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夏追い

無音。
から一瞬の反動
痛みを感じる前に
現れた
きみは透明で
夏の朝みたいだね

いってきます、って
扉を開けたときの
一面の真っ白
暑さは
脳を壊すには
十分すぎるほどに

机ごと透明になった
きみのスカートを
揺らしたくて
点けた扇風機が
私を正常に
戻す

きみを見てはいけない
きみと話してはいけない
だから私はプールを休んで
保健室で眠った
水中の端っこでうずくまるきみの
夢を見たくて

薬品の匂いのする窓に
入道雲が反射してるの
初めて見た
初めて見た
きみは透明で
夏の朝みたいだね

写真:ひづみ

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