんなものですか? こんな質問をもらって、すぐには言葉にならずしばらく経っていたけれど、ようやく言語化ができてきた。 わたしにとって、手紙を書くことは「大切な人を想うこと」だ。 手紙を書くとき、考えることがたくさんある。そして、時間もかかる。 どんなことを伝えたいか。どんな言葉を選ぶか。どんな風に始めるか。 どんな便箋に書こうか。どんな封筒で送ろうか。どんな切手を貼ろうか。 ペンの色は何色がいいかな。あの人にはこの色が似合うかも。 細いペンで

SAVEURのケーキみたいになりたい

去年の春、以前から気になっていたSAVEUR(サヴール)さんのバタークリームケーキ「ガトー・ア・ラ・クレーム」を食べた。 軽いけど濃厚で、ぱくぱく食べられちゃうけど満足感があって、飾り気ないけど一度見たら忘れない存在感を持っている。 多面性のような、静かな奥行きのような、人として目指したい魅力のあるケーキだった。こんな人になりたいと思った。 SAVEUR(サヴール) 東京都大田区田園調布2-51-1 最寄駅:田園調布駅

ディズニーランドを思い出す柚子のスフレ 〈菓子四季録 vol.9〉

スフレを食べて、ディズニーランドの”あれ”を思い出す。意外な共通点。 noteでの連載「菓子四季録」では、毎月ひとつ、季節の素材を使ったレシピを紹介している。今回紹介する「柚子のスフレ」は、スフレというお菓子をゆずでアレンジしたメニューである。 今回の記事を書くためにスフレを食べながら、わたしは「スフレと似ているもの」を見つけてしまった。それはディズニーランドに存在する、あるコンテンツ。答えをお伝えする前にスフレを食べる時の流れを実況するので、似ているものを推理してみてい

大人になったから楽しみ方がわかったフルーツケーキ 〈菓子四季録 vol.8〉

フルーツケーキ、お好きですか? わたしは苦手で、でも好きになりました。それはフルーツケーキの楽しみ方を知ったから。そんなお話。 noteでの連載「菓子四季録」では、毎月ひとつ、季節の素材を使ったレシピを紹介している。今回紹介する「ラム酒漬けフルーツのクグロフケーキ」は、簡単にいえばクグロフ型で焼いたフルーツケーキだ。クグロフ型、という言葉を初めて耳にする方に形状を説明をすると、ドーナツ型やシフォンケーキ型のように中央に穴が空いており、焼き上がりの背の高さでもある深さは比較的

菓子四季録について

菓子四季録 菓子四季録は、菓子研究家とグラフィックデザイナーのふたりが毎月ひとつ、季節の素材を使ったお菓子のレシピを紹介する連載です。レシピ記事でありフードエッセイでもあり、ひとつのお菓子の魅力を、ふたりそれぞれの視点から綴ります。 ひとつのお菓子に対して、記事がふたつ存在します。片方だけでも完結するようになっていますが、両方の記事を読んでいただくと、より深く味わっていただけると思います。ふたりとも同じお菓子を食べているはずなのに、そこにはまったく違う世界が現れます。どう

優雅にソファに座る洋梨のケーキ 〈菓子四季録 vol.7〉

「境界線」と「品格」。これが今回のケーキを食べて、わたしの頭に浮かんだキーワードだ。 (1)境界線について 今回レシピを紹介する「洋梨のアーモンドケーキ」は、アーモンドパウダーとココアが入ったしっとりタイプのバターケーキ生地に、カットした洋梨を焼き込んだお菓子だ。 この洋梨のケーキに、クリームソーダとの思いがけない共通点を見つけた。それが「境界線」だ。そして第三の食感。食材と食材の間の境界線に、特別な食感が生まれている。 クリームソーダのアイスクリームがグラスの水面に

日記とは記憶の引き出しの取っ手

「人の記憶って、実は脳にたくさんしまわれているけれど、記憶の引き出しに取っ手がないと思い出すことができないの」 そう言って5年日記をおすすめしてくれた人がいる。 だから、この秋、初めて連用日記を始めてみた。 5年日記はハードルが高いので、まずは3年日記からスタート。 このnoteを書きながら、数ヶ月前のページをぱらぱらめくってみた。 素敵な本に出会ったこと。誰かの何気ない一言。虹色のうろこ雲を見たこと。ちょっとしたことたちが、嬉しかった。日記は、未来の自分のために書いて

メイクの魔法にかけられたかぼちゃのお菓子 〈菓子四季録 vol.6〉

メイクアップ、つまりお化粧。メイクの魔法にかかったかぼちゃを食べたことがありますか。 かぼちゃという食べもの。それは「甘い」「ほくほく」という言葉だったり「まったり」「まろやか」という言葉だったり、時に「もったり」「のっぺり」という言葉で語られる食べもの。そのほとんどが「素朴」寄りのイメージで、かぼちゃに「スタイリッシュ」「おしゃれ」という言葉を使うことはあまりないように思う。 そんな素朴なかぼちゃは、メイクをすると別人に変わる。がらりと変わる。 今月レシピを紹介するお

夜明け前の空の色をした無花果のゼリー 〈菓子四季録 vol.5〉

そのお菓子は、色に見惚れてしまうお菓子だった。 料理でもお菓子でも、野菜でも果物でも、食べ物の見た目を愛でるのは楽しいことだ。今回紹介するお菓子「無花果と白ワインのゼリー」も、味覚だけでなく、視覚でも楽める一品だった。「色」がとにかく美しい。 初めてこのメニューを食べる前、いちじくと白ワインを使ったゼリーだという情報を聞いていた私は、皮を剥いたいちじくのゼリーなので色は無色透明に近いのかな、もしくは、白ワインのようなほんのり薄く緑がかった色なのかな?と想像していた(菓子四